この指針は南半球の冬(2006年5〜10月)向けのものであり、北半球での2006年11月〜2007年4月のシーズン向けは、2006年2月に発表予定である。
2005年2〜9月のインフルエンザ状況をみると、北半球ではA/H3N2型が主流で、流行のほとんどに関係しており、特に中国と香港で目立った。B型の流行はアフリカ、アジア地域、東ヨーロッパで発生した。A/H1N1型は東ヨーロッパと中央アジアの数カ国で流行したが、程度はさほどではなかった。南半球では4月に流行が始まり、5月にオセアニア、6月には南アメリカで増加した。これらの地域ではA/H3N2型とB型が一緒に流行した。A/H1N1型は低レベルであり、南アフリカで流行が1件報告された。
2004年12月16日〜2005年9月14日の期間に、カンボジア、インドネシア、ベトナムから68例のA/H5N1型患者が報告された(うち25名は死亡)。これらは、家禽における高病原性鳥インフルエンザA/H5N1型の流行に関連があった。これまでのところ、ヒト→ヒト感染伝播が継続的に生じたとする証拠はなく、WHOの警報レベルもフェーズ3のままである。
最近の分離株の抗原性では、A/H1N1型のほとんどはA/New Caledonia/20/99に極めて類似していた。A/H3N2型のほとんどはA/California/7/2004に極めて類似しており、異なる株も少数みられたが、抗原性や遺伝子の分析からは、明らかな抗原変異株の出現を示すものではなかった。B型では、B/Victoria/2/87系統とB/Yamagata(山形)/16/88系統がほぼ同数であったが、最近では前者の比率が高まっていた。B/Victoria/2/87系統株のほとんどは、B/Malaysia/2506/2004に極めて類似していた。
以上の発生状況および各種ウイルスの特徴から、南半球での2006年シーズン(冬)向けワクチンには、下記の株が推奨される。
A/New Caledonia/20/99(H1N1)類似ウイルス | |
A/California/7/2004(H3N2)類似ウイルス* | |
B/Malaysia/2506/2004類似ウイルス |
(WHO, WER, 80, No.40, 342-347, 2005)