HTMLトップページへ戻る
第42週ダイジェスト
(10月13日〜19日) |
|
|
をPDF版よりピックアップして掲載しています。 |
発生動向総覧
〈第42週コメント〉10月23日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計
を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。
1類感染症:
|
報告なし
|
2類感染症:
|
細菌性赤痢 11例(推定感染地域:国内5例、フィリピン1 例、エジプト1 例、アフガ
ニスタン1 例、その他1 例、不明2 例) 、腸チフス 2例(推定感染地域:インド1 例、フィリピン1 例) 、パラチフス
1例(推定感染地域:ミャンマー)
|
3類感染症:
|
腸管出血性大腸菌感染症50例(うち有症者35 例)
報告の多い都道府県:広島県13例、埼玉県5例
血清型・毒素型:O157 VT1 ・VT2(27例)、O157 VT2 (9例)、O26 VT1 (5例)、その他(9例)
年齢:10歳未満(14例)、10代(16例)、20代(8例)、30代(5例)、40代(1例)、50代(2例)、60代(3例)、70歳以上(1例)
|
4類感染症:
|
アメーバ赤痢 5例(推定感染地域:国内3例、不明2例) 、オウム病1 例(推定感染源:ハト)
急性ウイルス性肝炎 3例
|
B 型2例(推定感染経路:性的接触1 例、不明1 例)
C 型1例(指定感染経路:不明)
|
クリプトスポリジウム症 1例(推定感染地域:国内)
後天性免疫不全症候群 7例
|
(AIDS 2例、無症候4例、その他1例)
男性/女性:7例/0例
推定感染経路:性的接触7例(異性間1例、同性間6例)
推定感染地域:国内7例
|
ジアルジア症2例(推定感染地域:国内1 例、ネパール1 例) 、ツツガムシ病3 例(広島県、徳島県、宮崎県)
、日本紅斑熱1 例(高知県) 、梅毒3例(いずれも早期顕症II 期)
マラリア 3例
|
卵形2 例(推定感染地域:ともにパプアニューギニア)
熱帯熱1例(推定感染地域:ウガンダ)
|
レジオネラ症 2例(53歳、60歳)
|
◆定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000
カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。
小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29週をピークとし、その後は週により緩急はあるものの減少し続けている。しかし、過去10年間の当該週と比較して依然として最高の値であり、第42週までの累積定点当たり報告数の過去10年間の平均と比較すると、2.8倍を示す大きな発生となっている。都道府県別では、鳥取県(0.6)、愛媛県(0.6)、熊本県(0.5)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少したが、第34
週から緩やかな増加傾向が認められている。都道府県別では山形県(2.3)、鳥取県(1.7)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は微減し、都道府県別では香川県(6.0)、富山県(4.9)、福井県(4.6)、宮崎県(4.6)が多い。水痘の定点当たり報告数は2週続けて増加し、都道府県別では鳥取県(1.6)、福島県(1.5)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加して0.31で、都道府県別では秋田県(1.3)、山形県(1.3)、北海道(1.0)が多い(「注目すべき感染症」参照)。
〈9月コメント〉
◆性感染症について
2003年10月10日集計分 性感染症定点数:916
2003年9月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が4.00(男1.65、女2.35)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.92(男0.40、女0.52)、尖形コンジロームが0.63
(男0.31、女0.31)、淋菌感染症が2.09 (男1.64、女0.45)で、4疾患のうち、男性では性器クラミジア感染症および淋菌感染症、女性では性器クラミジア感染症が多かった(図1)。前月に比べると、すべての疾患で増加がみられた(「グラフ総覧」参照)。過去4年間の同時期と比較すると、男性の尖形コンジローム、女性の淋菌感染症で平均+1
標準偏差(SD)、女性の尖形コンジロームで平均+2SDを超えている(図2)。
|
|
図1.各性感染症が総報告数に占める割合(9月)
|
定点当たり報告数を年齢階級別・男女別に比較すると(図3:PDF参照)、いずれの疾患でもピークは20〜29 歳にあったが、性器ヘルペスウイルス感染症では50代以降の高年齢層からの報告も少なくない。淋菌感染症ではいずれの年齢層でも男性の占める割合が高いが、他の3疾患では、若年齢層で女性の報告者数が多い傾向が認められた。
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年齢層(15〜29歳)での各性感染症の定点当たり報告数を月別・男女別に図4(PDF参照)に示した。女性において、一貫して増加傾向が認められる。
注:本発生動向調査で得られる性感染症患者報告数および解析結果は、現在の定点の構成に基づく制限のもとに解釈される必要がある。詳細はIDWR
週報2000年第46号(10月報)4ページの記載を参照されたい。
◆薬剤耐性菌について (10月10
日集計分)基幹定点数:470
|
9月の基幹定点総数:
|
470.
