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第7週ダイジェスト
(2004年2月9日〜15日)
  • 発生動向総覧 (1月報含む)
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。

 発生動向総覧

〈第7週コメント〉2月19日集計分
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11 月5 日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43 号「速報」参照)。

全数報告の感染症

注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計 を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

コレラ1 例(推定感染地域:タイ)
細菌性赤痢5 例(推定感染地域:いずれもインドネシア)
パラチフス1 例(推定感染地域:ミャンマー)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症5 例(うち有症者2 例)
血清型・毒素型:O157 VT1 ・VT2 (4 例)、O1 VT2 (1 例)
年齢:10 歳未満(1 例)、30 代(1 例)、4 0 代(2 例)、60 代(1 例)

4類感染症:

つつが虫病2 例(広島県1 例、鹿児島県1 例)
A 型肝炎 2例(推定感染地域:いずれも国内)
レジオネラ症1 例

5類感染症:

アメーバ赤痢 4 例(推定感染地域:国内3例、不明1例)

ウイルス性肝炎2例

B 型1 例(推定感染経路:性的接触)
C 型1 例(推定感染経路:不明)

クロイツフェルト・ヤコブ病 2 例(ともに孤発性)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 1例(71 歳)

後天性免疫不全症候群 7

(無症候6 例、その他1 例)
推定感染経路:性的接触6 例(異性間4 例、同性間2 例)、不明1 例
推定感染地域:国内4 例、ザンビア1 例、オーストラリア1 例、不明1 例

ジアルジア症 1例(推定感染地域:不明)
髄膜炎菌性髄膜炎1例(70 歳、死亡)
梅毒 2 例(早期顕症II 期1 例、無症候1 例)
破傷風 1 例(52 歳)
(補)他に梅毒1 例の報告があったが削除予定。

定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。


当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ上に表現した。1標準偏差を超えた場合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

インフルエンザ定点報告疾患:インフルエンザの定点当たり報告数は前週に引き続いて減少した。都道府県別では大分県(52.3 )、宮崎県(48.9 )、秋田県(41.3 )が多い(「注目すべき感染症」参照)。

小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2003年第43週から増加傾向が認められた後、2004 年第2 週から減少し、第6週は再び増加したが、第7週は減少した。過去5年間の同時期と比較してかなり多く、都道府県別では宮崎県(0.7)、岐阜県(0.6)、山口県(0.6)が多い。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第34週から増加傾向が認められた後、第51週をピークに減少し、第3週から再び増加したが、第7週は減少した。過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では富山県(4.6)、山形県(4.5)、鳥取県(4.1)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第43週から増加し続けた後、第51 週をピークに減少傾向が認められており、第7週も減少した。都道府県別では山口県(15.6)、三重県(13.8)、大分県(13.4)が多い。水痘の定点当たり報告数は第2週に過去10年間で最高の値となった後、第3 週には著減し、第4 週は増加、第5 週は減少、第6週は増加し、第7週は再び減少した。都道府県別では宮崎県(4.0)、大分県(3.6 )が多い。風疹の定点当たり報告数は前週と同値で、都道府県別では大分県(0.4)、群馬県(0.2 )が多い。RS ウイルス感染症の報告数は、36都道府県から合計194例であった。

基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加して0.20 であり、過去4 年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では岡山県(1.8 )、山形県(1.2 )が多い。


〈1月コメント〉
◆性感染症について  2004年2月10日集計分 性感染症定点数:917

*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11 月5 日施行)により、「尖形コンジローム」の疾患名が「尖圭コンジローマ」に変更になりました。

 2004 年1月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が3.37(男1.50、女1.87)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.81(男0.36 、女0.45 )、尖圭コンジローマが0.55(男0.28 、女0.27)、淋菌感染症が1.86(男1.52、女0.34)で、4 疾患のうち、男性では淋菌感染症および性器クラミジア感染症、女性では性器クラミジア感染症が多かった(図1)。前月に比べ、女性の性器クラミジア感染症、淋菌感染症で減少が続き、その他は横ばいである(グラフ総覧参照)。過去4年間の同時期と比較すると、性器クラミジア感染症が男性で平均+1標準偏差(SD )を、尖圭コンジローマでは男女ともに平均+2SDを越えている(図2)

図1.各性感染症が総報告数に占める割合(1月)


