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第33週ダイジェスト
(8月11日〜17日)
  • 発生動向総覧 (7月報含む)
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第33週コメント〉8月21日集計分
全数報告の感染症

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

コレラ 2例(推定感染地域:国内1 例、インド/ネパール1 例*)
*細菌性赤痢と重複感染
細菌性赤痢13 例(推定感染地域:国内2 例、フィリピン6 例、インド2 例、インド/
ネパール1 例、メキシコ1 例、ベトナム1 例)
パラチフス1例(推定感染地域:インドネシア)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症69 例(うち有症者43 例)
 報告の多い都道府県:岩手県9 例、東京都7 例、兵庫県7 例、福岡県6 例
 血清型・毒素型:O157 VT1 ・VT2(29例)、O26 VT1(13例)、O157 VT2(12 例)、その他(15例)
 年齢:10歳未満(29例)、10代(7例)、20代(12例)、30代(8例)、40代(3例)、50代(3例)、60代(5例)、70歳以上(2例)

4類感染症:

アメーバ赤痢7 例(推定感染地域:国内6 例、パラオ1 例)
急性ウイルス性肝炎6 例 A型2 例(推定感染地域:国内1 例、不明1 例)
            B型1例(推定感染経路:不明)
            C型1例(推定感染経路:針刺し事故)
            E型2例(推定感染地域:国内2 例、推定感染源:ともに野生の猪肉)
クロイツフェルト・ヤコブ病1 例(孤発性、72 歳)

後天性免疫不全症候群15例

(AIDS 5 例、無症候10 例)
推定感染経路:性的接触14 例(異性間6 例、同性間8 例)、不明1 例
推定感染地域:国内11例、イタリア1例、タイ1例、不明2 例

ジアルジア症1例(推定感染地域:不明)、破傷風 1例(56歳)
マラリア1 例(熱帯熱_推定感染地域:タンザニア)
レジオネラ症 7例 年齢:50代(5例)、60代(1例)、70代(1例)。いずれも散発例

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフ
ルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29週をピークとし、その後は減少し続けているが、過去10年間の当該週と比較して第16週以降最高の値となっている。都道府県別では大分県(1.9)、岐阜県(1.5)、長野県(1.4)、佐賀県(1.4)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第29 週をピークとし、その後は減少し続けているが、過去10年間の当該週と比較して前週、今週と最高の値となっている。都道府県別では青森県(7.5)、愛媛県(6.3)、新潟県(5.3)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第29 週をピークとし、その後は減少し続けている。都道府県別では愛媛県(5.1)、秋田県(4.7)、新潟県(4.2)、長野県(4.2)が多い。
基幹定点報告疾患:無菌性髄膜炎の定点当たり報告数は第29週でピークを迎えた後、ほぼ横ばいであったが、今週は減少して0.12 で、都道府県別では鳥取県(1.0)、滋賀県(0.9)が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は3 週連続で減少して0.17 となり、昨年、一昨年の当該週とほぼ同値となっている。都道府県別では大阪府(1.1)、岡山県(1.0)が多い。


〈7月コメント〉
◆性感染症について  2003年8月13日集計分 性感染症定点数:918

 2003 年7月の月別定点当たり報告数は、性器クラミジア感染症が4.21(男1.79、女2.42)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.93(男0.37 、女0.56)、尖形コンジロームが0.60(男0.30、女0.30)、淋菌感染症が2.10(男1.62 、女0.48)で、4疾患のうち、男性では性器クラミジア感染症および淋菌感染症、女性では性器クラミジア感染症が多かった(図1)。前月に比べ、ほとんどの疾患で増加がみられる(グラフ総覧参照)。過去4年間の同時期と比較すると、特に女性において増加が顕著で、淋菌感染症で平均+2標準偏差(SD)を、他の3疾患でも平均+1SDを超えている(図2)。男性においても、尖形コンジロームが前月と比べると減少しているものの、過去4年間の同時期と比較すると平均+1SDを超えている。

図1.各性感染症が総報告数に占める割合(7月)


