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第07週ダイジェスト
(2月10日〜2月16日)
  • 発生動向総覧
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第07週コメント〉2月20日集計分
全数報告の感染症

1類感染症: 報告なし
2類感染症: コレラ1 例(推定感染地:タイ、疑似症)、細菌性赤痢8 例(推定感染地:国内5 例、インドネシア、カンボジア、ペルー各1 例)、腸チフス3 例(推定感染地:フィリピン、タイ/バングラディッシュ各1 例、タイ/カンボジアの1 例は疑似症)
3類感染症: 腸管出血性大腸菌感染症9例(うち有症者6例)
4類感染症: アメーバ赤痢3 例(推定感染地:国内1 例、グアム1 例、その他1 例)、ツツガムシ病1 例、デング熱1 例(デング出血熱、推定感染地:タイ)、レジオネラ症2 例
急性ウイルス性肝炎2例 B 型1 例(推定感染経路:不明)
CMV1 例
クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性)
後天性免疫不全症候群6例 無症候4例、AIDS 2 例)
感染経路:性的接触5例(同性間1例、異性間4例)、不明1例
梅毒6 例(早期顕症3 例、晩期顕症2 例、無症候性1 例)


定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
 定点当たり報告数が過去5 年間の同時期と比べて特別多い疾患はなかったが、風疹の定点当たり報
告数が前週の2倍に増え、岡山県(0.5)からの報告が半数を占めた。麻疹(成人麻疹を除く)の定点当
たり報告数は全体としては大きな変化はないが、宮崎県(前週の0.4 から0.8)からの報告数が2 倍に増加している。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は、秋田県(前週の1.6 から2.6)からの報告が増えている。感染性胃腸炎と水痘の定点当たり報告数は全国的にはわずかながら減少したが、前者は依然として15都道府県から2桁の報告があり、特に大分県(第3週8.9 から20.1)では4 週連続して定点当たり報告数が増加した。後者は、2週間連続して沖縄県(7.2)と宮崎県(4.2)で大きく増加し、九州・沖縄地域で定点当たり報告数が3.14と他地域の約2倍となった。インフルエンザは3 週連続で定点当たり報告数が減少し、20.4となった。広島県(5.7)を除くすべての都道府県で定点当たり報告数は2桁であるが、秋田県(前週の28.1から29.7)以外の都道府県では前週より減少した。成人麻疹と急性脳炎(日本脳炎を除く)の定点当たり報告数は減少した。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。


〈1月コメント〉
◆性感染症について  2003年2月10日集計分

 2003 年1 月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が3.60 (男1.46、女2.14)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.83 (男0.32、女0.51)、尖形コンジロームが0.46 (男0.25、女0.22)、淋菌感染症が1.83 (男1.46 、女0.37)で、4疾病のうち、男性では淋菌感染症(総数1,344)および性器クラミジア感染症(総数1,343)、女性では性器クラミジア感染症が多かった(図1)。前月に比べ、男性で性器ヘルペスウイルス感染症が減少した以外は、いずれも横ばいあるいは上昇傾向
にある(グラフ総覧」参照)。
図1.各性感染症が総報告数に占める割合(1月)

 過去3 年間の同時期と比較すると、女性の性器ヘルペスウイルス感染症が平均+2SDを超え、女性の残り3 疾病も平均+1 標準偏差(SD)を超えている(図2)


 定点当たり報告数を年齢階級別性別に比較すると(図3)、いずれの疾病でもピークは20〜29 歳にあったが、性器ヘルペスウイルス感染症では50歳代以降の高年齢層からの報告も少なくない。淋菌感染症ではいずれの年齢層でも男性の占める割合が高いが、他の3疾患では若年齢層で女性の報告者数が多い傾向が認められた。(1月の性感染症定点総数は923 )
 感染症法が施行された1999 年4 月以降について、淋菌感染症の年齢別月別定点当たり報告数を男女別に図4 に示した。男性に比べ、女性では15 〜24 歳の若年齢層が特に多く、また、増加傾向も顕著である。
 注:本発生動向調査で得られる性感染症患者報告数および解析結果は、現在の定点構成に基づく制限のもとに解釈される必要がある。