|
9月の定点当たり報告数:
|
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症 3.78
(前月:3.97、前年同月:3.35)
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症 0.82
(前月:0.84、前年同月:0.61)
薬剤耐性緑膿菌感染症 0.11(前月:0.17、前年同月:0.14)
|
年齢階級別:
|
MRSA 感染症・・・
|
高齢者に多く、65 歳以上が全体の65%(70 歳以上が55%)を占めている。
|
|
PRSP 感染症・・・
|
5歳未満の小児に多く、全体の56%を占めている。また65歳以上の高齢者にも多く、全体の21%を占めている。
|
|
薬剤耐性緑膿菌感染症・・・
|
高齢者に多く、65 歳以上が全体の62%(70 歳以上が51%)を占めている。
|
性 別:(女性を1として算出した男女比)
|
MRSA 感染症・・・・・・・・・・・・・1.8/1
PRSP 感染症・・・・・・・・・・・・・・1.4/1
薬剤耐性緑膿菌感染症・・・・・1.9/1
|
都道府県別:
|
MRSA 感染症・・・
|
定点当たり報告数は富山県(9.00)、山口県(7.67)、奈良県(7.40)が多く、累積では山口県(72.13)、富山県(69.20)が多い。
|
|
PRSP 感染症・・・
|
定点当たり報告数は千葉県(7.00)、富山県(4.60)が多く、累積でも千葉県(62.67)、富山県(46.40)が多い。
|
|
薬剤耐性緑膿菌感染症・・・
|
定点当たり報告数は広島県(0.74)、岩手県(0.50)、宮城県(0.50)が多く、累積では岩手県(4.40)、広島県(4.25)が多い。
|
◆結核サーベイランス月報 10月24日集計分
9月の新登録患者数は2,551人(男性1,603人、女性948 人)で、このうち活動性肺結核患者は2,064 人(うち喀痰塗抹陽性者は947人)であった。都道府県・政令指定都市別の新登録患者数は、東京都(299人)、大阪府(大阪市を除く)(166
人)、大阪市(151人)、埼玉県(さいたま市を除く)(109人)、千葉県(千葉市を除く)(103人)が多い。
また、別掲により集計されているマル初者数*は518 人、非定型抗酸菌陽性者数は263人であった。
*マル初…結核の感染が強く疑われるが発病はしておらず、発病予防のための内服を行っている者。
詳しいコメントは、結核研究所の結核発生動向調査結果報告(http://www.jata.or.jp/tbmr/tbmr. htm )をご覧ください。
また、9月19日に、2002年の結核発生動向調査年報が出されました。詳しくは、結核研究所のホームページ(http://www.jata.or.jp
)でご覧下さい。
注目すべき感染症
◆マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、1999年4月以降の発生動向調査では独立した4 類感染症定点把握疾患となり、全国約500カ所の基幹定点医療機関から報告されている。本疾患は従来4年周期で、オリンピックのある年に流行を繰り返してきたが、近年この傾向は崩れつつある。年間での推移をみると、晩秋から冬にかけて増加がみられている。図に感染症法施行以来の週別の定点当たり報告数を示す。
|
|
図.マイコプラズマ肺炎の年別週別発生状況
|
2003 年の報告数は過去の報告より高いレベルで推移している。今年は5月下旬〜6月上旬に報告数が多かったが、ここ数週間でも全体として報告数は漸増傾向にある。年齢群別の報告数では1〜4
歳が最も多く、続いて5〜9歳が多い。今冬のSARS 対策としても、鑑別診断としてインフルエンザやマイコプラズマ肺炎などの呼吸器感染症は重要であり、可能な限り病原体を把握することが望まれる。
発生動向総覧トップページへ戻る
IDWRトップページへ戻る
|