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第35週ダイジェスト
(2003年8月25日〜31日) |
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をPDF版よりピックアップして掲載しています。 |
発生動向総覧
〈第35週コメント〉9月4日集計分
◆全数報告の感染症
1類感染症:
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報告なし
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2類感染症:
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コレラ1例(推定感染地域:国内1例)
細菌性赤痢 8例(推定感染地域:国内1 例、エジプト3例*、インド1例、フィリピン2例、タヒチ1例)*疑似症1例を含む
腸チフス 1例(推定感染地域:不明)
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3類感染症:
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腸管出血性大腸菌感染症 156例(うち有症者106例)
報告の多い都道府県:福岡県31例、石川県25例、大阪府15例
血清型・毒素型:O157 VT2 (50例)、O157 VT1 ・VT2 (48例)、O26 VT1 (29例)、その他(29例)
年齢:10歳未満(83例)、10代(18例)、20代(16例)、30代(18例)、40代(7例)、50代(10例)、60代(1例)、70歳以上(3例)
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4類感染症:
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アメーバ赤痢 8例(推定感染地域:国内3 例、タイ1 例、中国/台湾/シンガポール1 例、不明3 例)
急性ウイルス性肝炎 3例 B型2例(推定感染経路:ともに性的接触)
C 型1例(推定感染経路:不明)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 1例(68 歳、創部感染)
後天性免疫不全症候群 8例
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(AIDS 2 例、無症候3例、その他3例)男性/女性:7例/ 1例
推定感染経路:性的接触8例(異性間3例、同性間5例)
推定感染地域:国内6例、英国1例、不明1例
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日本紅斑熱 5例(島根県1例、愛媛県1例**、高知県1例、鹿児島県2例)
**愛媛県では19 年ぶりの発生
梅毒 3例(早期顕症I 期1 例、早期顕症II 期1 例、無症候1 例)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症 1 例(菌検出検体:胆汁、遺伝子型:VanC )、レジオネラ症 1
例(72 歳)
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◆定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000
カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。
当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。
小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29週をピークとし、その後は減少し続けているが、過去10年間の当該週と比較して第16週以降最高の値となっている。過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較しても未だかなり多く、都道府県別では長野県(1.5)、滋賀県(1.5)、高知県(1.2)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第24
週から10週間連続して減少した後、前週は増加したが、今週は再び微減した。過去10 年間の当該週と比較して第27週以降最高の値で推移しており、過去5
年間の同時期と比較してもやや多い。都道府県別では鳥取県(1.2)、富山県(1.0)、山形県(0.9 )、山口県(0.9)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第29
週をピークとし、その後5 週間連続して減少し続けたが、今週は再び微増した。過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では青森県(5.6)、山口県(4.6)、岩手県(4.5)、新潟県(4.5)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第29
週をピークとし、その後は減少し続けているが、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では新潟県(4.6)、宮崎県(4.4)、愛媛県(4.3)が多い。
基幹定点報告疾患:無菌性髄膜炎の定点当たり報告数は減少して0.10
で、都道府県別では奈良県(0.8 )、石川県(0.6)が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は微増して0.23で、本年は過去4年間の報告数に比し高く推移してきたが、第31週以降は昨年、一昨年と大差のない値となっている。都道府県別では大阪府(1.1)、山形県(0.7)、茨城県(0.7)が多い。
注目すべき感染症
◆腸管出血性大腸菌感染症
2003 年の腸管出血性大腸菌感染症の報告数は、過去4 年間と比べて比較的少なく推移してきた(図)。特に第31〜33週は通常報告数が多い時期であるが、本年の報告数は各週ともに100例に満たず、少なかった。しかしながら、第34週には現在までのデータで162例と報告数は大幅に増加した。
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図.腸管出血性大腸菌感染症の週別報告数(1999年4月〜現在まで)
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第35 週の報告数は今のところ156例で(昨年の同時期は121例)、性別では男83例、女73例であり、うち有症者は106例で、報告例全体の68%であった。都道府県別では多い順に福岡県31例、石川県25例、大阪府15例、兵庫県9例などであった。5歳毎の年齢階級別にみると(0歳、1〜4歳、70歳以上は別扱い)、1〜4
歳56 例、5〜9歳25例、10〜14歳14例と、1〜4歳の報告数が多かった。これは保育所、幼稚園関連の症例が多かったためと思われる。
血清型についてはO157が110例、O26 が29例であった。血清型とベロ毒素の型の組み合わせでは多い順にO157 VT2が50例、O157
VT1 ・VT2 が48 例、O26 VT1 が29例などとなっている。2003年の第35週までの累積報告数は1,660 例(昨年の同時期は2,404例)となっており、昨年よりは少ないものの、集団発生の報告は続いていることから、依然として注意を要する。
今年に入って、死亡例(届け出時点)は2例が報告されているが、第35 週では今のところ重症例の報告はない。
◆E型肝炎
第28 週に引き続き、第33 週でもE 型肝炎の国内感染事例の報告があった。
E型肝炎は経口感染し、約6 週間の潜伏期を経て、全身倦怠感、発熱、黄疸の症状を引きおこす疾患である。我が国のE 型肝炎については、主に開発途上国などで水系感染などにより、渡航者が罹患すると考えられてきた。実際、感染症法に基づく報告の対象となった1999
年4 月からの報告についてみると、主にインド、ネパール、中国などのアジアの国々で罹患した輸入例がほとんどであった。しかし最近では、国内での感染例の報告が増加している(図)。
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図.急性E型肝炎の感染地別発生状況
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これは、国内での一般人の抗体保有状況に関する知見や動物での感染状況に関するデータが得られてきたことや、今年に入って、野生の鹿肉などの生食により感染した事例が報告されたこと、豚レバーの一部からウイルスの遺伝子が検出されたことなどから、国内での感染が注目されてきていることと関連していると思われる。厚生労働省も、豚のレバーや野生の鹿肉などは十分加熱をしてから食べるように注意を促している。
○詳しい情報については以下のウェブサイトを参照されたい。
厚生労働省 食肉を介するE 型肝炎ウイルス感染事例について(E型肝炎Q&A)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/08/h0819‐2a.html
国立感染症研究所
http://idsc.nih.go.jp/others/topics/hepatE/hepatE.html
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