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第12週ダイジェスト
2004年第12週(3月15日〜3月21日)

・発生動向総覧
・注目すべき感染症

 をPDF版よりピックアップして掲載しています。

 発生動向総覧


全数報告の感染症
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11月5日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43号「速報」参照)。


〈第12週コメント〉3月11日集計分

注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢 5例(推定感染地域:国内1例、インドネシア2例、アフガニスタン1例、モロッコ1例)
腸チフス 1例(推定感染地域:国内)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症 10例(うち有症者6例)
血清型・毒素型:O157 VT2(5例)、O157 VT1・VT2(3例)、O119 VT1・VT2(1例)、その他(1例)
年齢:10歳未満(4例)、10代(1例)、20代(2例)、30代(2例)、50代(1例)

4類感染症:

つつが虫病 2例(宮崎県1例、鹿児島県1例)
デング熱 2例(推定感染地域:マレーシア1例、インドネシア1例)
マラリア 1例(熱帯熱_推定感染地域:ナミビア)
レジオネラ症 4例(50代3例、60代1例)
E型肝炎 1例(推定感染地域:タイ)
A型肝炎 1例(推定感染地域:国内)

5類感染症:

アメーバ赤痢 7例(推定感染地域:国内2例、フィリピン1例、シンガポール/韓国1例、その他1例、 不明2例)

ウイルス性肝炎 2例

B型1例(推定感染経路:性的接触)
C型1例(推定感染経路:不明)

クロイツフェルト・ヤコブ病 2例(孤発性1例、GSS 1例)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 1例(74歳)

後天性免疫不全症候群 10例

(無症候7例、AIDS 3例)
推定感染経路:性的接触9例(異性間3例、同性間6例)、不明1例
推定感染地域:国内8例、カナダ1例、不明1例例

ジアルジア症 1例(推定感染地域:国内)
梅毒 2例(ともに無症候)
破傷風 1例(70歳)
(補)他にジアルジア症1例の報告があったが削除予定。また、報告遅れとして、E型肝炎1例(推定感染地域:中 国)、レプトスピラ症1例(推定感染地域:国内)、急性脳炎1例(インフルエンザウイルスA.1歳)の報告があった。

定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

インフルエンザ定点報告疾患:インフルエンザの定点当たり報告数は第5週をピークに減少し、 第12週も減少した。都道府県別では大分県(9.5)、福井県(7.5)、山口県(5.6)、宮崎県(5.5)が多い。

小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は夏季の流行の後、2003年第43週から 再び増加傾向が認められた。その後第52週をピークに減少し、第3週からはほぼ横ばいで推移した後、第11週は増加したが、第12週は減少した。過去5年間の同時期(前週、当該週、後週) と比較してかなり多く、都道府県別では宮崎県(1.3)、富山県(1.2)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2003年第51週をピークに減少したが、第3週から再び増加傾 向が認められ、第8週からは過去10年間で最高の値を更新し続けたが、第12週は減少した。都道府県別では新潟県(8.0)、山形県(6.7)、富山県(5.3)が多い(「注目すべき感染症」参照)。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は、第51週をピークに減少傾向が認められた後、第8週から再 び増加していたが、第12週は減少した。都道府県別では大分県(19.7)、宮崎県(16.3)、三重県(15.3)が多い。水痘の定点当たり報告数は第2週に過去10年間で最高の値となった後減少し、 第5週からは週により増減はあるがほぼ横ばいで推移している。都道府県別では沖縄県(3.7)、 宮崎県(3.6)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は第8週から緩やかな増加が認められて いたが、第12週は減少した。都道府県別では山形県(1.6)、新潟県(1.4)、福井県(1.1)が多い。 風しんの定点当たり報告数は微増し、過去5年間の同時期と比較してかなり多く、都道府県別で は群馬県(0.4)、宮城県(0.3)、大分県(0.3)、栃木県(0.2)、鹿児島県(0.2)が多い(「注目すべき 感染症」参照)。RSウイルス感染症の報告数は36都道府県から合計76例であった。

基幹定点報告疾患: マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加して0.18で、都道府県別で は岡山県(1.2)、山形県(0.8)、秋田県(0.7)が多い。

過去1年間の動き(グラフ)



 注目すべき感染症

◆ A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

 A群溶血性レンサ球菌による感染症は、菌の侵入部位や組織によって多彩な臨床症状を引き起こす。日常よくみられる疾患として、急性咽頭炎の他、膿痂疹、蜂巣織炎、あるいは特殊な病型として猩紅熱がある。これら以外にも中耳炎、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎などを起こす。また、菌の直接の作用でなく、免疫学的機序を介して、リウマチ熱や急性糸球体腎 炎を起こすことが知られている。 本疾患の報告数は、迅速診断キットの普及などから近年増加していたが、昨年までに比べると、2004年の第9週から非常に多くなっている。都道府県別では新潟県(8.0)、山形県(6.7)、 富山県(5.3)、宮城県(4.5)、鳥取県(4.2)などからの報告が多い。また、年齢群別では5歳前後 の報告が多かった。

図1 .A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の年別・週別発生状況

図.風しんの週別報告数(2003年第1週〜2004年第12週)


◆ 風しん

 2003年9月まで風しん予防接種の経過措置のキャンペーンなども行われており、ここ数年、小児科定点から報告される全国の風しん患者数は、以前よりかなり少なく推移している。しかし ながら、本年の定点当たり報告数を都道府県別にみると、鹿児島県、群馬県、大分県など依 然として報告数の多い都道府県もあり、第12週では宮城県でも報告が増加してきている(上図)。 患者の年齢群を比較してみると、本年は昨年に比べて、学童期や20歳以上の割合が多くなって いる。これらの報告は小児科定点からの報告であるので、成人の風しんがより多い可能性もあ り、予断を許さない。 風しんはワクチンで予防できる疾患であり、経過措置終了後の現在も、定期接種の対象者だ けでなく、当時の経過措置の対象年齢層を中心に、免疫のない人達への任意接種の普及啓発 が大切である。また、今年に入ってこれまでに2例の報告があった「先天性風しん症候群」の予防のためには、小児科ばかりでなく、特に妊婦や妊娠年齢の女性の管理を行う産科や婦人科 においても、地域での風しんの流行状況などに細心の注意を払っていく必要がある。

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