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第1・2週ダイジェスト
2004年第1週(12月29日〜1月4 日)、第2週(1月5日〜1月11日)

・発生動向総覧
・注目すべき感染症

 をPDF版よりピックアップして掲載しています。

 発生動向総覧


全数報告の感染症
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11月5日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43号「速報」参照)。本週の集計は、11月3、4日届け出分も含め新分類にて表記しました。


注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。

全数報告の感染症は第1週および第2週について、定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)は、第1週(2003年12月29日〜2004年1月4日)については年末年始の医療機関休業の影響を受けることから、通常の統計処理を行わず、第2週についてのみコメントします。

〈第1週コメント〉1月7日集計分

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢7例(推定感染地域:インドネシア3例、インド2例、フィリピン1 例、エジプト1例)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症6例(うち有症者3 例)
血清型・毒素型:O157 VT2(2例)、O157 VT1・VT2(1例)、O26 VT1(1例)、その他(2例)
年齢:10歳未満(2例)、10 代(1例)、30代(1例)、70歳以上(2 例)

4類感染症:

つつが虫病1例(大分県)
A型肝炎1例(推定感染地域:国内)

5類感染症:

劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(59歳)

後天性免疫不全症候群3例

(AIDS 1例、無症候2例)
推定感染経路:性的接触3例(異性間1 例、同性間1例、異性間/同性間1例)
推定感染地域:いずれも国内

梅毒 1例(無症候)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症 1例(VanC . 菌検出検体:胆汁)

〈第2週コメント〉1月15日集計分

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢12例(推定感染地域:国内2 例、インド4 例、ペルー2 例、ベトナム1 例、タイ1 例、モロッコ1 例、南米1 例)
腸チフス1 例(推定感染地域:インド)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症3例(すべて有症者)
血清型・毒素型:O157 VT1 ・VT2(1例)、その他(2例)
年齢:10歳未満(1例)、30代(1例)、70歳以上(1例)

4類感染症:

つつが虫病18例(鹿児島県10例、宮崎県4例)
マラリア1例(型:三日熱_推定感染地域:パプアニューギニア)
レジオネラ症3例(56歳、79歳、82歳)
A 型肝炎2例(推定感染地域:ともに国内)

5類感染症:

アメーバ赤痢7 例(推定感染地域:国内4例、韓国1例、不明2 例)
ウイルス性肝炎3例(いずれもB型_推定感染経路:性的接触2例、不明1例)
クロイツフェルト・ヤコブ病2例(ともに孤発性)

後天性免疫不全症候群7例

(AIDS 2 例、無症候5 例)
推定感染経路:性的接触5 例(異性間3 例、同性間1 例、異性間/同性間1 例)、不明2 例
推定感染地域:国内4 例、国内/フィリピン1 例、タイ1 例、不明1 例

梅毒5例(早期顕症I 期1例、早期顕症II 期2例、無症候2例)
破傷風1例(77歳)

定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

インフルエンザ定点報告疾患:インフルエンザの定点当たり報告数は、2003年第52週に流行開始の基準値としている1.0を上回り、2004年第2週ではさらに増加した。都道府県別では福島県(12.2 )、栃木県(11.6)、群馬県(10.0)が多い(「注目すべき感染症」参照)。

小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は、2003 年第29週に過去10年間と比較して最大のピーク値を示した後減少したが、第43週から再び増加傾向が認められている。2003年の累積定点当たり報告数は、過去10年間の平均と比較して3倍であった。2004年第2週も過去10年間の当該週と比べて最大の数値であり、都道府県別では和歌山県(1.5)、山形県(1.1)、愛媛県(0.9)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2003 年第34週から増加傾向が認められていたが、第52週は減少し、2004年第2週でもさらに減少した。都道府県別では鳥取県(3.0)、山形県(2.3)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2003 年第43週から増加していたが、第52 週には減少し、2004 年第2週ではさらに減少した。しかし、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では大分県(22.9 )、熊本県(20.1)が多い。水痘の定点当たり報告数は2003 年第41 週から増加しつづけているが、2004年第2週も増加し、過去10年間で最高の値となっている。都道府県別では新潟県(7.0)、福岡県(6.5)、熊本県(6.5)、宮崎県(6.5)が多い(「注目すべき感染症」参照)。RS ウイルス感染症の報告数は、36都道府県(0の報告も含む)から合計395 例であった。

眼科定点報告疾患:流行性角結膜炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では山梨県(4.3)、愛媛県(3.4)が多い。

基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加して0.29で、都道府県別では岡山県(2.4)、茨城県(1.2)が多い。

過去1年間の動き(グラフ)



 注目すべき感染症

◆インフルエンザ

 2004年第2週のインフルエンザの定点当たり報告数は3.72 であり、多くの都道府県でインフルエンザの流行シーズンに突入した。定点当たり報告数が10.0を超えるところとして福島県(12.2)、栃木県(11.6)、5.0を超えるところとして群馬県(10.0)、宮城県(8.7)、埼玉県(8.3)、愛知県(8.1)、山形県(7.9)、茨城県(7.2)などがある(図)
 また、インフルエンザ様疾患に伴う休校、学年閉鎖、学級閉鎖については、多くの学校が始業していないこともあり、報告はなかった。

図. 都道府県別インフルエンザ流行状況

 これまでに確認されたインフルエンザウイルスは、AH3型が多い。
「インフルエンザのQ&A 」「国内患者発生動向調査」「ウイルス分離状況」「抗体保有状況」「学校欠席者数」などインフルエンザの総合的な情報については、以下のURL を参照されたい。
 ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/newpage2.html

インフルエンザの流行レベルマップについては、以下のURL を参照されたい。
 ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-keiho/index.html


◆水 痘

 水痘は水痘帯状疱疹ウイルスによって起こる感染症で、潜伏期は2 週間程度(10〜21日)である。発疹は全身性で掻痒を伴い、紅斑、丘疹を経て短時間で水疱となり、痂皮化する。治療としては石炭酸亜鉛華リニメント(カチリ)などの外用が行われる。抗ウイルス剤のアシクロビルは重症水痘、および水痘の重症化が容易に予測される免疫不全者などでは第一選択薬剤となる。インフルエンザと同様に、水痘感染時にはアスピリン内服によるライ症候群の危険性があるので、注意を要する。例年、冬季にかけて報告数は増加するが、2004年第2 週には例年に比べて報告数が多くなっている。

図.水痘の年別週別発生状況

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