HTMLトップページへ戻る
第23週ダイジェスト
(6月2日〜6月8日) |
|
|
をPDF版よりピックアップして掲載しています。 |
発生動向総覧
〈第23週コメント〉6月12日集計分
◆全数報告の感染症
1類感染症:
|
報告なし
|
2類感染症:
|
コレラ1 例(推定感染地域:フィリピン)、細菌性赤痢3 例(推定感染地域:国内1 例、キューバ1 例、タイ/エジプト1 例)、腸チフス1
例(推定感染地域:インド)、パラチフス3 例(推定感染地域:ネパール2 例、インド1 例)
|
3類感染症:
|
腸管出血性大腸菌感染症94 例(うち有症者42 例):岐阜県から32 例
|
4類感染症:
|
アメーバ赤痢8 例(推定感染地域:国内7例、不明1例)、ジアルジア症2例(推定感染地域:ラオス1例、不明1例)、髄膜炎菌性髄膜炎1例(33歳、血清型:B型、推定感染地域:国内)、ツツガムシ病10例(秋田県から5例)、梅毒4例(晩期顕症2例、無症候2例)、マラリア1例(型不明、推定感染地域:インド/タイ)
急性ウイルス性肝炎4例
|
A 型2 例(推定感染地域:ともに国内)
B 型1 例(推定感染経路:性的接触)
B/C 型1 例(推定感染経路:不明)
|
後天性免疫不全症候群8例
|
(AIDS 2例、無症候6例)
推定感染経路:性的接触8例(異性間3例、同性間5例)
推定感染地域:国内7例、不明1例
|
(補)他に、細菌性赤痢1 例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1 例の報告があったが、報告基準を満たさず削除予定
|
◆定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加し、過去5 年間の同時期と比較してかなり多く、過去10年間と比較して本年16週以降最高の値で推移している。都道府県別では大分県(2.4)、福岡県(1.0)、富山県(0.9)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は微増し、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では富山県(5.0)、鳥取県(3.6)、宮崎県(3.3)が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は微増して0.25で、依然として過去4年間の同時期の平均と比較して約2
倍となっている。都道府県別では青森県(1.5)、宮城県(1.5)、山口県(1.0)が多い。手足口病の定点当たり報告数は増加し、都道府県別では山口県(5.5)、広島県(4.6)、宮崎県(4.0)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は微減し、都道府県別では北海道、長野県(ともに1.0)が多い。百日咳の定点当たり報告数は微減したが、都道府県別では依然として栃木県(0.1)が多い。風疹の定点当たり報告数は微減し、都道府県別では依然として岡山県(0.5
)が多いが、16 週をピークに減少してきている。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加し、都道府県別では山口県(5.1)、鳥取県(3.3)、福井県(3.0)が多い。
麻疹(成人麻疹を除く)の定点当たり報告数は前週と同値で、都道府県別では福島県(0.9 )、宮城県(0.6)が多い。流行性角結膜炎の定点当たり報告数は微増して1.07
で、都道府県別では栃木県(3.4 )、高知県(3.3)、愛媛県(3.1)が多い。無菌性髄膜炎の定点当たり報告数は増加して0.07 で、都道府県別では奈良県(1.2)、和歌山県(1.1)が多い。
当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。
注目すべき感染症
◆咽頭結膜熱
咽頭結膜熱の定点当たり報告数は例年より多い状態で推移している。第23週でも更に増加しており、過去10年間の同時期と比べて最大となり、昨年のピーク値をすでに超えている。以前から多かった大分県だけでなく、福岡県、富山県などでも報告数が多くなってきている。報告された約8割が5歳以下の小児である。
|
|
図.
咽頭結膜熱の週別報告数
|
本年、現在までに咽頭結膜熱から分離されている病原体は、アデノウイルス3型、あるいは2型が主である。また、数は少ないものの7型も分離されている。
本疾患はプールでの感染も見られることから、プール熱とも呼ばれる。例年、6月頃から徐々に増加しはじめ、7〜8月にピークを形成する夏季の疾患である。
感染経路は通常飛沫感染であるが、プールでは結膜からの感染や経口的な感染も考えられている。症状としては、5 〜7日の潜伏期の後に発熱、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、咽頭痛、結膜充血、眼痛、羞明、流涙、眼脂などの症状があり、それらが3〜5日間程度持続する。基本的には良性の疾患であり、脱水を防ぐなどの保存的な治療が中心となる。
感染予防のためには、患者のタオルなどを共用しないことなどが重要である。発症してから、眼・呼吸器系では7〜14日間、便からは30日間ウイルスが検出されることもある。
1994年頃からアデノウイルス7型による咽頭結膜熱の流行がみられているが、同ウイルスによる肺炎などの重症例が報告され、問題となった。近年の分離報告数は多くはないが、依然として検出がみられているので、引き続き注意が必要である。
本疾患は今後夏にかけて報告数が増加してくると考えられるので、流行に注意することが必要である。また、プールを介しての流行もあるので、水泳前後のシャワーやプールの水の消毒なども大切である。
発生動向総覧トップページへ戻る
IDWRトップページへ戻る
|