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第32週ダイジェスト
(2003年8月4日〜8月10日)
  • 発生動向総覧
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第32週コメント〉8月14日集計分
全数報告の感染症

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢 19例(推定感染地域:国内14例、インド1例、インド/ネパール1 例、フィリピン1 例、インドネシア1 例、不明1 例)
*鹿児島県の老人福祉施設での集団発生(ソンネ赤痢菌)11例を含む

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症 66例(うち有症者42例)
報告の多い都道府県:兵庫県11 例、大阪府10例
血清型・毒素型:O157 VT1 ・VT2 (30 例)、O157 VT2(12 例)、O26 VT1(7例)、その他(17例)
年齢:10歳未満(40例)、10代(7例)、20代(6例)、30代(3例)、40 代(3 例)、50代(5例)、60代(0例)、70歳以上(2例)

4類感染症:

アメーバ赤痢 6例(推定感染地域:国内4 例、タイ1 例、不明1 例)
急性ウイルス性肝炎 4例 A型 2例(推定感染地域:国内1 例、イタリア1 例)
             B型 1例(推定感染経路:性的接触)
             サイトトメガロウイルス 1例
クロイツフェルト・ヤコブ病 1例(孤発性、72歳)

後天性免疫不全症候群10例

(AIDS 2例、無症候7例、その他1例)男性:9例、女性:1例
推定感染経路:性的接触9 例(異性間3例、同性間6例)、不明1例
推定感染地域:国内8例、ナイジェリア1例、不明1例

ジアルジア症 2例(推定感染地域:タイ/パキスタン1例、タンザニア1例)
ツツガムシ病 1例(青森県)
デング熱 1例(推定感染地域:インドネシア)
日本紅斑熱 1例(島根県)
梅毒 2例(ともに早期顕症)
マラリア 1例(三日熱_推定感染地域:ミャンマー)

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は微減したが、過去10年間の当該週と比較して本年第16週以降最高の値で推移している。都道府県別では大分県(2.1)、愛媛県(1.6)、長野県(1.5)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少したが、過去10年間の当該週と比較して27週以降最高の値となっている。都道府県別では、鳥取県(1.4)、富山県(1.3)、宮崎県(1.2)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は減少したが、過去10年間の当該週と比較して最高の値となっている。都道府県別では宮崎県(5.4)、鳥取県(5.3)、福井県(4.6)が多い。手足口病の定点当たり報告数は減少したが、過去10年間の当該週と比較して最高の値となっている。都道府県別では山口県(8.6)、青森県(8.4)、愛媛県(7.9)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は減少したが、過去10年間の当該週と比較して最高の値となっている。都道府県別では福島県(8.5)、長野県(7.3 )が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少して0.18で、過去4年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では沖縄県(0.9)、大阪府(0.7)、岩手県(0.6)が多い。無菌性髄膜炎の定点当たり報告数は減少して0.18 で、都道府県別では奈良県(1.0)、鳥取県(0.8)、石川県(0.6)が多い。

◆最近の注目疾患−1 年間の動き

●咽頭結膜熱:夏季に報告数が多いが、第29週をピークとし、その後は3週続けて減少している。ただし、昨年の同時期に比べて依然多い。
●手足口病:夏季に報告数が多いが、第29週をピークとし、その後は3週続けて減少している。ただし、昨年の同時期に比べて依然多い。
●ヘルパンギーナ:夏季に報告数が多いが、第29週をピークとし、その後は3週続けて減少している。ただし、昨年の同時期に比べて依然多い。
●A群溶血性レンサ球菌咽頭炎:昨年同時期より多いが、ここ数週間減少し続けている。
●無菌性髄膜炎:第29週でピークを迎え、その後はほぼ横ばいである。


 注目すべき感染症

◆咽頭結膜熱

 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は例年よりかなり多い状態で増加していたが、第30週になり減少に転じ、第31週、第32週ではわずかに減少した。報告が多かったのは大分県(2.1)、愛媛県(1.6)、長野県(1.5)、鹿児島県(1.2)などであるが、前週に比べると減少している都道府県が多い。現在までに咽頭結膜熱患者から分離されている病原体は、アデノウイルス3型、2型が主である。1996〜98年に増加して、肺炎などの重症例・死亡例が発生した7型も分離されている。

図.週別定点当たり報告数、および過去10 年間の平均値と95%信頼区間



◆手足口病

 1985年、1990年、1995年、2000年と5年おきに比較的大きな流行がみられている。今年は立ち上がりの初めのころ例年並みに推移してきたが、第25週から定点当たり報告数は急峻な立ち上がりをみせており、1995年、2000年に次いで報告数が多くなっていたが、第30 週になり減少に転じた。
 ここ3 週間連続して減少しているが、過去10年間の95%上限値を超えている(図)。都道府県別の定点当たり報告数では多い順に山口県(8.6)、青森県(8.4)、愛媛県(7.9)などである。地研からのウイルス検出報告では、2001年、2002年にはA 群コクサッキーウイルス16型が大部分を占めていたが、本年はこれまでエンテロウイルス71型が多く分離されており、また、すでに重症化例の発生も報告されていることから(速報参照)、依然監視が必要である。

図.週別定点当たり報告数、および過去10 年間の平均値と95%信頼区間

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