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第20週ダイジェスト
(2004年5月10日〜16日) |
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をPDF版よりピックアップして掲載しています。 |
発生動向総覧
〈第20週コメント〉5月20日集計分
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11月5日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43 号「速報」参照)。
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計 を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。
1類感染症:
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報告なし
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2類感染症:
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細菌性赤痢22例(推定感染地域:国内3例、ネパール7例、インド5例、ベトナム2例、パキスタン1例、フィリピン1例、中国1例、タイ1例、タイ/カンボジア1例)
腸チフス 2例(推定感染地域:インド1例、インドなど1例)
パラチフス 6例(推定感染地域:国内1例、インド3例、ネパール1例、その他1例)
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3類感染症:
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腸管出血性大腸菌感染症 44例(うち有症者31例)
報告の多い都道府県:兵庫県(5例)、広島県(5例)、千葉県(4例)、石川県(4例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(14例)、O26 VT1(14例)、O157 VT2(10例)、O148 VT2
(2例)、O157 VT1(1例)、O26 VT1・VT2(1例)、その他(2例)
年齢:10歳未満(19例)、10代(4例)、20代(6例)、30代(3例)、40代(4例)、50代(5例)、60代
(2例)、70歳以上(1例)
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4類感染症:
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オウム病 3例(推定感染源:いずれもインコ)
つつが虫病 2例(宮城県、山形県)
日本紅斑熱 1例(高知県)
マラリア 2例〔熱帯熱1例(推定感染地域:アフリカ)、三日熱1例(推定感染地域:マラウイ)〕
レジオネラ症 1例(71歳)
A型肝炎 2例(推定感染地域:ともに国内)
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5類感染症:
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アメーバ赤痢 3例(推定感染地域:いずれも国内)
クリプトスポリジウム症 1例(推定感染地域:国内)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 3例(4歳、26歳、81歳)
後天性免疫不全症候群 6例
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(無症候5例、AIDS 1例)
推定感染経路:性的接触6例(異性間1例、同性間4例、不明1例)
推定感染地域:国内5例、タイ1例
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ジアルジア症 1例(推定感染地域:インド)
梅毒 7例(早期顕症II期4例、晩期顕症1例、無症候2例)
破傷風 3例(60歳、62歳、77歳)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症 1例(遺伝子型:VanB_菌検出検体:便)
急性脳炎 1例〔病原体不明(3歳)〕
(補)他に、腸管出血性大腸菌感染症 1例、ウイルス性肝炎 1例の報告があったが削除予定。また、報告遅れ として急性脳炎 3例〔単純ヘルペスウイルス1例(71歳)、病原体不明2例(54歳、57歳)〕の報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基幹定点(約500カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ上に表現した。1標準偏差を超えた場合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。
小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期(前週、 当該週、後週)と比較してかなり多く、都道府県別では宮崎県(1.9)、島根県(1.4)、佐賀県 (1.4)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多く、都道府県別では山形県(5.8)、富山県(4.7)、新潟県(4.1)が多い。 感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府 県別では福井県(14.9)、富山県(11.5)が多い。手足口病の定点当たり報告数は微増し、都道 府県別では、沖縄県(0.9)、兵庫県(0.5)が多い。風しんの定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多く、都道府県別では栃木県(0.6)、群馬県(0.6)、沖縄県 (0.4)、秋田県(0.3)、大分県(0.3)が多い(「注目すべき感染症」参照)。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加し、都道府県別では石川県(2.6)、愛媛県(2.3)、熊本県(1.5)が多い。 麻しんの定点当たり報告数は前週と同値であるが、都道府県別では栃木県(0.4)、徳島県(0.2) が多い。RSウイルス感染症の報告数は、28都道府県から合計15例であった。
眼科定点報告疾患:流行性角結膜炎の定点当たり報告数は第3週からほぼ横ばいで推移して いるが、都道府県別では沖縄県(9.8)が非常に多い。
〈4月コメント〉
◆性感染症について 2004年5月14日集計分 性感染症定点数:924
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11月5日施行)により、「尖形コンジローム」の疾患名が「尖圭コンジローマ」に変更になりました。
2004年4月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が3.27(男1.40、女1.87)、 性器ヘルペスウイルス感染症が0.89(男0.33、女0.56)、尖圭コンジローマが0.55(男0.31、女0.24)、 淋菌感染症が1.51(男1.24、女0.28)で、4疾患のうち、男性では性器クラミジア感染症および淋菌感染症、女性では性器クラミジア感染症が多かった(図1)。前月に比べて横ばいから、やや上昇 傾向がみられる(「グラフ総覧」参照)。過去4年間の同時期と比較すると、性器ヘ ルペスウイルス感染症が男性では平均+1標準偏差(SD)を下回ったが、女性では平均+2SDを超えた。尖圭コンジローマが、男性で平均+1SDを超えた(図2)。
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定点当たり報告数を年齢階級別・男女別に比較すると(図3:PDF参照)、いずれの疾患でもピークは20〜 29歳にあったが、性器ヘルペスウイルス感染症では50代以降の高年齢層からの報告も少なくな い。淋菌感染症では男性の占める割合が高いが、他の3疾患では若年齢層で女性の報告者数 の方が多い。
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年齢層(15〜29歳)での各性感染症の定 点当たり報告数を月別・男女別に図4(PDF参照)に示した。前月に比べほぼ横ばいである。
注:本発生動向調査で得られる性感染症患者報告数および解析結果は、現在の定点の構成に基づく制限のもとに解釈される必要がある。詳細はIDWR 週報2000年第46号(10月報)4ページの記載を参照されたい。
◆薬剤耐性菌について (5月14日集計分)
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4月の基幹定点総数:
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472.
