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第9週ダイジェスト
2004年第9週(2月23日〜2月29日)

・発生動向総覧
・注目すべき感染症

 をPDF版よりピックアップして掲載しています。

 発生動向総覧


全数報告の感染症
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11月5日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43号「速報」参照)。


〈第9週コメント〉3月4日集計分

注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢 4例(推定感染地域:インド1例、カンボジア1例、ケニア1例、モロッコ1例)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症 8例(うち有症者4例)
血清型・毒素型:O157 VT1 ・VT2(4例)、O157 VT2(3 例)、O157 VT1 (1 例)
年齢:10歳未満(1例)、10代(4例)、20代(1例)、30代(2例)

4類感染症:

デング熱1例(推定感染地域:インドネシア)
マラリア1例(三日熱_推定感染地域:ブラジル)
レジオネラ症 1例(79歳)
A型肝炎 3例(推定感染地域:いずれも国内)

5類感染症:

アメーバ赤痢 7例(推定感染地域:国内5例、不明2例)
ウイルス性肝炎 5 例(いずれもB型_推定感染経路:性的接触3 例、不明2 例)
クロイツフェルト・ヤコブ病 1例(孤発性)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 1 例(56歳)

後天性免疫不全症候群 17例

(無症候10例、AIDS 5例、その他2例)
推定感染経路:性的接触13例(異性間6例、同性間7 例)、不明4例
推定感染地域:国内14例、不明3例

先天性風しん症候群 1例
梅毒 3例(早期顕症I 期 1例、早期顕症II 期1 例、先天梅毒1 例)
急性脳炎 1例(病原体不明.0歳)
(補)Q 熱1 例は現在確認中。他にオウム病、ジアルジア症、梅毒各1 例の報告があったが削除予定。

定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

インフルエンザ定点報告疾患:インフルエンザの定点当たり報告数は第5週をピークに減少し 始め、第9 週も減少した。都道府県別では大分県(29.8)、宮崎県(28.0)、福井県(24.3)が多い (「注目すべき感染症」参照)。

小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2003年第43週から増加傾向が認めら れたが、2004 年第2週から減少し、第3週からは週により増減はあるが、ほぼ横ばいで推移して いる。過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多く、都道府県別では富山県 (0.6)、宮崎県(0.6)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第34週から増 加傾向が認められた後、第51週をピークに減少したが、第3週から再び増加傾向が認められ、第9週も増加した。過去10年間で最高の値となっており、都道府県別では富山県(6.4)、山形県 (5.4)、新潟県(5.3)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第43週から増加し続けた後、 第51 週をピークに減少傾向が認められていたが、第8週は増加し、9週も微増した。都道府県別 では大分県(16.7)、宮崎県(15.5)、山口県(15.4)、三重県(15.3)が多い。風しんの定点当たり 報告数は減少したが、都道府県別では大分県(0.3)、群馬県(0.2)が多い(「注目すべき感染症」 参照)。麻しんの定点当たり報告数は前週と同値であるが、都道府県別では新潟県(0.2)が多 い。RSウイルス感染症の報告数は36都道府県から合計110例であった。

基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加して0.20 で、4年間の同時期 と比較してやや多く、都道府県別では岡山県(1.8)、秋田県(1.0)が多い。

過去1年間の動き(グラフ)


 注目すべき感染症

◆風しんおよび先天性風しん症候群

 第9週には、今年第1例目の先天性風しん症候群(congenital rubella syndrome:CRS)が報告された。2000〜2003 年は各年1例の報告で、今回の報告は、2002〜2003年に風しんの流行が みられた岡山県からである。ワクチン未接種で罹ったこともなく風しんに対する免疫のない女 性が、妊娠初期に風しんに罹患するとウイルスが胎児にも感染し、出生児にCRS を起こすことが ある。感音性難聴、白内障または緑内障、心疾患が3徴候で、難聴は妊娠初期の3か月間だけ でなく、その次の3カ月間の感染でもおこり得る。
 予防のためには、妊娠可能で免疫がない女性 はワクチンを接種し、免疫を獲得しておく必要があるが、社会全体のレベルでも免疫獲得者の 割合を十分多くし、風しんの流行を抑えることによって、妊婦が感染する可能性を減少させるこ とも重要である。
 2003年9月まで風しん予防接種の経過措置のキャンペーンなども行われており、ここ数年、小 児科定点から報告される全国の風しん患者数は、以前よりかなり少なく推移している。しかし ながら、本年の定点当たり報告数を都道府県別にみると、大分県、群馬県、鹿児島県など依然 として報告数の多い都道府県もあり、そこでは地域的な流行が認められている。また、定点か らの報告が少ない地域でもワクチン接種率が低い場合には、大きな流行を起こす可能性があ る。風しんはワクチンで予防できる疾患であり、経過措置終了後の現在もさらなる定期予防接 種の徹底や、定期予防接種対象者外であっても免疫のない人達への予防接種(任意予防接種) の啓発が大切である。

◆インフルエンザ

 2004 年第9 週のインフルエンザの定点当たり報告数は9.4である。第5〜6週にかけて最も報 告数が増加した後、第7週からは減少し、第8、9週ではさらに減少した。第9週にはすべての都 道府県で前週に比べて減少した。
 インフルエンザ様疾患に伴う2月22〜28日での休校・学年閉鎖・学級閉鎖の合計は282件で あり、昨年同時期(916)に比べると少ない。 これまでに確認されたインフルエンザウイルスは多くがAH3型である。 「インフルエンザ情報早期把握システム(New)」「インフルエンザのQ&A 」「国内患者発生動 向調査」「ウイルス分離状況」「抗体保有状況」「学校欠席者数」などインフルエンザの総合的な 情報については、以下のURL を参照されたい。

図. 都道府県別インフルエンザ流行状況

  ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/newpage2.html
インフルエンザの流行レベルマップについては、以下のURL を参照されたい。
 ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-keiho/index.html

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