国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ



幼稚園から高校生、及び保育園における新型インフルエンザA(H1N1)
ウイルス感染に対するCDCの暫定的手引き
−改訂版

      アメリカ東部時間2009年5月22日午後2時30分 
               CDC(原文


※以前のバージョンはこちら


 この文書は新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの感染拡大予防を目的とした学校や小児育児施設に対する暫定的手引きの最新版である。しかしながら、さらに情報が得られると推奨を改訂する必要があるかもしれない。

 この文書は前回のガイダンスより、幼稚園から高校生と、保育園を切り離し、再編集したものである。しかしながら、この文書は内容的にこれらの施設に対して、新しいガイダンスを掲示するものではない


背景

 
この文書は新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの学校や保育施設での感染拡大を防ぐための暫定的手引きの最新版である。この文書において、”保育施設“とは、公認または私設の家族またはセンターなどの形態をとる保育施設を指す。”学校“とは公立、私立にかかわらず、幼稚園から高校までの子供や青少年に対し集団で教育を行っている施設を指す。保育施設と学校は特徴が似ているが、異なる点もいくつかあるため、保育施設に特有の推奨がこの手引きには含まれている。

 アメリカ合衆国における初期の新型インフルエンザA(H1N1)症例は学齢の児童生徒などであり、メキシコへの渡航歴や学校におけるアウトブレイクに関連していた。メキシコからの初期段階での情報では、多くの健康な若年成人が急激に進行する肺炎で入院し、呼吸器不全となり人工呼吸管理下におかれ、最終的には死に至るということであった。

 この初期情報に基づき、CDCでは、学生、職員、両親やその他の介護者を重篤になりうる疾患から守り、かつ社会への感染拡大を抑える目的で、学校や保育施設の閉鎖を新型インフルエンザウイルス感染のリスクを低減するための選択肢の一つとして考慮することを推奨した。

 病気の重症度と地域での広がりに関する新たな情報によって、学校と保育施設の閉鎖の手引きの改訂が必要になった。ほとんどの州から多数の新型インフルエンザA(H1N1)の確定症例または疑いが濃厚な(probable)症例が報告されており、多くの小集積を伴っているので、市中における拡大が発生しており、特定の学校や保育施設の閉鎖をすることが疾病の制御方策としてより非効果的になっている。アメリカ合衆国でのほとんどの症例は重症ではなく、重症度において季節性インフルエンザと同程度である。CDCや地域と州の保健局は、引き続き今回の新型H1N1インフルエンザのアウトブレイクに関する重症度やその拡大を注意深く監視していく。

 現時点では、CDCは学校や保育施設でのインフルエンザ拡大を抑える主な手段として、感染した生徒や職員の早期探知、体調不良時の自宅待機、咳エチケットと手洗いを推奨する。学校閉鎖の判断については、地方自治体当局が一般公衆の懸念や生徒の欠席率、職員不足の影響などを含めた地域の状況を考慮したうえで判断すべきである。


暫定的推奨:幼稚園から高校

  • 新型インフルエンザA(H1N1)感染が疑わしい症例あるいは確定症例が生じた為に学校閉鎖を行うことは勧められず、また一般的に、生徒や職員の多くが欠席し学校の機能に支障が出る事態でない限り勧められない。
  • 生徒、職員、スタッフでインフルエンザ様症状(咳または咽頭痛を伴った発熱)のあるものは、たとえ症状が早く回復しても最低7日間は自宅にとどまり、学校に来ず、外出も医療機関受診以外は避けること。
  • 生徒、職員、スタッフで症状発現後7日間経過してもまだ症状のある人は、引き続き自宅にとどまり、症状消失後少なくとも24時間は学校へ行くのを見合わせる。
  • 生徒、職員、スタッフで学校到着時や在校中にインフルエンザ様症状を呈した者は、すみやかに他の生徒達とは別の部屋に隔離し、帰宅させること。
  • アスピリンやアスピリン含有製品は、ライ症候群発症の危険性があるため、18歳以下の新型インフルエンザA(H1N1)確定症例または疑わしい症例に対して投与してはならない。アスピリンを含む薬品を含め、薬品の使用に関する手引きは、小児医学管理を参照のこと。
  • 両親や保護者は生徒の、職員やスタッフは自分自身の健康状態を監視し、インフルエンザ様症状がでていないか毎朝確認する。
  • インフルエンザ様症状のある学生は、他の育児施設や学校以外で人が集まる場所へ参加してはいけない。
  • 学校管理者は地域の保健当局と定期的に連絡を取り、インフルエンザ様症状生徒が学内で発生した場合の報告についての手引きを取得しておくこと。
  • 学校は、手指衛生や咳エチケットなどのインフルエンザの拡大を抑える方法を推し進める目的の教育活動の一端を担うことができる。


 生徒、職員、スタッフは、咳やくしゃみをする時にティッシュを用いて口と鼻を覆う(もしティッシュがなければ咳やくしゃみをする時に袖で口と鼻を覆う)、頻繁に石鹸と水で手を洗うか、石鹸と水による手洗いができない場合は手指衛生剤を用いるといった、インフルエンザの拡大を抑えるための衛生手段を厳密に行なうこと。


暫定的推奨:保育施設

 
学校と同様に、新型インフルエンザH1N1の地域内、あるいは保育施設内での流行に伴う、保育施設の閉鎖は、現在推奨されていない。保育施設は上記の学校への推奨に従うと共に、下記に示した推奨に従うこと。

  • 保育施設は、地域、州の保健局と共に協力して、正しい判断と、適切な方針をおこなうこと。
  • 保育施設運営者は、すべての子どもの健康チェックを毎日行うこと。新型インフルエンザH1N1が流行する前から、この健康チェックは推奨されていたが、これまで行ってこなかった施設は、必ず毎日の健康チェック制度を導入すること。(詳細はhttp://nrckids.org/ 参照のこと)
  • 病気の症状のある子供は、自宅に留まるべきで、たとえ一時的でも、ある保育施設からほかの保育施設へ預けることは避ける。
  • 保育施設は頻繁に触られるもの(例えば、机、取っ手、キーボード、おもちゃ)は、定期的に、または表面が汚れた際に、きれいにし、消毒されるべきである。http://nrckids.org/CFOC/HTMLVersion/Chapter_3.html#1076310
    http://www.cdc.gov/h1n1flu/qa.htm
    http://www.epa.gov/oppad001/influenza-disinfectants.html
  • 保育施設は、手指衛生や咳エチケットなどのインフルエンザの拡大を抑える方法を推し進める目的の教育活動の一端を担うことができる。


更なるガイダンスは次のサイトを参照のこと:

H1N1インフルエンザ(ブタインフルエンザ)両親と保護者への案内
http://www.cdc.gov/h1n1flu/parents.htm

QandA:H1N1インフルエンザ(ブタインフル)とあなた
http://www.cdc.gov/h1n1flu/qa.htm




(2009/6/1 IDSC 更新)

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