水泳プール施設と関連したクリプトスポリジウム感染の地域集団発生、1998年−オーストラリア
(Vol. 21 p 247-247)
Brisbane Southside Public Health Unit (BSPHU)が行っているサーベイランスにおいて、1998年1月〜3月にかけてのクリプトスポリジウム症の届出数が急増した。1、2月の届出数として前年同時期の37例を上回る104例が報告され、翌3月にはさらに168例の届出があり、とりわけBrisbane東部郊外と沿岸部において増加が顕著であった。これによりBSPHUは3月6日から集団発生調査を開始した。
ケースコントロール調査が実施され、この他、微生物学的検査として、A水泳プール施設の水が採取された。この施設は、患者の届出が急増した2つの地域に隣接した場所に位置しており、4つの屋内プール(子供用、25m、50m、飛び込み用)に分かれている。各プールからの検体を検査した結果、飛び込み用を除いた3つのプールの検体からオーシストが検出された。施設に残された記録からは、プールの塩素消毒や水質検査に問題は認められず、フィルターの故障などの報告もなかった。
調査期間中52例の患者届出があり、うち31例が調査に応じた。患者の年齢は1歳〜58歳(中央値3歳)で、男女比が1.1:1、 4歳以下が18人(58%)。症状は、下痢(97%)、腹痛(94%)、発熱(65%)、嘔吐(45%)で、3例(10%)から血便が報告されている。症状の持続期間は3〜24日(中央値11日)で、入院患者はいない。解析の結果、“プールでの遊泳”が危険因子である可能性が示唆され、特定のプールについての解析では、A施設が統計学的に有意な結果となった。
A施設は症例との強い関連性が示されたことから、3月11日に閉鎖され、清掃・消毒を施し、再び一連の検査を行い陰性が確認され、14日後に再開した。以後施設と関連した症例は出ていない。
(Australia CDI、 24、 No.8、 236-239、 2000)