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大阪府における新型インフルエンザ集団発生事例疫学調査
2009年9月28日
国立感染症研究所 実地疫学専門家養成コース(FETP)
国立感染症研究所 感染症情報センター
※PDFバージョンはこちらから
報告書全文(1.1 MB)
報告書別冊(459 KB)
実地調査要約
(1)全体像
大阪府における2009年5月16日より同年5月30日までの新型インフルエンザRT-PCR検査陽性例158名であった。我々が調査に入った5月17日の時点では、入院例は18例あったが、すべて感染症法上の措置入院であり、重症化による入院例はなかった。茨木市内にあるA中学校高等学校と八尾市内にあるB小学校など、いくつかの学校にクラスターを認めた。大阪府内で発生したほとんどの症例が、A中学校高等学校との何らかのつながりが疑われたが、A中学校高等学校の感染源は不明であった。また、B小学校のようにA中学校高等学校とのつながり(疫学的リンク)が不明なクラスターもいくつか認められた。大阪における疫学調査では、新型インフルエンザの感染経路は飛沫感染が主であり、潜伏期間は季節性インフルエンザと類似して2〜4日間、また学年閉鎖や学校休業が感染拡大の抑制に大きな効果があったと推定された。5月28日以降は海外渡航者を除いて新たな発症者を認めず、大阪府の対策協議会は6月4日に「ほぼ終息」と判断した。
(2)感染の伝播
A中学校高等学校に関しては新型インフルエンザに感染した者との教室内やスクールバス等での近距離での接触による伝播を発端とし、クラス内、学年内、学校全体、そして家族内、塾などでの接触により感染が拡大した可能性が考えられた。
(3)感染拡大の要因
A中学校高等学校を中心に感染が拡大した要因として、新型インフルエンザRT-PCR検査の条件に海外渡航歴を含めていたため、A型インフルエンザが疑われる症例への新型インフルエンザRT-PCR検査実施が症例発生の早期には実施されなかったこと、高校生の学級・学年閉鎖状況などを把握するサーベイランスがなく、クラスター発生時の早期探知が遅れたこと、また学校内で症例が発生してから、比較的短期間に教室内、学年内、さらには他の学年にと感染伝播していったことなどが考えられた。
(4)症例の転帰
症例のほとんどがもともと健康な高校生であった。大阪府での集団発生事例では、肺炎などの合併症や人工呼吸器を使用するような重症化した症例は認められなかった。
(2009/9/29 IDSC 更新)
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