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第20週ダイジェスト
(5月12日〜18日) |
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をPDF版よりピックアップして掲載しています。 |
発生動向総覧
〈第20週コメント〉5月22日集計分
◆全数報告の感染症
1類感染症:
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報告なし |
2類感染症:
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細菌性赤痢5 例(推定感染地域:国内2 例、インド/タイ1例、ネパール1例、不明1例)、腸チフス1例(推定感染地域:インド)
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3類感染症:
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腸管出血性大腸菌感染症33例(うち有症者13例)
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4類感染症:
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アメーバ赤痢4 例(推定感染地域:国内3例、中国1例)、オウム病1例(推定感染源:インコ)、コクシジオイデス症1例(推定感染地域:米国アリゾナ州)、ジアルジア症2
例(推定感染地域:国内1例、カンボジア1例)、ツツガムシ病10例、日本紅斑熱2例(宮崎県、鹿児島県各1例)、破傷風2例(52歳及び60歳)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(菌検出検体:便.遺伝子型:vanB
)
急性ウイルス性肝炎15例
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A型11例(推定感染地域:国内8例(うち、福岡県5例)、シンガポール1例、インド1例、パキスタン1例)
B型1例(推定感染経路:性的接触)
C型2例(推定感染経路:性的接触1例、不明1例)
EBウイルス1例
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後天性免疫不全症候群7例
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AIDS 3例、無症候4例)
推定感染経路:性的接触5例(すべて同性間)、異性間/同性間性的接触・静注薬物使用1例、入れ墨1例
推定感染地域:国内7例
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梅毒3 例(早期顕症1例、無症候性2例)
(補)他に、レジオネラ症、後天性免疫不全症候群各1例の報告があったが削除予定
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◆定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加し、過去5 年間の同時期と比較してかなり多く、過去10 年間と比較して、本年16
週以降最高の値で推移している。都道府県別では大分県(2.7)、岐阜県(0.8)、島根県(0.8)が多い。マイコプラズマ肺炎
の定点当たり報告数は増加し0.22 で、依然として過去4 年間の同時期の平均と比較して約2 倍となっている。都道府県別
では三重県(1.1)、青森県(1.0)、大阪府(1.0)が多い。A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加し、都道
府県別では富山県(4.4)、山形県(3.5)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少し、都道府県別では新潟県(3.6)、宮崎
県(3.5)が多い。手足口病の定点当たり報告数は増加し、都道府県別では山口県(3.5)、宮崎県(2.4)、佐賀県(2.1)が多
い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は微増し、都道府県別では北海道(0.9)、長野県(0.8)が多い。ヘルパンギーナの定
点当たり報告数は増加し、都道府県別では鳥取県(2.0)、山口県(1.3)、高知県(1.3)、熊本県(1.3)が多い。風疹の定点
当たり報告数は前週と同じで、都道府県別では減少傾向は見られるものの依然として岡山県(0.8)が多い。流行性耳下腺
炎の定点当たり報告数は増加し、都道府県別では高知県(2.0)、兵庫県(1.8)、群馬県(1.6)、鹿児島県(1.6)が多い。麻
疹(成人麻疹を除く)及び成人麻疹の定点当たり報告数はいずれも微減し、都道府県別では福島県が麻疹(成人麻疹を
除く)は1.2 、成人麻疹は1.4 (全国平均0.05)でいずれも急増している。
当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。
〈4月コメント〉
◆性感染症について
2003年5月13日集計分
2003年4月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が3.46(男1.51、女1.94)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.89
(男0.38、女0.51)、尖形コンジロームが0.54(男0.29、女0.25)、淋菌感染症が1.67 (男1.31、女0.35)で、4疾病のうち、男性では性器クラミジア感染症および淋菌感染症、女性では性器クラミジア感染症が多かった(図1)。前月に比べ、いずれも横ばいか、やや上昇傾向がみられる(グラフ総覧参照)。過去3年間の同時期と比較すると、尖形コンジロームが男女共に平均+1標準偏差(SD)を超えている(図2)。
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図1.各性感染症が総報告数に占める割合(4月)
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定点当たり報告数を年齢階級別・性別に比較すると(図3:PDF参照)、いずれの疾病でもピークは20〜29歳にあったが、性器ヘルペスウイルス感染症では50代以降の高年齢層からの報告も少なくない。淋菌感染症ではいずれの年齢層でも男性の占める割合が高いが、他の3
疾患では若年齢層で女性の報告者数が多い傾向が認められた。(4月の性感染症定点総数は915)
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年齢層(15〜29歳)での各性感染症の定点当たり報告数を月別男女別に図4(PDF参照)に示した。いずれも横ばいか、やや上昇傾向がみられる。
注:本発生動向調査で得られる性感染症患者報告数および解析結果は、現在の定点の構成に基づく制限のもとに解釈される必要がある。詳細はIDWR
週報2000年第46号(10月報)4ページの記載を参照されたい。
◆薬剤耐性菌について 5月13日集計分 |
4月の基幹定点総数:
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466.
