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第15週ダイジェスト
2004年第15週(4月5日〜11日)

・発生動向総覧
・注目すべき感染症

 をPDF版よりピックアップして掲載しています。

???S 発生動向総覧


全数報告の感染症
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11月5日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43号「速報」参照)。


〈第15週コメント〉4月15日集計分

注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

コレラ1例(推定感染地域:インド)
細菌性赤痢 7例(推定感染地域:国内1例、インド5例、バングラデシュ1例)
腸チフス 3例(推定感染地域:国内2例.疑似症1例)
パラチフス 2例(推定感染地域:ネパール1例、中国1例)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症 24例(うち有症者19例)
血清型・毒素型:O157 VT2(9例)、O157 VT1・VT2(7例)、O157 VT1(1例)、O26 VT1・ VT2(1例)、O26 VT1(1例)、その他(5例)
年齢:10歳未満(9例)、10代(6例)、20代(3例)、30代(1例)、50代(4例)、60代(1例)

4類感染症:

つつが虫病 1例(宮崎県)
デング熱 1例(推定感染地域:インド)
日本紅斑熱 1例(島根県)
マラリア 1例(熱帯熱_推定感染地域:ガーナ)
E型肝炎 1例〔推定感染地域:国内(猪肉の生食)〕

5類感染症:

アメーバ赤痢 7例(推定感染地域:国内5例、米国1例、インド/ネパール1例)

ウイルス性肝炎 3例

(いずれもB型_推定感染経路:いずれも性的接触)

クロイツフェルト・ヤコブ病 1例(孤発性)

後天性免疫不全症候群 8例

(無症候7例、AIDS 1例)
推定感染経路:いずれも性的接触(異性間2例、同性間6例)
推定感染地域:国内7例、不明1例例

ジアルジア症 1例(推定感染地域:不明)
梅毒 7例(早期顕症II期3例、晩期顕症2例、無症候2例)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症 1例〔遺伝子型:VanB_菌検出検体:静脈カテーテル)
急性脳炎 2例(ともに病原体不明)
(補)他に、ウイルス性肝炎、梅毒、バンコマイシン耐性腸球菌感染症各1例の報告があったが、削除予定。 また、報告遅れとして急性脳炎3例(いずれも病原体不明)の報告があった。

定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

過去5年間との比 CPEGグラフ

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

インフルエンザ定点報告疾患:インフルエンザの定点当たり報告数は第5週をピークに減少し、 第15週も減少した。都道府県別では長崎県(1.5)、大分県(1.5)が多い。

小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期(前 週、当該週、後週)と比較してかなり多く、都道府県別では宮崎県(1.6)、富山県(0.8)が多い。 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は、第11週に過去10年間で最高の値となっ た後減少し、第15週も減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別で は富山県(4.1)、新潟県(3.4)、宮城県(3.2)、福井県(3.1)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり 報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では福井県(18.9)、 広島県(13.5)、石川県(12.4)、富山県(12.1)が多い。水痘の定点当たり報告数は第2週に過去 10年間で最高の値となった後減少し、第5週からはほぼ横ばいで推移している。都道府県別で は宮崎県(5.0)、愛媛県(3.8)、鹿児島県(3.8)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は第9 週から緩やかに増加しており、第15週も微増した。都道府県別では新潟県(1.1)、石川県(1.0) が多い。風しんの定点当たり報告数は前週と同値で、過去5年間の同時期と比較してかなり多 く、都道府県別では群馬県(0.6)、大分県(0.4)、栃木県(0.3)が多い(「注目すべき感染症」参 照)。RSウイルス感染症の報告数は30都道府県から合計62例であった。

過去1年間の動き(グラフ)


???S 注目すべき感染症

◆ 風しん

小児科定点医療機関から報告される全国の風しん患者数は、ここ数年かなり少なく推移して いる。しかしながら、本年の定点当たり報告数を都道府県別にみると、大分県、群馬県、鹿児 島県、宮城県、埼玉県などで報告数の増加があり、第15週には群馬県、埼玉県と隣接する栃 木県での増加がみられている(図)

図. 風しんの週別報告数(2003年第15週〜2004年第15週)

 ワクチン未接種で罹ったこともなく、風しんに対する免疫のない妊婦が妊娠初期に感染する と、出生児に先天性風しん症候群(CRS)を起こすことがある。CRSについては、2000〜2003 年は各1例の報告であったが、本年は既に2例報告されている。 近年報告されたCRS 6症例の解析から、風しんの大きな流行の時だけでなく、散発症例発 生の際の母親の感染によっても発生していると考えられた。風しんはワクチンで予防できる疾 患であり、非流行時であっても妊娠可能年齢の女性は、妊娠前に予防接種を受けておくことが 必要である。また、罹患を防止するためには流行を抑制することが必要であり、定期接種の対 象者だけでなく、経過措置の当時の対象年齢層を中心に、男女ともに免疫のない人々は任意 接種を受けることが望まれる。
 速報として「市内保育施設における風しん流行時の対策について(大阪府堺市健康福祉局 健康部堺市保健所)」があります。

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