2004/05シーズンAH3型インフルエンザの流行−大阪府

(Vol.25 p 291-292)

大阪府では、さる9月21日に箕面市内の医療機関を受診した5歳児の鼻腔ぬぐい液から、AH3型インフルエンザウイルスが分離された(速報参照)。その後、池田市内で学級閉鎖した小学生の妹(検体採取10月6日)、吹田市内の幼稚園児(検体採取10月7日)、および豊中市内で学級閉鎖した小学校の患者児童2名(検体採取10月8日)からAH3型インフルエンザウイルスが続いて分離された(IDWR 2004年第40週参照)(表1図1)。

ウイルスの抗原性をみるために、国立感染症研究所が配布した昨シーズンワクチン株であるA/Panama/2007/99(H3N2)と今シーズンワクチン株であるA/Wyoming/03/2003(H3N2)に対するフェレット感染血清を用いてHI試験を行った(表2)。今回分離されたウイルスはすべて、A/Panama/2007/99(H3N2)との交叉反応性はほとんど認められないが、今シーズンのワクチン株であるA/Wyoming/03/2003(H3N2)とは強い交叉反応性を示した。これらのことは今秋季9月下旬〜10月上旬にかけて大阪府北部において小規模なインフルエンザの流行があったことを示すものと思われた。

インフルエンザは通常冬季に流行し、近年大阪で9月、10月にインフルエンザが流行したという経験はない。なぜこの時期にインフルエンザの流行がみられたのかはわからないが、流行予測をするうえで、積極的疫学調査を含めた感染症サーベイランスの重要性が改めて認識された。

その後大阪では10月23日に箕面市内の医療機関で採取された鼻腔ぬぐい液から先の分離株と同様の抗原性を示すAH3型インフルエンザウイルスが分離され、散発的ではあるが継続的にインフルエンザの発生が認められている。インフルエンザのこのような流行状況はこれまでに経験がなく、今後大阪におけるインフルエンザがどのような流行形態を示すかは非常に興味がもたれるところである。また、シーズン早期から大規模な流行が発生するおそれもあり、現在サーベイランスの状況を注意深くみているところである。

大阪府立公衆衛生研究所・感染症部
森川佐依子 宮川広実 加瀬哲男 奥野良信

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