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第27号ダイジェスト
2004年第27週(6月28日〜7月4日)
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・発生動向総覧
・注目すべき感染症
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をPDF版よりピックアップして掲載しています。 |
発生動向総覧
◆全数報告の感染症
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11月5日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43号「速報」参照)。
〈第27週コメント〉7月8日集計分
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。
1類感染症:
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報告なし
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2類感染症:
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コレラ 4例(推定感染地域:フィリピン3例、タイ1例)
細菌性赤痢 5例(推定感染地域:インド1例、インドネシア1例、ミャンマー1 例、タイ1例、ネパール/チベット1例)
腸チフス 1例(推定感染地域:インド)
パラチフス 2例(推定感染地域:国内1例、インド1例)
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3類感染症:
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腸管出血性大腸菌感染症 99例(うち有症者77例)
報告の多い都道府県:大阪府(14例)、福岡県(10例)、愛媛県(9例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(46例)、O157 VT2(19例)、O26 VT1
(13例)、O111 VT1 (4例)、O26 VT2 (1例)、O103 VT1 (1例)、
その他(15例)
年齢:10歳未満(37例)、10代(16例)、20代(20例)、30代(7例)、40代(6
例)、50代(4例)、60代(6例)、70歳以上(3例)
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4類感染症:
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つつが虫病 1例(徳島県)
デング熱 2例(推定感染地域:ともにインドネシア)
日本紅斑熱 2例(高知県、鹿児島県) マラリア1例(熱帯熱_推定感染地域:ガーナ/ギニア)
レジオネラ症 1例(63歳)
E型肝炎 1例(推定感染地域:国内.推定感染源:不明)
A型肝炎 1例(推定感染地域:ケニア)
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5類感染症:
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アメーバ赤痢 5例(推定感染地域:国内4例、不明1例.推定感染経路:経 口感染1例、不明4例)
ウイルス性肝炎 2例(ともにB型_推定感染経路:ともに性的接触)
クリプトスポリジウム症 1例(推定感染地域:国内)
クロイツフェルト・ヤコブ病 3例(いずれも孤発性)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 1例(57歳)
後天性免疫不全症候群 10例
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(無症候6例、AIDS 4例)
推定感染経路:性的接触8例(異性間3例、同性間5例)、不明2例
推定感染地域:いずれも国内例
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ジアルジア症 2例(推定感染地域:ともに国内)
梅毒 4例(早期顕症I期2例、早期顕症II期1例、無症候1例)
破傷風 1例(75歳)
(補)他に、梅毒1例の報告があったが、削除予定。また報告遅れとして、コクシジオイデ
ス症1例(推定感染地域:米国アリゾナ州)、E型肝炎3例(推定感染地域:国内2例、
不明1例.推定感染源:いずれも不明)の報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第11週から増加傾向が認められているが、第26週には過去10年間の全ての週と比較して最高値を示した。第27週もさらに増加して、 最高値を更新した。都道府県別では埼玉県(1.8)、富山県(1.7)、神奈川県(1.6)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第11週に過去10年間で最高値を示した後、減少した。その後、第16週から再び増加傾向が認められたが、第23週から減少している。しかし、 第19週を除き、第7週から継続して過去10年間の当該週と比較して最高値を示している。都道府県別では愛媛県(4.0)、山形県(3.2)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第20週から緩やかに増加しており、第27週も増加した。都道府県別では兵庫県(3.3)、福岡県(2.9)が多い。 風しんの定点当たり報告数は前週と同値で、都道府県別では28都府県から報告があったが、いずれも0.2を超えなかった。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第20週から増加が続いた後、 第26週は微減したが、第27週は再び増加した。都道府県別では山口県(6.2)、福井県(6.0)、三重県(5.8)が多い。RSウイルス感染症はゼロ報告を含めて26都道府県から報告がなされ、報告数は合計15例であった。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は第20週から増加傾向が認められており、第22週からは過去5年間の当該週と比較して最高値を示している。都道府県別では 山口県(1.0)、茨城県(0.9)が多い。
注目すべき感染症
◆ コレラ
コレラは、1〜5日(通常1日以内)の潜伏期の後に、下痢や嘔吐で急激に発症する腸管感染症
である。殆どの場合腹痛や発熱はみられない。典型的症状は激しい水様性下痢(重症では“米
のとぎ汁様”)と脱水であるが、近年の報告症例では軽症であることが多い。しかし、胃腸の弱
い人(胃切除者など胃酸の働きが低下している人)や高齢者、乳幼児では重症化して死亡する
こともあり、油断できない疾患である。 WHOの報告基準では、コレラ毒素産生性のO1血清型コレラ菌およびO139血清型コレラ菌
によるものと定義されており、日本でも同じ定義を用いている。現在は、感染症法に基づく2類
感染症として、疑似症患者、無症状病原体保有者を含む症例の報告が診断した医師に義務づ
けられている。また、検疫法に基づく感染症でもある。
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図1.コレラの発症月別年次比較(1999年4月〜2004年第27週) |
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図2. コレラの発症月別推定感染地域(2004年第1〜27週) |
2004年は第27週(7月8日集計)までに26例(年間の累積報告数は、2000年58例、2001年50例、 2002年51例、2003年25例)が報告されている。感染症法施行(1999年4月)以降の報告数を発症 月別にみると、1999〜2003年は7〜9月にピークがあり、その報告数は8〜13人であった。しかし 本年は、6月の発症者が18例と非常に多く報告されている(図1)。本年報告された26例の推定 感染地域はすべて海外であるが、6月に発症した18例のうち、14例の推定感染国はフィリピンで あった(図2)。14例は全員男性で、年齢は30〜70歳代であり、便から分離された菌の血清型お よび生物型は、現在検査中の1例をのぞき、いずれもO1エルトール小川型であるが、訪れた地 域や、喫食した食品などの疫学的な関連性は認められていない。
例年報告のピークは7〜9月にあり(図1)、今後のさらなる増加が危惧される。コレラ流行地域 へ渡航する場合には、生水、氷、生の魚貝類、生野菜、カットフルーツなどを避けることが肝要 である。また、無理な旅行日程などによって体調をくずし、抵抗力を落とさないよう心がけるこ とも大切である。
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