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第43週ダイジェスト
(2003年10月20日〜26日) |
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をPDF版よりピックアップして掲載しています。 |
発生動向総覧
〈第43週コメント〉10月30日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。
1類感染症:
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報告なし
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2類感染症:
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コレラ1例(推定感染地域:インド)
細菌性赤痢10例(推定感染地域:国内4例、中国1例、エジプト1例、キューバ1例、ブラジル/ペルー1例、その他1例、不明1例)
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3類感染症:
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腸管出血性大腸菌感染症 52例(うち有症者23例)
報告の多い都道府県:熊本県17例、静岡県7例
血清型・毒素型:O26 VT1 (18例)、O157 VT1 ・VT2(17例)、O157 VT2 (7例)、その他(10例)
年齢:10歳未満(25例)、10代(7例)、20代(6例)、30代(3例)、40代(3例)、50代(2例)、60代(5例)、70歳以上(1例)
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4類感染症:
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アメーバ赤痢 1 例(推定感染地域:国内)
オウム病 1 例(推定感染源:不明、DIC 発症)
急性ウイルス性肝炎 3例
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A型1例(推定感染地域:国内)
B型2例(推定感染経路:ともに不明)
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クロイツフェルト・ヤコブ病 1 例(孤発性、67 歳)
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後天性免疫不全症候群 15例
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(AIDS 2 例、無症候4 例)
男性/女性:6 例/0 例 推定感染経路:性的接触6 例(異性間3 例、同性間3 例)
推定感染地域:国内5 例、タイ1 例
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ツツガムシ病 3例(山形県、福島県、大分県)
デング熱 1例(推定感染地域:インド)、日本紅斑熱 1例(高知県)、梅毒 4例(早期顕症I期1例、晩期顕性2例、無症候1
例) 、バンコマイシン耐性腸球菌感染症 1例(菌検出検体:胸水.遺伝子型:VanC.92歳) 、レジオネラ症
1例(62歳)
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◆定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000
カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。
小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29週をピークとし、その後は週により緩急はあるものの減少し続けていたが、今週は微増した。相変わらず、過去10年間の当該週と比較して第16週から最高の値を持続しており、第43週までの累積定点当たり報告数の過去10年間の平均と比較すると、2.8倍を示す大きな流行となっている。都道府県別では、鳥取県(0.7)、愛媛県(0.5)、大分県(0.5)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第34週から増加傾向が認められているが、本週も増加した。過去5年間の同時期(前週、当該週、翌週)と比較してやや多く、都道府県別では鳥取県(3.6)、山形県(2.4)、宮崎県(1.6)が多い(「注目すべき感染症」参照)。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加し、都道府県別では福井県(8.8)、栃木県(8.0)が多い。水痘の定点当たり報告数は第41週から増加傾向が認められており、本週も過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では山形県(2.2)、群馬県(1.8)、北海道(1.7)が多い(「注目すべき感染症」参照)。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加して0.34
で、都道府県別では岡山県(3.0)、鳥取(1.6)、茨城県(1.2)、佐賀県(1.2)が多い(「注目すべき感染症」参照)。
注目すべき感染症
◆マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、1999年4月のいわゆる「感染症法」施行以降の発生動向調査では4類感染症定点把握疾患となり、独立した疾患として、全国約500カ所の基幹定点医療機関から報告されている。本疾患は従来4年周期で、オリンピックのある年に流行を繰り返してきたが、近年この傾向は崩れつつある。年間での推移をみると、晩秋から冬にかけて増加がみられている。図に感染症法施行以来の週別の定点当たり報告数を示す。
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図.マイコプラズマ肺炎の年別週別発生状況
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2003年の報告数は過去の報告より高いレベルで推移している。今年は5月下旬〜6月上旬に報告数が多かったが、ここ数週間でも全体として報告数は漸増傾向にある。年齢群別の報告数では1〜4歳が最も多く、続いて5〜9歳が多い。今冬のSARS
対策としても、鑑別診断としてインフルエンザやマイコプラズマ肺炎などの呼吸器感染症は重要であり、可能な限り病原体を把握することが望まれる。
◆水 痘
水痘帯状疱疹ウイルスによって起こる感染症で、潜伏期は2週間程度(10〜21日)である。発疹は全身性で掻痒を伴い、紅斑、丘疹を経て短時間で水疱となり、痂皮化する。数日にわたり新しい発疹が次々と出現するので、急性期には紅斑、丘疹、水疱、痂皮のそれぞれの段階の発疹が混在することが特徴である。臨床経過は一般的に軽症で、倦怠感、掻痒感、38
℃前後の発熱が2〜3日間続く程度であることが大半である。しかし、成人ではより重症になり、合併症の頻度も高い。通常呼吸器症状や胃腸症状を伴うことはない。合併症の危険性は年齢により異なり、健康な小児ではあまりみられないが、15歳以上と1歳以下では高くなる。
治療としては通常、石炭酸亜鉛華リニメント(カチリ)などの外用が行われる。抗ウイルス剤のアシクロビル(ACV)は、重症水痘、および水痘の重症化が容易に予測される免疫不全者などでは第一選択薬剤となる。健常者の水痘についても、ACV
の経口投与は症状を軽症化させるのに有効であると考えられているが、全ての水痘患者に対して投与する必要はないと思われる。インフルエンザと同様に、水痘感染時にはアスピリンの内服によるライ症候群の危険性があるので、注意を要する。例年、冬季にかけて報告数は増加するが、本年第43週では例年に比べて報告数が多くなっている。
◆A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎
近年、報告患者数は増加傾向にあるが、これには迅速診断キットの普及による影響もあると思われる。患者報告は毎年この時期から冬にかけて徐々に増加してくるが、本年は例年より早く報告数が増加しており、第43週では例年より報告数が多くなっている(図参照)。年齢群別では4〜6
歳の報告が多い。
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図.A群溶血性レンサ球菌感染症の年別週別発生状況
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