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第27週ダイジェスト
(6月30日〜7月6日)
  • 発生動向総覧
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第27週コメント〉7月10日集計分
全数報告の感染症

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢6 例(推定感染地域:国内4 例、ネパール1 例、インドネシア1 例)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症82 例(うち有症者58 例):最多報告は岡山県11 例。兵庫県(自然学校)、香川県(幼稚園)、鹿児島県(保育園)で集団発生。血清型・毒素型はO157 VT1 ・VT2 (27 例)、O157 VT2 (24 例)、O26 VT1 (16 例)、その他(15 例)。

4類感染症:

アメーバ赤痢6例(推定感染地域:国内3 例、タイ1例、キューバ1例、メキシコ/アメリカ1例)、オウム病2例(推定感染源:インコ1例、不明1 例)、Q 熱1例(推定感染源:イヌ)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例、ジアルジア症1例(推定感染地域:国内)、ツツガムシ病1例、デング熱1 例(推定感染地域:ミャンマー)、梅毒9例(すべて無症候)、レジオネラ症2例

急性ウイルス性肝炎4例

A 型1 例(推定感染地域:国内)
B 型3 例(推定感染経路:性的接触1 例、入れ墨1 例、不明1 例)

後天性免疫不全症候群9例

(AIDS 2 例、無症候7 例)
推定感染経路:性的接触8 例(異性間2 例、同性間5 例、異性間/同性間1 例)、不明1 例
推定感染地域:国内8 例、不明1 例

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加し、過去5 年間の同時期と比較してかなり多く、また過去10年間と比較して本年16 週以降最高の値で推移している。都道府県別では大分県(2.5 )、富山県(2.1)、三重県(1.2)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は微減したが、過去5 年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では宮崎県(4.3 )、富山県(2.5 )、山口県(2.4 )が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は前週と同値の0.18 で、過去4 年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では山形県(1.2)、岡山県(1.0)、岩手県(0.9 )が多い。手足口病の定点当たり報告数は増加し、都道府県別では広島県(20.7)が非常に多く、次いで静岡県(9.7)、岐阜県(8.3)、島根県(8.2)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は微増し、都道府県別では北海道(1.1)、長野県(1.0)、宮城県(0.9 )が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は大きく増加し、都道府県別では三重県(11.0)、山口県(10.2 )、宮城県(10.0 )が多い。麻疹(成人麻疹を除く)の定点当たり報告数は微減し、都道府県別では栃木県(0.4 )、和歌山県(0.4 )、宮城県(0.3 )が多い。急性出血性結膜炎の定点当たり報告数は微減して0.03 で、都道府県別では宮崎県(1.3 )が多い。流行性角結膜炎の定点当たり報告数は微減して1.01 で、都道府県別では奈良県(2.4 )が多い。無菌性髄膜炎の定点当たり報告数は増加して0.16 で、都道府県別では奈良県(1.0 )、和歌山県(0.9 )、大阪府(0.7 )、広島県(0.7 )が多い。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。


 注目すべき感染症

◆手足口病

 手足口病は、口腔粘膜や手、足に現れる水疱性の発疹を主症状とした急性ウイルス感染症で、幼児を中心に夏季に流行が見られる。コクサッキーA16 型(CA16)、CA10、エンテロウイルス71型(EV71)などのエンテロウイルスによりおこり、一般的に予後は良好な疾患である。感染は主として、咽頭から排泄されたウイルスの飛沫感染でおこるが、便中に排泄されたウイルスからの経口感染や、水疱内容物からの感染もありうる。便中へのウイルスの排泄は長期間にわたり、症状が消失してからも2〜4週間にわたり感染源になりうる。

図. 過去10年間の手足口病の週別定点当たり報告数

 例年、第27 〜30 週にかけて発生のピークを迎える。1985年、1990年、1995年、2000年と5年おきに比較的大きな流行がみられており、今年は今まで、定点当たり報告数は例年並みに推移して きたが、第25週から急峻な立ち上がりをみせている(図)。地研からのウイルス検出報告では、2001 年、2002年にはCA16が大部分を占めていたが、今季はこれまでEV71 が多く分離されている(「病原体情報」参照)。近年、マレーシア、台湾などの東南アジア地域でEV71 感染による小児の感染 症において、中枢神経系の重篤な合併症が起きる例が報告され、国内でも関西地区でEV71 と関 連した脳炎による死亡例の報告もある。今年EV71 が多く分離されていること、ここ数週間が例年 流行のピークであることから、重篤例の発生、及び流行状況についての監視が必要である。

◆咽頭結膜熱

 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は例年より多い状態で推移している。第27週でも更に増加し、過去10年間のうちでも最大となっている。報告が多かったのは大分県(2.5)、富山県(2.1)、三重
県(1.2)、福岡県(1.1)、福井県(1.1)となっている。第27 週においても、5歳以下の小児が報告された症例の約7割と大半を占めるが、6歳以上の報告例も増加してきている。本年、現在までに咽頭結膜熱患者から分離されている病原体は、アデノウイルス3 型、あるいは2 型が主である。また、数は少ないものの7 型も分離されている。本疾患は、本格的な夏に入ると報告数がさらに増加すると考えられる。プールを介しての流行もあるので、水泳前後のシャワーやプールの水の消毒の徹底なども大切である。

図. 咽頭結膜熱の週別報告数

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