<速報> 初夏に起きたB型インフルエンザの集団発生―静岡県

静岡県における1997/98シーズンのインフルエンザは、全国の状況と同様に、A(H3N2)型による流行が1月〜2月にかけて急速に拡大し、3月には終息した。ところが、6月に入って、掛川市内のA中学校において、発熱(38〜39℃)、咳、頭痛を主訴とするインフルエンザ様疾患が集団発生した。

カゼによる欠席者は5月28日ごろから増え始め、6月9日にピーク(37人/717人)となり、6月17日ごろには沈静化した。欠席者は特定の学年、学級に集中する傾向がみられた。

ウイルス分離は、6月9日の欠席者中8名から採取したうがい液について、MDCK細胞および孵化鶏卵を用いて行った。その結果、MDCK細胞により6名からインフルエンザウイルスB型が分離された。分離株を抗原として日本インフルエンザセンター分与の抗血清でHI反応を行うと、抗B/三重/1/93血清は反応せず、抗B/広東/05/94血清の抗体価は1:20であった。この反応パターンは、昨シーズン後期に西日本を中心に流行したB/Victoria/2/87様変異株と同様である。患者5名のペア血清について、HI抗体価の変動を調べた結果、B型のワクチン株および分離株に対して有意な上昇が認められた。

A中学校での流行期間中、同市内の21小中学校においてカゼによる欠席者数を調べたが、他校での流行は確認されなかった。

静岡県環境衛生科学研究所
佐原啓二 長岡宏美 三輪好伸 杉枝正明 宮本秀樹

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