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第41週ダイジェスト
(2003年10月6日〜10月12日) |
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をPDF版よりピックアップして掲載しています。 |
発生動向総覧
〈第41週コメント〉10月16日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。
1類感染症:
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報告なし
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2類感染症:
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コレラ1 例(推定感染地域:オーストラリア) 、細菌性赤痢20 例[推定感染地域:国内7 例(うち5
名は前週報告の飲食店関連)、トルコ3 例、エジプト/ギリシア2 例、中国1 例、中国/台湾1 例、インド1 例、エジプト1 例、タイ1
例、ウズベキスタン1 例、メキシコ1例、モロッコ1 例]、腸チフス2 例(推定感染地域:インドネシア1 例、インド/ネパール1
例) 、パラチフス1 例(推定感染地域:ミャンマー)
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3類感染症:
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腸管出血性大腸菌感染症51例(うち有症者28例)
報告の多い都道府県:東京都7例、北海道5例、埼玉県5例
血清型・毒素型:O157 VT1 ・VT2 (22例)、O157 VT2 (11例)、O26 VT1 (4例)、その他(14例)
年齢:10歳未満(22例)、10代(4例)、20代(6例)、30代(6例)、40代(4例)、50代(5例)、60代(1例)、70歳以上(3例)
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4類感染症:
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アメーバ赤痢6 例(推定感染地域:いずれも国内) 、エキノコックス症1 例(多包条虫)
急性ウイルス性肝炎5 例
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A 型2 例(推定感染地域:ともに国内)
B 型2 例(推定感染経路:ともに性的接触)
E 型1 例(指定感染地域:不明)
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後天性免疫不全症候群 15例
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(AIDS 6 例、無症候8 例、その他1 例)
男性/女性:9 例/6 例推定感染経路:性的接触13 例(異性間6 例、同性間7 例)、不明2 例 推定感染地域:国内11
例、タイ1 例、ナイジェリア1 例、不明2 例
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ジアルジア症1 例(推定感染地域:国内) 、梅毒6 例(早期顕症I 期3 例、早期顕症II 期1
例、無症候2 例) 、破傷風1 例(79 歳) 、
マラリア2例
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三日熱1 例(推定感染地域:パプアニューギニア) 、熱帯熱1 例(推定感染地域:セネガル) 、
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レジオネラ症2 例(60 歳、81 歳)
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◆定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000
カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。
小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29週をピークとし、その後は週により緩急はあるものの減少し続けている。過去10年間の当該週と比較して依然として最高の値であり、過去10
年間の当該週までの定点当たり累積報告数(平均)と比較すると2.8倍を示す大きな流行となっている。都道府県別では、愛媛県(0.6)、熊本県(0.5)、広島県(0.4)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第34週から増加傾向が認められているが、最近でも3週続けて増加している。過去10
年間の当該週と比較して最高の値であり、都道府県別では鳥取県(3.2)、山形県(2.0 )、宮崎県(1.8 )が多い(「注目すべき感染症」参照)。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は微増し、過去5
年間の同時期(前週、当該週、翌週)と比較してやや多く、都道府県別では富山県(6.0)、福井県(4.9)、三重県(4.7 )が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は微減して0.29
で、都道府県別では山形県(2.4 )、岡山県(2.0 )が多い(「注目すべき感染症」参照)。
注目すべき感染症
◆A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎
A 群溶血性レンサ球菌は多彩な臨床症状を引き起こすことが知られている。急性咽頭炎、膿痂疹、蜂巣織炎などがよくみられるが、特殊な病型として猩紅熱があり、これら以外にも中耳炎、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎などをおこす。また、菌の直接の作用でなく、免疫学的機序を介して、リウマチ熱や急性糸球体腎炎をおこすことが知られている。
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図.A群溶血性レンサ球菌の年別週別発生状況
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近年、報告患者数は増加傾向にあり、これは迅速診断キットなどの普及による影響もあると思われる。患者報告は毎年これから冬にかけて徐々に増加してくるが、本年は例年より早く、報告数が増加している。第41
週では例年より報告数が多くなっている(図参照)。年齢群別では4〜6歳の報告が多い。
◆マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、1999年3月までの旧感染症発生動向調査では異型肺炎として報告されてきたが、そこでは必ずしもマイコプラズマ肺炎だけでなく、他のウイルス性の肺炎なども含まれていた。しかし、1999
年4 月以降の発生動向調査では、マイコプラズマ肺炎として独立した4類感染症定点把握疾患となった。また、旧発生動向調査では小児科・内科定点からの報告であったが、現在は全国約500カ所の基幹定点医療機関からの報告となっている。
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図.マイコプラズマ肺炎の年別週別発生状況
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本疾患は従来、4年周期でオリンピックのある年に流行を繰り返してきたが、近年この傾向は崩れつつある。年間での推移をみると、晩秋から冬にかけて増加がみられていたが、感染症法施行後に新たなサーベイランスシステムになっても、この傾向に変化はない。図に感染症法施行以来の週別の定点当たり報告数を示す。2003年の報告数は過去の報告より高いレベルで推移している。今年は5月下旬〜6
月上旬に報告数が多かったが、ここ数週間も報告数の増加がみられており、今後の動向に注意が必要である。今冬のSARS 対策としても、鑑別診断としてインフルエンザやマイコプラズマ肺炎のような呼吸器感染症は重要であり、可能な限り病原体を把握することが望まれる。
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