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第11週ダイジェスト
(3月10日〜16日) |
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をPDF版よりピックアップして掲載しています。 |
発生動向総覧
〈第11週コメント〉3月20日集計分
◆全数報告の感染症
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
細菌性赤痢9 例(推定感染地域:インド3
例、インドネシア2 例、カンボジア、ベトナム各1例、不明2例)、腸チフス2例(推定感染地域:その他1例、不明1例) |
3類感染症: |
腸管出血性大腸菌感染症6例(うち有症者3
例) |
4類感染症: |
アメーバ赤痢8 例(推定感染地域:国内4例、インドネシア2例、不明2
例)
クリプトスポリジウム症1例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1 例(血液培養、71歳)、ジアルジア症1 例(推定感染地域:シリア)、髄膜炎菌性髄膜炎2
例(71 歳、17 歳、ともに型別不明)、ツツガムシ病1 例、破傷風1 例(77歳)、レジオネラ症1 例
急性ウイルス性肝炎10例 |
A型7例(推定感染地域:すべて国内)
B型3例(推定感染経路:すべて性的接触) |
後天性免疫不全症候群10例 |
無症候7 例、AIDS 1例、その他2例)
感染経路:性的接触7 例(同性間4 例、異性間3 例)、不明3 例
推定感染地域:国内6 例、ガーナ1 例、不明3 例 |
梅毒1 例(早期顕症) |
◆定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加し、過去3 年間の同時期の平均の2 倍を超えた。都道府県別で は、青森県(2.3)が前週の2 倍、沖縄県(1.4)は10倍と報告数が多い。他の疾患の定点当たり報告数は、過去5
年 間の同時期と比べて多くなってはいない。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たりの報告数は引き続き増加を 続け、石川県(4.6)を始め5 県で3.0を超えた。感染性胃腸炎の報告はわずかに増減しつつ幅広いピークを形成し
ている。依然として宮崎県(25.3)、大分県(21.1)からの報告が多く、23の都道府県から2 桁の報告があった。麻 疹(成人麻疹を除く)の定点当たり報告数は微増し、宮崎県(0.8)、福島県(0.6)、鹿児島県(0.4)、徳島県(0.4)からの報告が多い。成人麻疹も増加し、東京都(0.2)、千葉県(0.2)などの首都圏から約半数が報告されている。手足口病の定点当たり報告数は全国レベルでは多くないが、宮崎県(1.9)と福井県(1.6
)からの報告が増えている。
風疹は岡山県(0.4 )からの報告がさらに増え、急性出血性結膜炎は長崎県(0.6 )からの報告数が倍増している。 流行性角結膜炎の定点当たり報告数もわずかに増え、鹿児島県(2.8)、高知県(2.3)、群馬県(2.3)からの報告が多い。水痘の定点当たり報告数はほとんど変化がないが、都道府県別で沖縄県(7.7)と宮崎県(4.4)からの報告が特に多い。インフルエンザは、10週ぶりに定点当たり報告数(9.84)が10を下回った。大阪府以西では減少の速度がゆるやかになった県が多いのに対し、関東地方では順調に減少している。都道府県別では、山形県(31.7)、秋田県(31.0)、佐賀県(30.8)の3県からの報告が多く、特に佐賀県は4週連続して増加を続けている。
当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。
〈2月コメント〉
◆性感染症について
2003年3月11日集計分
2003
年2月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が3.39(男1.39、女2.00)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.79
(男0.35、女0.44)、尖形コンジロームが0.48(男0.26、女0.22)、淋菌感染症が1.51 (男1.15、女0.36)で、4疾病のうち、男性では性器クラミジア感染症および淋菌感染症、女性では性器クラミジア感染症が多かった(図1)。前月に比べ、男性で淋菌感染症が減少した以外は、いずれも横ばいあるいは若干減少している(グラフ総覧参照)。
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図1.各性感染症が総報告数に占める割合(2月)
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過去3年間の同時期と比較すると、女性で淋菌感染症が平均+1
標準偏差(SD)を超えている(図2)。
定点当たり報告数を年齢階級別に比較すると(図3)、いずれの疾病でもピークは20 〜29 歳にあったが、性器ヘルペスウイルス感染症では50
歳代以降の高年齢層からの報告も少なくない。淋菌感染症ではいずれの年齢層でも男性の占める割合が高いが、他の3 疾患では若年齢層で女性の報告者数が多い傾向が認められた。(2
月の性感染症定点総数は922)
