インフルエンザ−最近の分離株の抗原分析と南半球での情勢

1997/98シーズン用インフルエンザワクチン推奨株発表後にアフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニアで分離された株がWHOの協力センターで抗原分析された。

A型とB型が流行した。A型の大部分はH3N2型で、A(H1N1)型は散発例と地域流行がヨーロッパとアジアでみられた。北半球で分離されたウイルスの大部分は1996/97シーズン用ワクチン推奨株に抗原性が類似していた。ほとんどのA(H3N2)型分離株はA/Wuhan/359/95に近かった。A(H1N1)型分離株の多くはA/Singapore/6/86とA/Texas/36/91に近かったが、一部はA/Bayern/7/95により近かった。A/Wuhan/371/95に代表される変異株と同様のウイルスが中国とシンガポールでのみ分離された。B型分離株の大部分はB/Beijing/184/93とB/Harvin/7/94に近かった。B/Victoria/2/87に似たウイルスが中国で引き続き分離され、日本でも分離された。A(H5N1)型が香港で1例分離された。

南半球ではインフルエンザの活動は中等度〜激しいものであった。A(H3N2)型とB型が多くの国で分離され、オーストラリア、ブラジル、チリ、ニュージーランド、南アフリカで集団発生を起こした。アルゼンチン、マダガスカル、セネガルでも分離が報告された。A(H3N2)型分離株の大部分はA/Wuhan/359/95に抗原性が近かったが、一部は抗原性が異なっており、その代表はA/Sydney/5/97である。A/Bayern/7/95に抗原性が近いA(H1N1)型がニュージーランドと南アフリカで分離された。B型分離株はB/Beijing/184/93とB/Harbin/7/94に近かった。

(WHO、WER、72、No.39、293、1997)

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