◆薬剤耐性菌について 2月10日集計分
【注】()内の+、‐ 、=は、前月に比し定点当たり報告数のそれぞれ増加、減少、不変を表す。
1月の基幹定点総数: 464.
1月の定点当たり報告数: メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA )感染症 3.60 (+)
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP )感染症 1.24 (‐ )
薬剤耐性緑膿菌感染症 0.11 (‐ )
年齢階級別: MRSA 感染症・・・ 高齢者に多く、65 歳以上が全体の71%を占めている。
  PRSP 感染症・・・ 1 〜4 歳(0.46 )が最も多く、5 歳未満が52%を占めている。
65 歳以上の高齢者も27%を占めている。
  薬剤耐性緑膿菌感染症・・・ 65 歳以上が全体の45%を占めている。
性 別: 定点当たり報告数で男性の女性に対する比率を見た場合、MRSA 感染症で1.9 倍、PRSP 感染症で1.3 倍、薬剤耐性緑膿菌感染症で5.0 倍上回っている。
都道府県別: MRSA 感染症・・・ 高知県(8.43 )と富山県(7.20 )からの報告が多い。
     PRSP 感染症・・・ 昨年5 月から引き続き、千葉県(8.89 )からの報告が非常に多い。
  薬剤耐性緑膿菌感染症・・・ 東京都(0.52)、愛媛県(0.50)、佐賀県(0.50)からの報告が多い。
月 別: MRSA 感染症の定点当たり報告数は、2002 年11 月から引き続き前年の同時期を下回っている。PRSP 感染症の定点当たり報告数は、7 カ月間連続で前年の同時期を上回っている。

◆結核サーベイランス月報 2月24日集計分

 1 月の新登録患者数は2,332 人、活動性肺結核患者は1,892 人(うち、喀痰塗抹陽性患者は829人)であった。
 また、新登録患者数に含まれない(統計的には別掲扱い)マル初*は405 人、非定型抗酸菌陽性者数は216人であった。

*マル初…結核の感染が強く疑われ、発病予防のための治療を受けている者であって、正確には結核発病者ではない。

 コメントは結核研究所の結核発生動向調査結果報告(http://www.jata.or.jp/tbmr/tbmr.htm)をご覧ください。

 


  注目すべき感染症

◆インフルエンザ

 インフルエンザの定点当たり報告数は2003 年に入って全国平均で6.3(第1週)、19.1(第2週)、29.4(第3週)、38.7(第4週)、35.2(第5週)、29.2(第6週)と推移してきたが、第7週には20.4 とさらに減少した。秋田県で若干増加した以外は、他のすべての都道府県で定点当たり報告数は前週に比べて減少している。しかし、静岡県、福島県、和歌山県、岩手県、沖縄県では定点当たり報告数は30 を超えている。

図. 過去10 年間のインフルエンザシーズン毎のトレンドグラフ

 病原体ではA香港型(H3N2)が分離されたウイルスの大半を占めているが、B型も分離報告がある。Aソ連型(H1N1)については、今シーズンの分離報告は未だない。インフルエンザの総合的な情報については、以下のURL を参照されたい。
  ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/newpage2.html

◆インフルエンザ警報・注意報

 第7 週においては、全国で注意報基準値を超えている保健所は114 カ所、警報基準値を超えている保健所は368 カ所であり、注意報、警報ともに減少しつつある。感染症発生動向調査からも、同週1 週間の全国レベル定点当たり報告数は20.4となり、順調に減少しつつある。しかしながら過去の経験からは、この後B 型インフルエンザによる小さな山が続くことが多いため、引き続き注意が必要である。警報・注意報の地図情報については、以下のURL を参照されたい。
  ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-keiho/trend02.html

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