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第25週ダイジェスト
(6月16日〜6月22日)
  • 発生動向総覧
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第25週コメント〉6月26日集計分
全数報告の感染症

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢4 例(推定感染地域:フィリピン2 例、不明2 例)、腸チフス2 例(推定感染地域:国内1 例、不明1 例)、パラチフス1 例(推定感染地域:ミャンマー)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症49例(うち有症者26例):最多報告は石川県(8例)

4類感染症:

アメーバ赤痢5例(推定感染地域:国内4 例、不明1 例)、クロイツフェルト・ヤコブ病4例(いずれも孤発性)、ジアルジア症6 例(推定感染地域:国内2 例、ベネズエラ1例、不明3 例)、ツツガムシ病6例、デング熱2 例(推定感染地域:インドネシア、ニューカレドニア各1例)、日本紅斑熱1 例(島根県)、梅毒5例(早期顕症4例、無症候1例)、マラリア2例(ともに三日熱_推定感染地域:インド、パキスタン各1例)、レジオネラ症1例

急性ウイルス性肝炎4例

B型1 例(推定感染経路:性的接触)、
C型1 例(推定感染経路:性的接触)

後天性免疫不全症候群5例

(すべて無症候)
推定感染経路:性的接触5例(異性間1例、同性間4例)
推定感染地域:国内4例、東南アジア1例

(補)・後天性免疫不全症候群(AIDS)1例の報告があったが、報告基準を満たさず削除予定。
・第22週分の報告遅れで、同一保健所からE 型肝炎3 例の報告があった。第19週に報
告された1例を含めた4例には会食歴があり、鹿肉の生食によるものと推定されている。

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は微増し、過去5年間の同時期と比較してかなり多く、また過去10年間と比 較して、本年16週以降最高の値で推移している。都道府県別では富山県(1.8)、大分県(1.8)、福井県(1.6)が 多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では宮崎県(3.2)、富山県(3.0)が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は微増して0.26 で、過去4年間の同時期と比較してかなり多く、都道府県別では宮城県(1.1)、山形県(1.0)、岡山県(1.0)が多 い。手足口病の定点当たり報告数は増加し、都道府県別では広島県(10.7)、島根県(5.0)、山口県(4.9)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は微増し、都道府県別では北海道(1.3 )、長野県(1.0)、静岡県(1.0)が多 い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加し、都道府県別では山口県(7.2)、三重県(5.7)、大阪府(5.1)が多い。麻疹(成人麻疹を除く)の定点当たり報告数は微増し、都道府県別では福島県(0.5)、岩手県(0.4)、栃 木県(0.4)が多い。急性出血性結膜炎の定点当たり報告数は前週と同値で、都道府県別では宮崎県(1.8)が非 常に多い。無菌性髄膜炎の定点当たり報告数は増加して0.10 で、都道府県別では和歌山県(1.1)、大阪府(0.5)、 奈良県(0.5)が多い。成人麻疹の定点当たり報告数は減少して0.03で、都道府県別では福島県、東京都(ともに0.3 )が多い。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。


 注目すべき感染症

◆咽頭結膜熱

 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は例年より多い状態で推移している。第25週でも更に増加しており、過去10年間のうちでも最大となっている。以前から多かった大分県では減少傾向にあるが、富山県、福井県、三重県、石川県でも定点当たり報告数が1.0を超えている。報告された約8割が5歳以下の小児となっており、特に2〜4 歳児の報告が多かった。
 本年、現在までに咽頭結膜熱から分離されている病原体は、アデノウイルス3型、あるいは2型が主である。また、数は少ないものの7型も分離されている。

図. 咽頭結膜熱の週別報告数

 本疾患はプールでの感染も見られることから、プール熱とも呼ばれる。例年、6月頃から徐々に 増加しはじめ、7〜8月にピークを形成する夏季の疾患である。
 感染経路は通常飛沫感染であるが、プールでは結膜からの感染や経口的な感染も考えられて いる。症状としては、5〜7日の潜伏期の後に発熱、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、咽頭痛、結 膜充血、眼痛、羞明、流涙、眼脂などの症状があり、それらが3 〜5 日間程度持続する。基本的 には良性のウイルス性疾患であり、脱水を防ぐなどの保存的な治療が中心となる。
 感染予防のためには、患者のタオルなどを共用しないことなどが重要である。発症してから、 眼・呼吸器系では7〜14日間、便からは30日間ウイルスが検出されることもある。
1994年頃からアデノウイルス7型による咽頭結膜熱の流行がみられているが、同ウイルスによる肺炎などの重症例が報告され、問題となった。近年の報告数は多くはないが、依然として検出 がみられているので、引き続き注意が必要である。
 本疾患は今後夏にかけて報告数が増加してくると考えられるので、流行に注意することが必要である。また、プールを介しての流行もあるので、水泳前後のシャワーやプールの水の消毒なども 大切である。


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