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第30号ダイジェスト
2004年第30週(7月19日〜7月25日)
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・発生動向総覧
・注目すべき感染症(腸管出血性大腸菌感染症)
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をPDF版よりピックアップして掲載しています。 |
発生動向総覧
◆全数報告の感染症
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11月5日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43号「速報」参照)。
〈第30週コメント〉7月29日集計分
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。
1類感染症:
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報告なし
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2類感染症:
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コレラ 6例(推定感染地域:国内1例、フィリピン4例.疑似症1例)
細菌性赤痢 7例(推定感染地域:国内3例、中国1例、インドネシア1例、タイ 1例、メキシコ/パナマ1例)
腸チフス 1例(疑似症)
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3類感染症:
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腸管出血性大腸菌感染症 99例(うち有症者71例)
報告の多い都道府県:大阪府(11例)、宮城県(10例)、東京都(7例)、福岡
県(7例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(34例)、O157 VT2(28例)、O26 VT1
(12例)、O111 VT1(5例)、O26 VT1・VT2(2例)、O111
VT2(1例)、その他(17例)
年齢:10歳未満(40例)、10代(11例)、20代(23例)、30代(9例)、40代(6
例)、50代(3例)、60代(1例)、70歳以上(6例))
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4類感染症:
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マラリア 2例(三日熱1例_推定感染地域:セネガル、熱帯熱1例_推定感 染地域:ケニア)
レジオネラ症 1例(57歳)
A型肝炎 3例(推定感染地域:いずれも国内)
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5類感染症:
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アメーバ赤痢 5例(推定感染地域:国内4例、中国1例. 推定感染経路:経口感染1例、性的接触3例、不明1例)
ウイルス性肝炎 1例(B型_推定感染経路:不明)
クロイツフェルト・ヤコブ病 1例(孤発性)
後天性免疫不全症候群 10例
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(無症候8例、AIDS 1例、その他1例)
推定感染経路:性的接触9例(異性間2例、同性間7例)、不明1例
推定感染地域:国内9例、不明1例例
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梅毒 2例(早期顕症I期1例、無症候1例)
破傷風 1例(65歳)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症 1例(VanA_菌検出検体:尿)
(補)他に、ウイルス性肝炎1例の報告があったが削除予定。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第11週から増加傾向が認められ、第 25週には過去10年間の全ての週と比較して最高値となった。その後、第29週まで最高値を更新 し続けたが、第30週は減少した。都道府県別では北海道(2.2)、福井県(2.0)が多い。A群溶血 性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第23週から減少し続けており、第30週も減少した。 都道府県別では山形県(1.8)、鳥取県(1.7)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第12 週から減少傾向が続いており、第30週も微減した。都道府県別では福井県(6.7)、大分県(5.8) が多い。手足口病の定点当たり報告数は第20週から第29週まで緩やかに増加し続けたが、第 30週は微減した。都道府県別では兵庫県(3.8)、福岡県(3.3)、大分県(3.3)が多い。風しんの 定点当たり報告数は微減し、都道府県別では18都府県から報告があったが、いずれも0.1以下 であった。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は、第26週を除き、第20週から第29週まで増加し続けたが、第30週は減少した。都道府県別では山形県(7.1)、山口県(6.0)が多い。麻しんの定点当たり報告数は前週と同値で、第1週から継続して、過去10年間の当該週と比較して最低値 を示している。13都道府県から報告があったが、いずれも0.1以下であった。RSウイルス感染症 はゼロ報告を含めて31都道府県から報告がなされ、報告数は合計15例であった。
基幹定点報告疾患:無菌性髄膜炎の定点当たり報告数は増加し、都道府県別では滋賀県 (1.1)、島根県(0.9)が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は第20週から増加傾向が認められ、第25週をピークに減少傾向がみられており、第30週も微減した。しかし、第22週からは過去5年間の当該週と比較して最高値を示している。都道府県別では秋田県(1.0)、福 島県(1.0)が多い。
注目すべき感染症
◆ 腸管出血性大腸菌感染症
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図1. 腸管出血性大腸菌感染症(無症状病原体保有者含む)の年別週別発生状況 |
図2. 腸管出血性大腸菌感染症(無症状病原体保有者含む)の都道府県別発生状況 (2004年第1〜30週の累積) |
図3. 腸管出血性大腸菌感染症(無症状病原体保有者含む)の都道府県別発生状況 (2004年第30週のみ) |
腸管出血性大腸菌感染症は感染症法に基づく3類感染症として、患者または無症状病原体 保有者について、診断した医師は届け出が義務づけられている。無症状病原体保有者は、食 品産業従事者の定期的検便によって偶然発見される場合もあるが、探知された患者と食事を 共にした者や接触者の調査などによって発見される場合が多い。
2004年第30週の報告数は99例で、石川県から、高校の修学旅行に関連した73例の報告が あった第29週と比較して、減少した(図1)。また、第30週までの累積報告数は1,455例で、過去 3年間の同週までの累積報告数(2001年2,030例、2002年1,555例、2003年1,103例)と比較する と2002年と同程度で、2003年よりは多い。第30週までの累積報告数を都道府県別にみると、 石川県(140例)、東京都(116例)、大阪府(114例)、岡山県(99例)が多い(図2)。第30週に限 ると、大阪府(11例)、宮城県(10例)が多く(図3)、宮城県からの報告の一部は、保育所での O26 VT1による集団発生に関連した報告であった。
第30週までの累積報告数を血清型・毒素型別にみると、O157 VT1・VT2 471例(32%)、
O157 VT2 328例(23%)、O26 VT1 269例(18%)の順に多い。また、年齢群別(0〜69歳までは
10歳毎、および70歳以上)にみると、10歳未満539例、10代287例、20代210例、30代113例、40
代81例、50代98例、60代59例、70歳以上68例となっている。
第29週の報告遅れ分として、2004年に入って初めての死亡例(70代、女性)の報告が香川県
からあった。血清型・毒素型はO157 VT1・VT2で、溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症後、多
臓器不全により死亡している。また、HUSは2004年第30週に3例報告があり、累積で23例の報
告となった。それらの原因菌の血清型・毒素型別では、O157 VT2(10例)、O157 VT1・VT2(9
例)、O26 VT1・VT2(2例)、その他2例であった。また、年齢群別では10歳以下が17例(うち、
5歳以下は14例)、60代1例、70歳以上5例であった。性別では男性6例、女性17例と女性に多か
った。死亡例やHUSの合併については、届け出時点以降での発生が十分反映されていない可
能性があり、このような発生があった場合には修正報告していただくことをお願いしている。
例年報告のピークは夏季にあるので、一層の注意が必要である。また、本年においても、保
育所などに関連した集団発生の報告が散見されている。保育所などでの人から人への感染を
防ぐために、普段からの手洗い(特にオムツ交換時)、園児への排便後・食事前の手洗い指導
を徹底することが重要である。さらに、夏季には簡易プールなどの衛生管理にも注意を払う必
要がある。
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