手足口病患者からのウイルス分離状況−岩手県
(Vol.21 p 244-245)

岩手県では手足口病の流行は全国の流行から約8週間遅れて始まった。感染症発生動向調査によると、第26週頃から患者が増え始め、全国で患者発生のピーク(5.85人/定点/週)を迎えた第28週には岩手県では0.42人/定点/週で、その後患者数は微増、全国で流行がほぼ一段落した第35週をピーク(1.87人/定点/週)に、以後減少している。流行の規模も比較的小規模であった。

病原体定点からは第32週頃から検体が送付され、これまでに患者26名中9名からエンテロウイルス71型(EV71)が、7名からコクサッキーA群ウイルス16型(CA16)が分離されている()。

ウイルス分離にはVero、RD-18S、HEp-2の各細胞を用いたが、EV71、CA16ともVero細胞がもっとも高い感受性を示した。分離したウイルスは国立感染症研究所から分与を受けた抗CA16(G-10)、抗EV71(BrCr)、抗EV71(C-7)の各血清で中和試験を行い同定した。EV71についてはすべての株がBrCrの抗血清によって中和され、C-7の抗血清では中和されなかった。また、EV71、CA16の両ウイルスの分離には特に地域的なかたよりは認められず、県下全域でほぼ同時に2種類のウイルスが分離された。

本県における最近の手足口病の流行は、1997年はEV71、1998年はCA16によるものであり、1999年には目立った流行は認められなかった。本年はEV71とCA16の2種類のウイルスによる比較的小規模な流行である。

岩手県衛生研究所
佐藤 卓 齋藤幸一 小林良雄 宇佐美 智

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