<速報> 大阪府におけるヘルパンギーナの流行とウイルス分離
1998年度の大阪府におけるヘルパンギーナの流行は昨年よりも3週間早く始まり、その流行のピークに達したのもまた3週間早く、6月末であった。定点からの報告患者数も各週において昨年より増加していた。
当課ではこれらの患者の咽頭ぬぐい液からウイルス分離を行った。7月23日現在で243名について組織培養法によりウイルス分離を行い、86株のウイルスが分離されている(分離率35%)。一部鼻汁からも分離を行ったが、かなり高率にウイルスが分離された。分離されたウイルスは中和試験により同定を行った。血清型の内訳はコクサッキーウイルス(C)A3 8株、CA4 1株、CA10 21株、エコーウイルス(E)11 20株、E18 5株、E30 15株、同定中16株である。CAはRD-18S(兵庫衛研から分与された)のみで分離され、エコーは主にRD-18Sで、少数例は LLC-MK2のみで分離された。E18は「EP95プール」血清での同定は困難であった。今後マウスによるウイルス分離を行う予定であるので、CAの検出数が若干増加すると予想される。
なお、大阪府では同時期に無菌性髄膜炎などの患者からE11、E30各9株、E9、E18、CB3などが分離されており、6月中までには昨年に引き続きE30が、また新たにE11が小児の間で流行していることが本年度のヘルパンギーナ流行の背景となっていることが示唆された。
大阪府立公衆衛生研究所・ウイルス課 山崎謙治 左近直美 奥野良信