感染症法が施行された1999 年4 月以降について、若年齢層(15〜29 歳)での各性感染症の定点当たり報告数を月別男女別に図4に示した。例年同様、冬季に減少が見られる。
注:本発生動向調査で得られる性感染症患者報告数および解析結果は、現在の定点構成に基づく制限のもとに解釈される必要がある。
◆薬剤耐性菌について 3月11日集計分 |
【注】()内の+、‐
、=は、前月に比し定点当たり報告数のそれぞれ増加、減少、不変を表す。 |
2月の基幹定点総数: |
464. |
2月の定点当たり報告数: |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA
)感染症 3.89 (+)
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP )感染症 0.86 (‐)
薬剤耐性緑膿菌感染症 0.09 (‐) |
年齢階級別: |
MRSA
感染症・・・ |
高齢者に多く、65
歳以上が全体の73%を占めている。
累積でも65 歳以上が72%に上る。 |
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PRSP
感染症・・・ |
1 〜4 歳(0.31 )が最も多く、5
歳未満が50%を占めている。
累積でも1 〜4 歳(0.77 )が最も多い。 |
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薬剤耐性緑膿菌感染症・・・ |
約半数が60
歳以上に見られ、65 歳以上が全体の53%を占めている。累積では、65 歳以上が48%を占める。 |
性 別: |
定点当たりの報告数で男性の女性に対する比率を見た場合、MRSA
感染症では
1.8 倍、PRSP 感染症では1.3 倍、薬剤耐性緑膿菌感染症では3.0 倍上回っている。 |
都道府県別: |
MRSA
感染症・・・ |
富山県(9.00)からの報告が25%増加し、高知県(8.43)からの報告も引き続き多い。累積でも、高知県(16.86)と富山県(16.20)からの報告が多い。 |
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PRSP
感染症・・・ |
富山県(4.60)からの報告が多く、千葉県(2.00)からの報告は著減した。累積では千葉県(10.89)からの報告が最も多い。 |
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薬剤耐性緑膿菌感染症・・・ |
岩手県(0.50)、佐賀県(0.33)からの報告が多い。累積では、佐賀県(0.83)と東京都(0.80)からの報告が多い。 |
月 別: |
MRSA
感染症の定点当たり報告数は、3カ月ぶりに前年の同時期(3.68)を上回った。PRSP 感染症の定点当たり報告数は、7カ月ぶりに前年の同時期(1.01)を下回った。 |
◆結核サーベイランス月報 3月24日集計分
2月の新登録患者数は2,323
人、活動性肺結核患者は1,903 人(うち喀痰塗抹陽性患者は927人)であった。
また、新登録患者数に含まれない(統計的には別掲扱い)マル初*は432人、非定型抗酸菌陽性者数は221人であった。
*マル初…結核の感染が強く疑われ、発病予防のための治療を受けている者であって、正確には結核発病者ではない。
コメントは結核研究所の結核発生動向調査結果報告(http://www.jata.or.jp/tbmr/tbmr.htm)をご覧ください。
注目すべき感染症
◆インフルエンザ
2002/03
シーズンは2003 年第4週をピーク(定点当たり報告数は38.7 )に減少してきている。しかしながら、減少の仕方は緩やかになってきている。特に山口県、福井県、佐賀県、鳥取県、愛媛県など12
の都道府県では、第10 週よりも定点当たり報告数は増加していた。
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図.
過去10 年間のインフルエンザシーズン毎のトレンドグラフ
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病原体ではA 香港型(H3N2)が分離されたウイルスの大半を占めているが、B
型も分離報告が
ある。A ソ連型(H1N1)については、今シーズンの分離報告は未だない。
インフルエンザの総合的な情報については、以下のURL を参照されたい。
○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/newpage2.html
◆インフルエンザ警報・注意報
第11 週においては、全国で注意報基準値を超えている保健所は63
カ所、警報基準値を超えて いる保健所は146 カ所であり、注意報、警報ともに減少しつつあるが、地域により依然流行が残っ ているところもみられる。感染症発生動向調査では、同週1
週間の全国レベルでの定点当たり報 告数は9.8 となり、10を切った。流行曲線の傾きはやや緩やかで幅が広くなっており、B型ウイルス による影響と考えられる。
○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-keiho/trend02.html
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