 定点当たり報告数を年齢階級別・男女別に比較すると(図3:PDF版参照)、いずれの疾患でもピークは20〜29歳にあったが、性器ヘルペスウイルス感染症では50代以降の高年齢層からの報告も少なくない。淋菌感染症ではいずれの年齢層でも男性の占める割合が高いが、他の3疾患では若年齢層で女性の報告者数が多い傾向が認められた。
 感染症法が施行された1999年4月以降について、若年齢層(15〜29歳)での各性感染症の定点当たり報告数を月別・男女別に図4(PDF版参照)に示した。男性の尖形コンジロームを除き、いずれも上昇傾向がみられる。

注:本発生動向調査で得られる性感染症患者報告数および解析結果は、現在の定点の構成に基づく制限のもとに解釈される必要がある。詳細はIDWR 週報2000年第46号(10月報)4ページの記載を参照されたい。

◆薬剤耐性菌について 8月13日集計分

7月の基幹定点総数:

468.

7月の定点当たり報告数:

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症 3.93
(前月:3.97 、前年同月:3.99)
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症 0.96
(前月:1.45、前年同月:1.01)
薬剤耐性緑膿菌感染症 0.15 (前月:0.12 、前年同月:0.13)

年齢階級別:

MRSA 感染症・・・

65 歳以上が全体の67%(70 歳以上が58%)を占めている。

 

PRSP 感染症・・・

5 歳未満の小児に多く、全体の53%を占めている。また65 歳以上の高齢者にも多く、全体の25%を占めている。

薬剤耐性緑膿菌感染症・・・

65 歳以上が全体の56%(70 歳以上が49%)を占めている。

性 別:(女性を1として算出した男女比)

MRSA 感染症・・・・・・・・・・・・・1.8/1
PRSP 感染症・・・・・・・・・・・・・・1.6/1
薬剤耐性緑膿菌感染症・・・・・2.6/1

都道府県別:

MRSA 感染症・・・

定点当たり報告数は富山県(8.80)、島根県(8.25)が多く、累積では山口県(54.38)、富山県(53.60)が多い。

PRSP 感染症・・・

定点当たり報告数は富山県(5.80)が多く、累積では千葉県(49.44)、富山県(38.60)が多い。

薬剤耐性緑膿菌感染症・・・

定点当たり報告数は香川県(0.80)、愛媛県(0.67)、佐賀県(0.67)が多く、累積では岩手県(3.15)、広島県(3.15)が多い。

◆結核サーベイランス月報 8月21日集計分

 6月の新登録患者数は2,844人(男性1,792人、女性1,052人)で、このうち活動性肺結核患者は2,330 (うち、喀痰塗抹陽性者は1,036人)であった。
 都道府県・政令指定都市別の新登録患者数は、東京都(362 人)、大阪府(大阪市を除く)(177 人)、大阪市(162 人)、埼玉県(さいたま市を除く)(125 人)、兵庫県(神戸市を除く)(105 人)が多い。
 また、別掲により集計されているマル初者数*は516 人、非定型抗酸菌陽性者数は290人であった。

*マル初…結核の感染が強く疑われるが発病はしておらず、発病予防のための内服を行っている者。

 コメントは結核研究所の結核発生動向調査結果報告(http://www.jata.or.jp/tbmr/tbmr.htm)をご覧ください。


  注目すべき感染症

◆咽頭結膜熱

 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は例年よりかなり多い状態で推移しているが、第30週になり減少に転じ、第31週、第32週でもわずかに減少し、第33週では大きく減少した。また、多くの都道府県で前週に比べて報告数は減少し、すでにピークは過ぎたと思われる。ただし、依然として過去10年間の当該週に比べて最大であり、いまだに2001年を除く過去10年間のピーク値よりも大きい。
 咽頭結膜熱患者から分離されている病原体は、アデノウイルス3型、 型が主である。1996 〜98年に増加して、肺炎などの重症例・死亡例が発生した7型も分離されている。

図. 週別定点当たり報告数、および過去10 年間の平均値と95%信頼区間

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