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[定点当たり報告数]
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
3.85(前月:4.19、前年同月:3.78)
月別では、年間を通して報告数は殆ど変わらな
いが、年別では微増傾向が認められる。
4月の定点当たり報告数は過去5年間の同月に
比して最も多い。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
1.42(前月:1.33、前年同月:1.17)
春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)
に報告数が多い。
4月の定点当たり報告数は過去5年間の同月に
比して最も多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症 0.13(前月:0.10、前年同月:0.11) 月別では、年間を通じて報告数は殆ど変わらない。 4月の定点当たり報告数は、過去5年間と比較 して、2002年に次いで多い。 |
[年齢階級別]
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MRSA感染症
高齢者に多く、65歳以上が全体の
72%(70歳以上が62%)を占めている。(図1:PDF参照)。
PRSP感染症
小児に多く、10歳未満が全体の72% (5歳未満が66%)を占めている。また高齢者にも 多く、65歳以上が全体の17%(70歳以上が13%) を占めている。(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症
高齢者に多く、65歳以上
が全体の61%(70歳以上が51%)を占めている(図3:PDF参照)。
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[性別:女性を1 として算出した男/女比]
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MRSA感染症…1.8/1
PRSP感染症…1.4/1
薬剤耐性緑膿菌感染症…1.6/1
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[都道府県別]
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MRSA感染症
定点当たり報告数は富山県(9.2)、栃木県(9.1)、山口県(7.6)、島根県(7.5)が
多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は千葉県(11.6)、富山県(7.0)、山口県(6.7)が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症
定点当たり報告数は岩手県(0.5)、広島県(0.4)、山口県(0.4)が多い。
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◆結核サーベイランス月報 5月21日集計分
4月の新登録患者数は2,411人(男性1,580人、女性831人)で、このうち活動性肺結核患者は
1,893(うち喀痰塗抹陽性者は887人)であった。都道府県・政令指定都市別の新登録患者数は、
東京都(287人)、大阪府(大阪市を除く)(159人)、大阪市(128人)、愛知県(名古屋市を除く)
(93人)、埼玉県(さいたま市を除く)(87人)が多い。
また、別掲により集計されているマル初者数*は399人、非定型抗酸菌陽性者数は208人であ った。
*マル初…結核の感染が強く疑われるが発病はしておらず、発病予防のための内服を行っている者。
詳しいコメントは、結核研究所の結核発生動向調査結果報告(http://www.jata.or.jp/tbmr/tbmr. htm )をご覧ください。
注目すべき感染症
◆風しんおよび先天性風しん症候群
風しんの発生動向は、感染症法に基づき、全国約3,000カ所の小児科定点医療機関から毎週 報告される患者数により把握されている。ここ数年、その報告数はかなり少なく推移しているが、 本年の報告数は現在までのところ、過去5年間の報告数と比較して多くなっている(表)。
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表. 風しんの累積報告数(1999年4月〜2004年第20週) |
図. 風しんの週別報告数(2003年第20週〜2004年第20週) |
昨年は岡山県において、ピーク時の定点当たり報告数1.43人という大きな流行が認められたも のの、それ以外の都道府県での流行は認められなかった。本年は複数の都道府県において発生数の増加が認められている。第20週までの累積定点当たり報告数を都道府県別にみると、群 馬県、大分県、鹿児島県が特に多く、次いで栃木県、沖縄県、福岡県、埼玉県などが多い。 第20週の全国からの報告数は243人、定点当たり報告数は0.08人であり、都道府県別では、栃木県(0.6)、群馬県(0.6)、沖縄県(0.4)、秋田県(0.3)、大分県(0.3)が多かった(図)。
妊婦が妊娠初期に感染すると、出生児に感音性難聴、白内障または緑内障、心疾患を3主徴とした先天性風しん症候群(CRS)を起こすことがある。CRSは、妊娠16週までの感染で起こることが殆どである。CRSは1999年4月の感染症法の施行により全数把握疾患となり、1999年には報告がなく、2000〜2003年は各1例であったが、本年は既に3例の報告があった。3例のうち2例は、 2002〜2003年に風しんの流行がみられた岡山県からである。
風しんの罹患歴や予防接種歴がない妊娠可能年齢の女性は、妊娠する以前に予防接種を受けておくことが必要である。予防接種は、風しんとCRSを予防するための最大の手段と言える。しかし、これまでに報告された7例の母親の予防接種歴をみると、「なし」2名、「不明」4名で、「あり」 が1名であった。このように、稀には罹患歴や予防接種歴がある場合でも十分な免疫が獲得され ていないこともあるので、場合により妊娠前に抗体検査を行うことも必要と考える。 また、妊婦の風しん罹患を防止するためには、社会全体での風しんそのものを抑制することが 必要である。そのためには、定期接種の対象者だけでなく、2003年9月まで行われた経過措置の対象年令層(1979年4月2日〜1987年10月1日生まれの者)を中心に、小児から成人まで、男女ともに免疫のない人々は任意接種を受けることが強く望まれる。 さらに、小児科ばかりでなく、特に妊婦や妊娠年齢の女性の管理を行う産科や婦人科、また発症時に診療する内科、皮膚科などにおいては、地域での風しんの流行状況などに細心の注意を 払う必要がある。
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