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第18週ダイジェスト
(4月28日〜5月4日)
  • 発生動向総覧
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第18週コメント〉5月8日集計分
全数報告の感染症

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢4例(推定感染地域:国内1例、インド2例、ミャンマー1例)、腸チフス1例(推定感染地域:インド)、パラチフス2例(推定感染地域:インドネシア1例、中国1例)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症12 例(うち有症者6 例)

4類感染症:

アメーバ赤痢7 例(推定感染地域:国内5 例、インドネシア1 例、中国1 例)、ジアルジア症1 例(推定感染地域:不明)、ツツガムシ病2 例

急性ウイルス性肝炎7例

A型3例(推定感染地域:国内2例、ネパール/インド/タイ1例)
B型3例(推定感染経路:性的接触1例、入れ墨1例、不明1例)
C型1例(推定感染経路:不明)

後天性免疫不全症候群5例

(AIDS 1例、無症候3例、その他1例)
推定感染経路:性的接触4 例(異性間3例、異性間/同性間1例)、不明1例
推定感染地域:国内4例、不明1例

梅毒5 例(早期顕症3 例、晩期顕症1 例、無症候性1 例)
マラリア2 例(熱帯熱1 例_推定感染地域:パプアニューギニア、型不明1 例_推定感染地域:インド/ネパール)

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は微減したが、引き続き過去5年間の同時期の平均と比較してかなり多く、過 去10 年間との比較でも最高の値となっている。都道府県別では福井県、岐阜県、滋賀県(いずれも0.6)が多い。 マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数はわずかに減少し0.16で、過去4年間の同時期の平均と比較して3倍を 超えている。都道府県別では青森県(0.8)、宮城県(0.7)、岩手県(0.6)、山口県(0.6)が多い。インフルエンザ の定点当たり報告数はさらに減少した。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少したが、依然 として過去10年間との比較では2000 年に次ぐ高値となっている。都道府県別では富山県(5.0)、山形県(2.5)が 多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は減少し、都道府県別では引き続き鳥取県(12.5)、福井県(7.9)、宮 崎県(7.6)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少し、都道府県別では宮崎県(3.9)、沖縄県(3.1 )が多い。手 足口病、伝染性紅斑、ヘルパンギーナの定点当たり報告数はいずれも微増した。都道府県別では、手足口病 は宮崎県(2.5)、山口県(2.4)、伝染性紅斑は北海道(0.7)、富山県(0.6)、ヘルパンギーナは鳥取県(1.5)、山 口県(0.9)が多い。風疹の定点当たり報告数は微減した。都道府県別では依然として岡山県(1.0)が全国の報 告数の半数以上を占めているが、2週連続して減少が認められている。麻疹(成人麻疹を除く)は前週と同値で、 都道府県別では依然として福島県(1.3)、栃木県(0.6)、宮崎県(0.6)、鹿児島県(0.6)が多い。流行性耳下腺炎 は微増し、都道府県別では高知県(1.8)、鹿児島県(1.6)、群馬県(1.5)、兵庫県(1.4)が多い。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。


  注目すべき感染症

◆咽頭結膜熱

 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は例年より多い状態で推移している。第18週では連休の影響もあってか、定点当たり報告数は前週に比べて減少したものの、依然として過去10年間の当該週のうちでは最大となっている。福井県、岐阜県、滋賀県で定点当たり報告数が0.5を超えている。
本疾患はアデノウイルスによる感染症で、発熱、咽頭炎、眼症状を主とする。プールでの感染も見られることからプール熱とも呼ばれる。例年、6 月頃から徐々に増加しはじめ、7〜8月にピークを形成する夏季の疾患である。

図. 過去10 年間の咽頭結膜熱の週別定点当たり報告数

 学童年齢の罹患が主であるとされているが、感染症発生動向調査での罹患年齢からは、5歳以下が約6 割を占めている。アデノウイルス3型が主な原因ウイルスであるが、1、4、7型も知られている。感染経路は通常飛沫感染であるが、プールでは結膜からの感染や経口的な感染も考えられている。
 症状としては、5〜7 日の潜伏期の後に発熱、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、咽頭痛、結膜充血、眼痛、羞明、流涙、眼脂などの症状があり、それらが3 〜5 日間程度持続する。基本的には良性のウイルス性疾患であり、脱水を防ぐなどの保存的な治療が中心となる。感染予防のためには、患者のタオルなどを共用しないことなどが必要である。発症してから、眼・呼吸器系からは7〜14日間、便からは30日間ウイルスが検出されることもあり、注意が必要である。
1994年頃からアデノウイルス7型による咽頭結膜熱の流行がみられているが、同ウイルスによる肺炎などの重症例が報告され、問題となった。近年の報告数は多くはないが、依然として検出がみられているので、引き続き注意が必要である。
 本疾患は今後夏にかけて報告数が増加してくると考えられるので、流行に注意することが必要である。プールを介しての流行もあることから、水泳前後のシャワーやプールの水の消毒なども大切である。


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