バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌、2004年−米国・ニューヨーク州


(Vol.25 p 158-158)

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)(MIC ≧32μg/ml )は2002年に1例目が発見されているが、3例目が今回米国で認められた。本症例では、一般的に使われている自動化抗菌薬感受性検査で耐性を検出できなかった。

3月17日に長期療養中の患者尿から黄色ブドウ球菌が同定された。Microscan感受性検査パネル(DadeBehring)を用いたところ、バンコマイシンのMIC は4μg/ml であったが、Etest (AB Biodisk North America, Inc)による検査では、バンコマイシン耐性(MIC >256μg/ml )であることが示された。ニューヨーク州保健局(NYSDOH)を経て分離菌はCDC に転送されたが、そこでは米国NCCLS標準法でMIC が64μg/ml であったことから、VRSAと確認された。この菌はmecA vanA 遺伝子の両方を保有し、オキサシリンとバンコマイシンに耐性であったが、クロラムフェニコール、ミノサイクリン、キヌプリスチン-ダルホプリスチン、リファンピン、トリメトプリム-スルファメトキサゾールには感性であった。

NYSDOHは感染制御対策の実施、および病原体の伝播状況を調査中である。前回の発生においては、接触者への感染伝播は確認されていない。本VRSA株は、先のミシガン州やペンシルベニア州の株との疫学的関連はないもようである。

今回の菌はvanA 耐性遺伝子を保有していたが、最初に行った自動化検査ではバンコマイシンに対するMICは低値を示した。さらにCDCでMicroscanとVitek(bioMerieux)による検査を行ったときにも、バンコマイシン耐性を検出できなかった。

VRSAの可能性のある菌株は確定検査のために保存しておくべきであり、臨床検査機関は、使用している感受性検査でVRSAが検出可能であることを確認する必要がある。ブドウ球菌におけるバンコマイシン感受性検査で最も正確なものは、非自動化のMIC検査法であり、判定までに24時間の培養を行う。黄色ブドウ球菌に対して自動化抗菌薬感受性検査を行う場合には、6μg/ml のバンコマイシンを含むバンコマイシン寒天スクリーニング平板を用い、24時間の培養後に判定すべきである。

バンコマイシン耐性が確実な、あるいは疑われる黄色ブドウ球菌が分離された場合には、直ちに州や地域の保健局を通じてCDCの担当部署に報告すべきである。

(CDC, MMWR, 53, No.15, 322-323, 2004)

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