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第26号ダイジェスト
2004年第26週(6月21日〜6月27日)
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・発生動向総覧
・注目すべき感染症
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をPDF版よりピックアップして掲載しています。 |
発生動向総覧
◆全数報告の感染症
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11月5日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43号「速報」参照)。
〈第26週コメント〉6月24日集計分
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。
1類感染症:
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報告なし
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2類感染症:
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コレラ 7例(推定感染地域:フィリピン6例、インド1例)
細菌性赤痢 18例(推定感染地域:国内5例、インドネシア6例、エジプト/ギ リシア5例、マレーシア1例、ネパール1例) パラチフス 4例(推定感染地域:インド2例、タイ1例、インドネシア1例)
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3類感染症:
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腸管出血性大腸菌感染症 115例(うち有症者75例)
報告の多い都道府県:愛媛県(29例)、千葉県(16例)、大阪府(14例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(36例)、O26 VT1(35例)、O157 VT2
(18例)、O157 VT1(1例)、その他(25例)
年齢:10歳未満(55例)、10代(27例)、20代(9例)、30代(7例)、40代(3例)、
50代(4例)、60代(6例)、70歳以上(4例)
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4類感染症:
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つつが虫病 2例(山形県、鳥取県)
日本紅斑熱 1例(島根県)
レジオネラ症 2例(50歳、57歳)
E型肝炎 1例(推定感染地域:国内、推定感染源:不明)
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5類感染症:
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アメーバ赤痢 8例(推定感染地域:いずれも国内.推定感染経路:経口感 染1例、性的接触4例、不明3例)
ウイルス性肝炎 2例(いずれもB型_推定感染経路:性的接触1例、不明1 例)
クロイツフェルト・ヤコブ病 1例(孤発性)
後天性免疫不全症候群 7例
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(無症候6例、AIDS 1例)
推定感染経路:いずれも性的接触(異性間2例、同性間5例)
推定感染地域:国内6例、不明1例
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ジアルジア症 1例(推定感染地域:国内)
髄膜炎菌性髄膜炎 1例(54歳、推定感染地域:国内)
梅毒 4例(早期顕症II期2例、無症候2例)
破傷風 1例(78歳)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症 4例
(遺伝子型:VanB 3例_菌検出検体:いずれも便、VanC 1例_菌検出検 体:血液)
(補)他に、ウイルス性肝炎1例、クロイツフェルト・ヤコブ病1例の報告があったが削除予
定。また、報告遅れとして急性脳炎2例〔病原体:サルモネラ菌(7歳)、ペニシリン耐
性肺炎球菌(55歳)〕の報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第11週から増加傾向が認められているが、第25週は過去10年間の全ての週と比較して最高値を示した。第26週もさらに増加して、最高値を更新した。都道府県別では富山県(2.0)、新潟県(1.9)、福井県(1.8)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は、第11週に過去10年間で最高値を示した後、減少 した。その後、第16週から再び増加傾向が認められたが、第23週から減少している。しかし、 第19週を除き、第7週から継続して過去10年間の当該週と比較して最高値を示している。都道府県別では愛媛県(4.5)、山形県(3.2)、宮崎県(3.1)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第12週から減少傾向が続いており、第26週も減少した。しかし、過去5年間の同時期(前週、 当該週、後週)と比較してやや多く、都道府県別では福井県(9.3)、鳥取県(8.1)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第20週から緩やかに増加しており、第26週も微増した。都道府県別では兵庫県(2.3)、福岡県(2.1)が多い。風しんの定点当たり報告数は前週と同値で、都道府県別 では福島県(0.2)、栃木県(0.2)、群馬県(0.2)、大分県(0.2)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第20週から増加が続いたが、第26週は微減した。都道府県別では福井県(6.4)、 愛媛県(5.4)、三重県(5.1)が多い。RSウイルス感染症はゼロ報告を含めて27都道府県から報 告がなされ、報告数は合計20例であった。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は第20週から増加傾向が認めら れており、第22週からは過去5年間の当該週と比較して最高値を示している。都道府県別では 山形県(1.2)、福島県(1.1)が多い。
注目すべき感染症
◆ 腸管出血性大腸菌感染症
腸管出血性大腸菌感染症は感染症法に基づく3類感染症として、無症状病原体保有者を含 む症例の報告が診断した医師に義務づけられている。無症状病原体保有者は、食品産業従事 者の定期検査での検便によって偶然発見される場合もあるが、探知された患者と食事を共にし た者や接触者の調査などによって発見される場合が多い。
2004年の報告数は、第15週から緩やかな増加傾向が認められ、第22週に100例を超えたが、 その後第23から第25週まで微減が続いた。第26週は再び115例と報告数の増加が見られてい る(図1)。第26週までの累積報告数は857例で、過去3年間(2001年1,347例、2002年985例、2003 年610例)と比較すると、2003年より多い程度である。第26週までの累積報告数を都道府県別 にみると、岡山県(90例)、東京都(81例)、大阪府(64例)、兵庫県(46例)、千葉県(44例)が多 い。第26週に限ると、愛媛県(29例)、千葉県(16例)、大阪府(14例)が多く、愛媛県からの報 告の多くは、幼稚園でのO26VT1による集団発生に関連した報告であった。
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図1.腸管出血性大腸菌感染症(無症状病原体保有者を含む)届け出状況 |
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図2. O157およびO26感染者の年齢群別構成比(2004年第1〜26週) |
第26週までの累積報告を血清型別にみると、O157 547例(64%)、O26 189例(22%)の順に 多く、報告数全体に占めるこれらの割合は過去3年間と比較して変わらなかった。また、年齢群 別(0〜69歳までは10歳毎、および70歳以上)にみると、O157では0〜9歳が31%(5歳以下に限る と20%)であったが、O26では同年齢群が63%(5歳以下に限ると55%)と多くを占めていた(図2)。さらに、報告された症例の限りにおいて、有症者の割合(有症者:無症者)を年齢群別にみ ると、0〜9歳では、O157で6:1、O26で4:1と有症者の割合が多く、70歳以上においてもO157 で9:1と非常に多かった。
本年はこれまで死亡例の報告はないが、溶血性尿毒症症候群(HUS)が14例報告されてい る。このうち8例は5歳以下で、うち1例はO26によるものであった。死亡例やHUSの合併につい ては、届け出時点以降での発生が十分反映されていない可能性があり、このような発生があった場合には修正報告していただくことをお願いしている。
例年報告のピークは夏季にあり、今後さらに増加することが予想されるので、一層の注意が 必要である。また、本年においても、保育所などに関連した(特にO26を原因とした)集団発生 の報告が散見されている。保育所などでの人から人への感染を防ぐために、普段からの手洗 い(特にオムツ交換時)、園児に対する排便後・食事前の手洗いの指導を徹底することが重要 である。さらに、夏季には簡易プールなどの衛生管理にも注意を払う必要がある。
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