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第21週ダイジェスト
(5月19日〜25日)
  • 発生動向総覧
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第21週コメント〉5月29日集計分
全数報告の感染症

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢5 例(推定感染地域:国内1 例、アフガニスタン/パキスタン1例、エジプト1例、カンボジア1例、タイ1例)、パラチフス1 例(推定感染地域:バングラデシュ)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症65 例(うち有症者35 例):千葉県(中学校)、長野県(配食サービス)、岐阜県(集合住宅)で集団発生

4類感染症:

アメーバ赤痢4例(推定感染地域:国内3例、タイ1例)、オウム病2例(推定感染源:ともにインコ)、クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性)、ジアルジア症1例(推定感染地域:バングラデシュ)、ツツガムシ病15例(秋田県から6例)、日本紅斑熱2 例(高知県、鹿児島県各1例)

急性ウイルス性肝炎5例

A 型2 例(推定感染地域:ともに国内)
B 型2 例(推定感染経路:ともに不明)
C 型1 例(推定感染経路:不明)

後天性免疫不全症候群5例

(AIDS 2 例、無症候3 例)
推定感染経路:性的接触4 例(異性間1 例、同性間2 例、
異性間/同性間1 例)、不明1 例
推定感染地域:国内2 例、ケニア1 例、不明2 例

梅毒8 例(早期顕症4 例、晩期顕症1 例、無症候性3 例)

マラリア3 例

三日熱マラリア1 例(推定感染地域:アフガニスタン)
卵形マラリア1 例(推定感染地域:アフリカ)
型不明1 例(推定感染地域:不明)

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多く、過去10年間と比較して本年16週以降最高の値で推移している。都道府県別では大分県(3.1)、福岡県(0.9)、岐阜県(0.7)、滋賀県(0.7)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では富山県(4.8)、山形県(3.4)、宮崎県(3.1)が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は微増し0.24 で、依然として過去4年間の同時期の平均と比較して約2倍となっている。都道府県別では宮城県(1.5)、青森県(1.2)、高知県(0.9)が多い。手足口病の定点当たり報告数は増加し、都道府県別では山口県(5.8)、宮崎県(4.2)、佐賀県(2.6)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加し、都道府県別では北海道(1.2)、群馬県(1.1)、静岡県(1.0)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加し、都道府県別では鳥取県(3.0)、福井県(2.3)、山口県(2.2)が多い。風疹の定点当たり報告数は微減し、都道府県別では減少傾向は見られるものの、依然として岡山県(0.8)が多い。麻疹(成人麻疹を除く)の定点当たり報告数は微減し、都道府県別では福島県(0.7)、宮城県(0.6)、栃木県(0.6)が多い。流行性角結膜炎の定点当たり報告数は増加し、都道府県別では東京都(4.1)、香川県(3.0)、愛媛県(2.9)、茨城県(2.8)が多い。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。


 注目すべき感染症

◆マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎は以前には、定型的な細菌性肺炎と違って重症感が少なく、胸部レ線像も異なる故に「異型肺炎」に分類されてきた。しかし感染症法の施行に伴い、従来の小児科・内科定点からの「異型肺炎」としての報告から、全国約500の基幹定点からの「マイコプラズマ肺炎」として、病原体の診断を伴った報告疾患となった。

図. マイコプラズマ肺炎の週別定点当たり報告数

 潜伏期は通常2 〜3週間で、初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛などである。咳は初発症状出現後3 〜5日から始まることが多く、当初は乾性の咳であるが、経過に従い咳は徐々に強くなり、解熱後も長く続く(3〜4週間)。特に年長児や青年では、後期には湿性の咳となることが多い。鼻汁などの鼻炎症状は本疾患では典型的ではないが、幼児ではより頻繁に見られる。治療には、ベータラクタム剤は効果がなく、マクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系薬剤が用いられる。
 今年に入って、マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は高い数値で推移しており、第21週になってもさらに増加している。このことは、SARSに関連して、呼吸器症状のある症例が今までより多く基幹定点病院に紹介されている可能性も考慮される。しかしながら、第21週において、報告患者(114例)の半分(57例)が5歳未満であり、実際にこの年代を中心にした流行が起きている可能性がある。


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