ライム病、2001〜2002年−米国


(Vol.25 p 158-159)

2001〜2002年にCDCに報告されたライム病の総数は40,792例であった。2001年には17,029例で、人口10万人当たり6.0例であったが、2002年には40%増加して23,763例となり、人口10万人当たり8.2例となった。北東部、大西洋側中央部、北中央部の地域で有意に多く見られ、コネチカット、デラウェア、メーン、メリーランド、マサチューセッツ、ミネソタ、ニューハンプシャー、ニュージャージー、ニューヨーク、ペンシルベニア、ロードアイランド、ウィスコンシンの12州では、この2年間全国平均を超えており、これらの地域で全国の報告数の95%を占めている。

年齢分布では、5〜14歳と50〜59歳に2つのピークがみられた。年齢中央値については、全国平均以上の地域では6歳であるが、平均以下の地域では44歳であった。季節性に関しては5月(7%)、6月(28%)、7月(31%)、8月(12%)に集中しており、12〜3月では7%未満であった。臨床症候としては紅斑(68%)、関節炎(33%)、ベル麻痺(8%)などを認めた。髄膜炎、脳炎、心ブロックは1%以下であった。

2002年には過去最高の報告数を記録したが、考えれる要因としては、鹿の増加によるベクターのダニの増加、緑化地域における住宅開発、新しい地域へのダニの拡散、疾患の認識の向上、報告率の向上などがある。一方では、ライム病のサーベイランスにはいくつかの限界がある。1990年前半のサーベイランスでは、いくつかの流行地域で6〜12倍も低く報告されていたこともあり、最近の全国データもどの程度の過少報告であるのか不明である。また、州により診断および報告率に差があることが考えられる。

効果的な予防法としては忌避剤の使用、絶えざるダニのチェックが挙げられる。付着してから48時間以内にダニを除去することで、感染の危険を低下させることができる。また、藪や葉っぱの散らかりを取り除くなどの環境整備により、ダニへの曝露を50〜90%減少させることが可能である。

(CDC, MMWR, 53, No.17, 365-369, 2004)

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