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第51週ダイジェスト
(2003年12月15日〜21日)

・発生動向総覧
・注目すべき感染症

 をPDF版よりピックアップして掲載しています。

 発生動向総覧

〈第51週コメント〉12月25日集計分
全数報告の感染症
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11月5日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43号「速報」参照)。本週の集計は、11月3、4日届け出分も含め新分類にて表記しました。

注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

コレラ1例(疑似症、推定感染地域:タイ)
細菌性赤痢3例(推定感染地域:インドネシア1例、パキスタン1例、カンボジア/シンガポール1例)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症73例(うち有症者31例)
報告の多い都道府県:福岡県55 例(全例が同一高等学校での集団発生)
血清型・毒素型:O157 VT1 ・VT2 (60例)、O111 VT1 ・VT2(5 例)、O157 VT2(3例)、その他(5例)
年齢:10歳未満(10例)、10代(55例)、20代(3例)、30代(2例)、40代(2例)、60代(1例)

4類感染症:

つつが虫病25 例(鹿児島県13 例、宮崎県5 例)
日本紅斑熱1例(鹿児島県)

マラリア4 例

三日熱3 例(推定感染地域:ブラジル2 例、パプアニューギニア1 例)
不明1 例(推定感染地域:カメルーン)

A 型肝炎2 例(推定感染地域:ともに国内)
レプトスピラ症1 例(徳島県)

5類感染症:

アメーバ赤痢7例(推定感染地域:国内4例、不明3例)
ウイルス性肝炎2 例 B型1例(推定感染経路:不明)
          C型1例(推定感染経路:性的接触)
クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性)

後天性免疫不全症候群15 例

(AIDS 3例、無症候12例)
推定感染経路:性的接触13例(異性間7例、同性間6例)、不明2例
推定感染地域:国内13例、国内/タイ1例、不明1例

梅毒9 例(早期顕症I 期4 例、早期顕症II 期1例、無症候3例、先天梅毒1例)
(補)他に報告遅れとして、急性脳炎4例〔単純ヘルペスウイルス1 例(44 歳)、病原体不明3 例(2歳、23歳、72歳)〕の報告があった。

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

小児科定点報告疾患:インフルエンザの定点当たり報告数は未だ低値ではあるが、徐々に増加している。都道府県別では山形県(8.1)、群馬県(4.9)、福島県(4.3)が多い(「注目すべき感染症」参照)。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29 週をピークとし、その後減少し続けた後、第43週から再び増加傾向が認められており、第51週も微増した。第51 週までの累積定点当たり報告数の過去10 年間の平均と比較して3 倍を示す大きな流行となっている。都道府県別では山形県(2.4)、愛媛県(1.0 )、岐阜県(0.8 )が多い(「注目すべき感染症」参照)。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第34 週から増加傾向が認められており、第51週も増加した。過去5年間の同時期(前週、当該週、翌週)と比較してやや多く、都道府県別では鳥取県(6.0)、山形県(5.1)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第43 週から増加しており、第51週も増加した。過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では宮崎県(40.5)、大分県(39.9)が多い。水痘の定点当たり報告数は第41 週から増加しており、第51週も増加した。過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では新潟県(6.4 )、山形県(6.3 )、愛媛県(5.1)、熊本県(5.1)が多い。RS ウイルス感染症の報告数は、31 都道府県(0 の報告も含む)から合計300 例であった。

基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加して0.39 で、都道府県別では岡山県(3.4 )、山形県(1.4 )が多い。

過去1年間の動き(グラフ)



 注目すべき感染症

◆インフルエンザ

 第51週におけるインフルエンザの定点当たり報告数は0.85であった。全国からの報告数は4,020 例であったが、これは昨シーズン同週の24,593例と比べると少ない。島根県を除くすべての都道府県から報告がある。山形県は定点当たり報告数が8.1 と非常に多くなっており、群馬県(4.9)、福島県(4.3)なども多かった。
 また、インフルエンザ様疾患に伴う休校、学年閉鎖、学級閉鎖としては、東京都13件、埼玉県11件など全国で36 施設からの報告があった。

図.過去5シーズンにおけるインフルエンザの週別発生状況

 これまでに確認されたインフルエンザウイルスはAH3 型が中心であるが、B 型の報告も少なくない。AH1 型についても1 件の報告がある。
「インフルエンザのQ &A 」「国内患者発生動向調査」「ウイルス分離状況」「抗体保有状況」「学校欠席者数」などインフルエンザの総合的な情報については、以下のURL を参照されたい。
 ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/newpage2.html

インフルエンザの流行レベルマップについては、以下のURL を参照されたい。
 ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-keiho/index.html

◆咽頭結膜熱

 咽頭結膜熱は例年夏季に流行を迎えるが、今年は例年よりも報告数が多く推移してきている。
 第29 週をピークとしてその後順調に低下したが、第43 週から再び増加がみられている。都道府県別でも、実際に多くの都道府県で報告数が増加している。年齢別では2〜5歳の報告数が多い。

図.咽頭結膜熱の年別週別発生状況

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