手足口病・ヘルパンギーナ患者からのエンテロウイルス71型の分離−北九州市
(Vol. 21 p 167-168)
北九州市において、5月上旬から搬入された手足口病・ヘルパンギーナ患者の咽頭ぬぐい液からエンテロウイルス71型(EV71)が現在(第28週)までに6件分離された。
ウイルス分離にはHEp-2、RD、Veroの3細胞を用いたが、Vero細胞のみ細胞変性効果(CPE)が見られた。同定は感染研分与のEV71抗血清を用いて行った。
ヘルパンギーナからの分離は5月中旬の1検体だけで、残り5検体はすべて手足口病患者から検出され、また手足口病患者からはEV71以外のウイルスは分離できていない。
福岡県では5月から手足口病の患者が急激に増加し、また去年冬場の流行(本月報Vol. 21、 No. 4参照)と異なる点は、無菌性髄膜炎を併発していることである。
当研究所に搬入された手足口病患者24名の検体のうち12名は髄膜炎の患者で髄液のみの搬入であるが、髄液からは現在培養中も含めウイルスは今のところ分離できていない。
髄膜炎を併発するウイルスがEV71であれば、髄液からの早急なウイルス分離が望まれるところである。
北九州市環境科学研究所 山本康之 木村尚志 高橋正規