 定点当たり報告数を年齢階級別・男女別に比較すると(図3:PDF参照)、いずれの疾患でもピークは20
〜29 歳にあったが、性器ヘルペスウイルス感染症では50 代以降の高年齢層からの報告も少なくない。淋菌感染症ではいずれの年齢層でも男性の占める割合が高いが、他の3疾患では、若年齢層で女性の報告者数が多い傾向が認められた。
 感染症法が施行された1999 年4月以降について、若年齢層(15〜29 歳)での各性感染症の定点当たり報告数を月別・男女別に図4(PDF参照)に示した。冬場にかけての減少、あるいは横ばい状態が
続いている。


注:本発生動向調査で得られる性感染症患者報告数および解析結果は、現在の定点の構成に基づく制限のもとに解釈される必要がある。詳細はIDWR 週報2000年第46号(10月報)4ページの記載を参照されたい。

◆薬剤耐性菌について (2月10日集計分)

1月の基幹定点総数:

467.

[定点当たり報告数]

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
3.95(前月:3.67、前年同月:3.65)
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
1.19(前月:1.63、前年同月:1.25)
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.14(前月:0.16、前年同月:0.11)

[年齢階級別]

MRSA 感染症・・・高齢者に多く、65 歳以上が全体の 70%(70 歳以上が60%)を占めている。(図1:PDF参照)
PRSP 感染症・・・小児に多く、10 歳未満が全体の68% (5 歳未満が62%)を占めている。また70 歳以上の 高齢者にも多く、全体の16%を占めている。(図2:PDF参照 )
薬剤耐性緑膿菌感染症・・・70 歳以上の高齢者に多 く、全体の64 %を占めている。(図3:PDF参照)

[性別:女性を1 として算出した男/女比]

MRSA 感染症・・・1.7/1
PRSP 感染症・・・1.3/1 薬剤耐性緑膿菌感染症?1.6/1

[都道府県別]

MRSA 感染症・・・定点当たり報告数は山口県(11.1 )、 栃木県(7.9 )、高知県(7.9 )が多い。
PRSP 感染症・・・定点当たり報告数は富山県(9.4 )、 山口県(4.1 )が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症・・・定点当たり報告数は岩手 県(1.3 )、香川県(1.0 )が多い。

◆結核サーベイランス月報 2月25日集計分
 1 月の新登録患者数は2,280 人(男性1,445 人、女性835 人)で、このうち活動性肺結核患者は 1,866 (うち喀痰塗抹陽性者は870 人)であった。 都道府県・政令指定都市別の新登録患者数は、東京都(280 人)、大阪府(大阪市を除く)(140 人)、大阪市(114 人)、千葉県(89 人)、兵庫県(神戸市を除く)(83 人)、愛知県(名古屋市を除 く)(80 人)、名古屋市(80 人)が多い。 また、別掲により集計されているマル初者数*は366 人、非定型抗酸菌陽性者数は223 人であ った。


*マル初…結核の感染が強く疑われるが発病はしておらず、発病予防のための内服を行っている者。
 詳しいコメントは、結核研究所の結核発生動向調査結果報告(http://www.jata.or.jp/tbmr/tbmr. htm )をご覧ください。
 また、9月19日に、2002年の結核発生動向調査年報が出されました。詳しくは、結核研究所のホームページ(http://www.jata.or.jp )でご覧下さい。 



  注目すべき感染症

◆インフルエンザ

 2004 年第7週のインフルエンザの定点当たり報告数は23.9 である。第5 〜6週にかけて最も報告数が増加し、第7 週では減少してきている。ピークの定点当たり報告数は昨シーズンより若干少ないものの、30 を超えていた。
 第7 週には多くの都道府県で報告数は減少したものの、九州・沖縄地方や北海道では依然として増加している。また、インフルエンザ様疾患に伴う2 月8 〜14 日での休校・学年閉鎖・学級閉鎖の合計は1,044 件に上り、昨年同時期(1,118 )と同程度になっている。
 これまでに確認されたインフルエンザウイルスは、多くがAH3 型である。
「インフルエンザ情報早期把握システム(New )」「インフルエンザのQ &A 」「国内患者発生動向調査」「ウイルス分離状況」「抗体保有状況」「学校欠席者数」などインフルエンザの総合的な情報については、以下のURL を参照されたい。

図:過去5シーズンのインフルエンザ週別トレンドグラフ

図. 都道府県別インフルエンザ流行状況


 ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/newpage2.html
インフルエンザの流行レベルマップについては、以下のURL をご参照されたい。
 ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-keiho/guide03.html

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