HTMLトップページへ戻る
第40週ダイジェスト
(2003年9月29日〜10月5日) |
|
|
をPDF版よりピックアップして掲載しています。 |
発生動向総覧
〈第40週コメント〉10月9日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。
1類感染症:
|
報告なし
|
2類感染症:
|
コレラ2 例[推定感染地域:国内1例、ベトナム1例(疑似症)]、細菌性赤痢14 例[推定感染地域:国内3例(同一飲食店)、インド2
例、ネパール/インド/タイ1 例、中国1 例、インドネシア1例、フィリピン1 例、トルクメニスタン1 例、ウズベキスタン1 例、エジプト1例、スペイン1例、トルコ1
例]、腸チフス3 例(推定感染地域:インド1例、インドネシア1例、不明1例) 、パラチフス1 例(推定感染地域:ネパール)
|
3類感染症:
|
腸管出血性大腸菌感染症46 例(うち有症者28例)
報告の多い都道府県:埼玉県5 例、石川県5例、北海道4例、東京都4例
血清型・毒素型:O157 VT1 ・VT2 (16例)、O157 VT2 (9例)、O26 VT1 (5例)、O26 VT2 (5
例)、その他(11例)
年齢:10歳未満(22 例)、10代(5例)、20代(5例)、30代(6例)、40代(1例)、50代(4例)、60代(3例)、70歳以上(0例)
|
4類感染症:
|
アメーバ赤痢6 例(推定感染地域:いずれも国内)
急性ウイルス性肝炎3 例
|
A 型1 例(推定感染地域:国内)
B 型1 例(推定感染経路:ピアス用器具)
|
サイトメガロウイルス1 例、Q 熱1 例(推定感染源:ネコ) 、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1
例(63 歳、死亡)
後天性免疫不全症候群 10例
|
(AIDS 2例、無症候7例、その他1例)
男性/女性:9例/1例
推定感染経路:性的接触8 例(異性間2例、同性間6例)、不明2例
推定感染地域:国内7例、不明3例
|
ジアルジア症1 例(推定感染地域:国内) 、ツツガムシ病2 例[秋田県、東京都(推定感染地域はネパール)]、日本紅斑熱2
例(高知県、鹿児島県)、梅毒5 例(早期顕症I 期1 例、早期顕症II 期2 例、無症候2 例) 、マラリア1
例(三日熱_推定感染地域:インドネシア) 、レジオネラ症1 例(78 歳)
|
◆定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000
カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。
小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29週をピークとし、その後は週により緩急はあるものの減少し続けているが、相変わらず第16週以降過去10年間の当該週と比較して最高の値である。都道府県別では鳥取県(1.0)、愛媛県(0.9)、高知県(0.6)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第34
週から緩やかな増加傾向が認められているが、最近でも2週続けて増加している。都道府県別では鳥取県(2.1)、秋田県(1.3)が多い。感染性腸炎の定点当たり報告数は2
週続けて増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、翌週)と比較してやや多く、都道府県別では富山県(5.3)、山口県(4.3)が多い(「注目すべき感染症」参照)。手足口病の定点当たり報告数は第29週をピークとし、5週続けて減少した後、第35、36週と2週続けて微増したが、その後再び減少し続けている。都道府県別では岩手県(5.4
)、秋田県(5.1)、熊本県(4.3)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加して0.30で、都道府県別では岡山県(1.4)、茨城県(1.3)が多い(「注目すべき感染症」参照)。
注目すべき感染症
◆マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、1999年3月までの旧感染症発生動向調査では異型肺炎として報告されてきたが、そこでは必ずしもマイコプラズマ肺炎だけでなく、他のウイルス性の肺炎なども含まれていた。しかし、1999年4月以降の発生動向調査では、マイコプラズマ肺炎として独立した4類感染症定点把握疾患となった。また、旧発生動向調査では小児科・内科定点からの報告であったが、現在は全国約500カ所の基幹定点医療機関からの報告となっている。
|
|
図.マイコプラズマ肺炎の年別週別発生状況
|
本疾患は従来、4年周期でオリンピックのある年に流行を繰り返してきたが、近年この傾向は崩れつつある。年間での推移をみると、晩秋から冬にかけて増加がみられていたが、感染症法施行後に新たなサーベイランスシステムになっても、この傾向に変化はない。図に感染症法施行以来の週別の定点当たり報告数を示す。2003
年の報告数は過去の報告より高く推移している。今年は5月下旬〜6月上旬に報告数が多かったが、ここ数週間でも報告数の増加がみられており、今後の動向に注意が必要である。今冬のSARS
対策としても、鑑別診断としてインフルエンザやマイコプラズマ肺炎のような呼吸器感染症は重要であり、可能な限り病原体を把握することが望まれる。
◆感染性胃腸炎
「感染性胃腸炎」は、サーベイランスのための疾患概念であるが、過去のデータからすると、腸炎ビブリオ、サルモネラなど細菌性のものが夏季の発生の原因になっていると考えられ、一方、ウイルス性、特にノロウイルスによる流行が12
月のピークを形成し、その後春のピークはロタウイルスによって形成されると推定されている。
|
|
図.感染性胃腸炎の年別週別発生状況
|
第40 週の定点当たり報告数は、わずかながら上昇している。また、富山県、山口県、三重県などのいくつかの都道府県では、定点当たり報告数が4.0を超えている。年齢群別では1歳、2歳の報告が多い。全国的にみても徐々に報告数が増加する時期であり、予防のためには手洗いの励行などが重要である。
発生動向総覧トップページへ戻る
IDWRトップページへ戻る
|