<速報>髄膜炎患者からのエコーウイルス30型の分離−岡山県
岡山県南部の検査定点で1997年7月中旬〜8月中旬に採取された感染性髄膜炎患者9名(咽頭ぬぐい液および髄液2名、髄液7名)からエコーウイルス30型(E30)が分離された。E30の分離は岡山県サーベイランス事業では1993年以来である。E30が分離された患者年齢は5〜9歳6名、10〜14歳2名、不明1名であった。
ウイルス分離にはFL、RD-18S、Veroの3種の細胞を使用しているが、今回E30が分離された咽頭ぬぐい液2件、髄液9件では、FLとRD-18Sで分離されたもの5件、FLのみで分離されたもの6件で、Veroでは分離されなかった。
中和試験で、分離株は中国四国エンテロウイルスレファレンスセンター(愛媛県立衛生研究所)より分与されたEP95の5と6でCPEが抑制され、国立感染症研究所より分与された抗E30単味血清20単位で容易に中和された。しかし、デンカ社製の抗E30単味血清20単位では中和されず、同社製のエンテロウイルスプール血清でのCPE抑制状況は、株によってやや異なるが、MとN、Oのうち1または2種で抑制される傾向であった。E30は1989〜1991年に全国的に大流行、岡山県でも1990〜1991年に流行し、多数の無菌性髄膜炎患者から同ウイルスが分離された。この時の分離株も中和試験で今回の分離株と似た反応性を示したことから、今回分離されたE30は1990〜1991年の分離株と類似の抗原性を有しているのではないかと思われる。
通常、無菌性髄膜炎患者の発生が多いのは7〜9月であるが、1990〜1991年の流行時には、8月をピークに6〜10月にかけて高水準で患者発生がみられており、今後注意が必要と思われる。
岡山県環境保健センター
濱野雅子 葛谷光隆 藤井理津志 小倉 肇