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第31週ダイジェスト
(7月28日〜8月3日)
  • 発生動向総覧
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第31週コメント〉8月7日集計分
全数報告の感染症

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢7 例(推定感染地域:国内4 例、インド2 例、メキシコ1 例)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症89 例(うち有症者44 例)
報告の多い都道府県:大阪府16 例、兵庫県15例、佐賀県9 例
血清型・毒素型:O157 VT1 ・VT2 (38 例)、O157 VT2 (22 例)、O26 VT1 (8例)、その他(2例)
年齢:10歳未満(36例)、10代(14例)、20代(11例)、30代(6例)、40代(10例)、50代(5例)、
60代(5例)、70 歳以上(2例)

4類感染症:

アメーバ赤痢7例(推定感染地域:国内5例、不明2例)、エキノコックス症1例(多包条虫)、クロイツフェルト・ヤコブ病4例(孤発性3 例、GSS 1例)、ジアルジア症1 例(推定感染地域:国内)、ツツガムシ病1例、デング熱1例(推定感染地域:インドネシア)、梅毒10例(早期顕症4例、晩期顕症1例、無症候5例)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(菌検出検体:便.遺伝子型:Van A)、ライム病2例、レジオネラ症4例

後天性免疫不全症候群4例

(AIDS 1例、無症候3例)
推定感染経路:性的接触3 例(いずれも同性間)、不明1 例
推定感染地域:国内2 例、不明2 例

(補)他に梅毒1 例の報告があったが、報告基準を満たさず削除予定。

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は微減したが、過去5 年間の同時期と比較してかなり多く、また、過去10年間の同時期と比較して本年16週以降最高の値で推移している。都道府県別では大分県(2.5 )、長野県(1.9)、兵庫県(1.2)、高知県(1.2)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は8週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多く、また、過去10 年間の同時期と比較して27週以降最高の値となっている。都道府県別では山形県(1.5)、鳥取県(1.4 )、山口県(1.4 )が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は微増し、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では鳥取県(5.8 )、宮崎県(5.2)、福井県(4.9)が多い。手足口病の定点当たり報告数は減少したが、過去5 年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では山口県(10.9)、愛媛県(9.2)、広島県(8.2 )が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少して0.19 で、過去4年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では愛知県(0.9)、秋田県(0.7 )、三重県(0.7)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は前週まで3 週連続で減少していたが、再び増加し、都道府県別では北海道(1.0)、宮城県(1.0)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は減少したが、都道府県別では宮城県(9.1)、山形県(8.5 )が多い。無菌性髄膜炎の定点当たり報告数は増加して0.20で、都道府県別では奈良県(1.3)、大阪府(1.1)、高知県(1.0)が多い。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。


 注目すべき感染症

◆無菌性髄膜炎

 無菌性髄膜炎は全国約500の基幹定点医療機関から報告される疾患である。エンテロウイルスが原因の多くを占め、例年、夏季を中心に感染者が増加する。今年は定点当たり報告数は第27週頃から第29週にかけて増加しており、第30週になり減少に転じたものの、第31 週にはまた上昇に転じた(図)。昨年はエコーウイルス13 型(E13)による流行がみられたが、今年はこれまでにE30を主体に、エンテロウイルス71型を含む様々な種類のウイルスが分離されている。手足口病、ヘルパンギーナなどのエンテロウイルス感染症が流行している時期であり、発生動向を注視する必要がある。

図. 過去4年間の無菌性髄膜炎の週別定点当たり報告数


◆咽頭結膜熱

 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は例年よりかなり多い状態で推移していたが、第30週になり減少し、第31週でもわずかに減少した(0.63 →0.62 )(図)。報告が多かったのは大分県2.5、長野県1.9、高知県1.2、兵庫県1.2 などであるが、前週に比べると減少している都道府県が多い。現在までに咽頭結膜熱患者から分離されている病原体は、アデノウイルス3型、2型が主である。
 1996 〜98 年に増加して、肺炎などの重症例・死亡例が発生した7型も分離されている。

図. 過去10年間の咽頭結膜熱の週別定点当たり報告数



◆手足口病

 1985年、1990年、1995年、2000年と5年おきに比較的大きな流行がみられている。今年は例年並みに推移してきたが、第25週から定点当たり報告数は急峻な立ち上がりをみせており、1995年、2000 年に次いで報告数が多くなっていた。しかし、第30週になり減少に転じ、第31 週では更 に報告数は減少した(図)。都道府県別では多い順に山口県(10.9)、愛媛県(9.2)、広島県(8.2)などである。地研からのウイルス検出報告では、2001 年、2002 年にはCA16 が大部分を占めていたが、本年はこれまでEV71 が多く分離されており、すでに重症化例の発生も報告されているので(http://idsc.nih.go.jp/rapid/pr2837.html )、依然監視が必要である。

図. 過去10年間の手足口病の週別定点当たり報告数



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