<速報> エコーウイルス30型による無菌性髄膜炎の流行−熊本県
無菌性髄膜炎は主として夏季に流行する疾患である。熊本県では1998年5月から患者が急増し続け、1991年以来7年ぶりの大きな流行になっている。患者の検体からウイルス分離を行った結果、エコーウイルス(E)30型が多数分離され、他にE6およびE18が分離された。
熊本県のE30による無菌性髄膜炎の過去の流行は、1983年および1991年であった。患者数はそれぞれ258名および285名であった。
1998年5月、6月の1定点当たりの患者報告数はそれぞれ3.29、3.60であった。1998年5月と6月の患者報告数は合計427名で、患者は4歳が最も多かった。
年齢別患者報告数と年齢別E30分離結果は一致していた。
ウイルス分離は、HeLa、HEp-2、Vero、RD-18S細胞を用いて行った。現在同定中も含めて84株のウイルスが分離されている。同定には抗エコーウイルスプール血清(EP95)および市販の単血清を20単位で用いた。同定されたウイルスは、E30が58株(82%)、E6が10株(14%)、E18が3株(4.2%)であった。ウイルスの型にかかわらず、RD-18S、HEp-2、HeLa細胞の順に分離率がよく、特にRD-18S細胞は85%のウイルス分離率であった。
現在の熊本県の無菌性髄膜炎の流行はE30によるものであるが、E6、E18も混在している。E30、E6は県下全域、E18は熊本市在住の人の検体から分離されている。
熊本県保健環境科学研究所 松井 真 甲木和子 中村所長
熊本県健康福祉部健康増進課 中島須美子