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4月の定点当たり報告数:
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症 3.75(前月:3.45、前年同月:3.50)
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症1.17(前月:0.90、前年同月:1.20)
薬剤耐性緑膿菌感染症0.11(前月:0.12、前年同月:0.14 )
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年齢階級別:
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MRSA 感染症・・・
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65 歳以上が全体の70%(70 歳以上が60%)を占めている。
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PRSP 感染症・・・
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5 歳未満の小児が最も多く、全体の58%を占めている。
70 歳以上も全体の17%を占めている。
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薬剤耐性緑膿菌感染症・・・
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65 歳以上が全体の51%(70 歳以上が43%)を占めている。
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性 別:(女性を1として算出した男女比)
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MRSA 感染症・・・・・・・・・・・・1.9 :1
PRSP 感染症・・・・・・・・・・・・・1.4 :1
薬剤耐性緑膿菌感染症・・・2.0 :1
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都道府県別:
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MRSA 感染症・・・
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山口県(9.33)、富山県(7.00)からの報告が多く、累積
でも山口県(29.63)、富山県(29.40)からの報告が多い。
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PRSP 感染症・・・
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千葉県(8.22)、富山県(6.40)からの報告が多く、累積
でも千葉県(26.22)、富山県(19.60)からの報告が多い。
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薬剤耐性緑膿菌感染症・・・
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広島県(0.43)、岩手県(0.35)からの報告が多く、累積
でも岩手県(1.50)、広島県(1.33)からの報告が多い。
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◆結核サーベイランス月報 5月22日集計分
4月の新登録患者数は2,675人(男性1,766人、女性909人)で、このうち活動性肺結核患者は2,163
(うち喀痰塗抹陽性者は962人)であった。また、別掲により集計されているマル初者数*は473人、非定型抗酸菌陽性者数は234人であった。
*マル初…結核の感染が強く疑われるが発病はしておらず、発病予防のための内服を行っている者。
コメントは結核研究所の結核発生動向調査結果報告(http://www.jata.or.jp/tbmr/tbmr.htm)をご覧ください。
注目すべき感染症
◆マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は以前には、定型的な細菌性肺炎と違って重症感が少なく、胸部レ線像も異なる故に「異型肺炎」に分類されてきた。しかし感染症法の施行に伴い、従来の小児科・内科
定点からの「異型肺炎」としての報告から、全国約500の基幹定点からの「マイコプラズマ肺炎」として、病原体の診断を伴った報告疾患となった。
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図.
マイコプラズマ肺炎の週別定点当たり報告数
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潜伏期は通常2〜3週間で、初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛などである。咳は初発症状出現 後3 〜5 日から始まることが多く、当初は乾性の咳であるが、経過に従い咳は徐々に強くなり、解熱
後も長く続く(3〜4週間)。特に年長児や青年では、後期には湿性の咳となることが多い。鼻汁な どの鼻炎症状は本疾患では典型的ではないが、幼児ではより頻繁に見られる。治療にはベータラクタム剤は効果がなく、マクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系薬剤が用いられる。
今年に入って、マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は、1999年以降高い数値で推移して いる。このことは、SARS に関連して、呼吸器症状のある者が今までより多く基幹定点病院に紹介
されている可能性も考慮される。しかしながら、報告患者の半分は5 歳未満であり、実際にこの年代を中心にした流行が起きている可能性がある。
◆咽頭結膜熱
咽頭結膜熱の定点当たり報告数は例年より多い状態で推移している。第16週から過去10年間の当該週のうちでは最大の報告数となり、第20週も引き続き高く推移している。第20週では大分県からの報告数が多い。
本疾患はアデノウイルスによる感染症で、発熱、咽頭炎、眼症状を主とする。プールでの感染 もみられることからプール熱とも呼ばれる。例年、6月頃から徐々に増加しはじめ、7〜8月にピークを形成する夏季の疾患である。学童年齢の罹患が主であるとされているが、感染症発生動向
調査での罹患年齢からは、5歳以下が約6割を占めている。アデノウイルス3型が主な原因ウイルスであるが、1、4、7型も知られている。
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図. 過去10年間の咽頭結膜熱の週別定点当たり報告数
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感染経路は通常飛沫感染であるが、プールでは結膜からの感染や経口的な感染も考えられている。 症状としては、5〜7日の潜伏期の後に発熱、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、咽頭痛、結膜充
血、眼痛、羞明、流涙、眼脂などの症状があり、それらが3 〜5日間程度持続する。基本的には良性のウイルス性疾患であり、脱水を防ぐなどの保存的な治療が中心となる。感染予防のために
は、患者のタオルなどを共用しないことなどが重要である。発症してから、眼・呼吸器系からは7〜14日間、便からは30日間ウイルスが検出されることもあり、注意が必要である。
本疾患は今後夏にかけて報告数が増加してくると考えられ、流行に注意することが必要である。プールを介しての流行もあることから、水泳前後のシャワーやプールの水の消毒なども大切である。
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