髄膜炎菌感染症サーベイランスプログラム、2004年−オーストラリア

(Vol.26 p 310-311)

この報告は、全国的にラボが共同して行っているプログラムである「全国ナイセリア属菌ネットワーク」によるものであるが、オーストラリアで2004年に診断された髄膜炎菌感染症の確定例361例について述べている。

245例については培養で髄膜炎菌であることを確定し、それらの表現型(血清群、血清型、血清亜型)と抗菌薬感受性を検査し、残りの116例については培養によらない方法(核酸増幅法)で確定した。症例の大半はB群(243株、68%)かC群(71株、20%)髄膜炎菌であった。2003年の確定例は494例であったので、2004年には133例減少したことになる。確定例は、横ばいであった西オーストラリア州を除き、すべての地域で減少した。B群については15%の減少が認められ、C群は45%とさらに大きな減少を認めた。

髄膜炎菌感染症の年齢分布では、4歳以下の群に典型的な主要ピークが見られたが、思春期および若年成人層に2番目のピークを認めた。B群は4歳以下の症例の88%、15〜24歳の症例の63%を占めた。一方、C群の割合が最も高かったのは15〜24歳、およびそれ以上の年齢層であった。

オーストラリアにおける髄膜炎菌のもっとも多い表現型はB:4:P1.4、およびC:2a:P1.4であった。しかし、血清群および表現型の分布における地域差は顕著で、血清亜型の多様性も認められた。莢膜の"switching"や遺伝子組み換えを起こしている髄膜炎菌が持続して伝播しているとする証拠は認められなかった。

分離株全体の約3分の2は、ペニシリン系抗菌薬に対する感受性低下を示した(MIC 0.06〜 0.5mg/l)。1株で、1mg/lのペニシリン耐性が認められた。

オーストラリアでは2003年より公的負担により、小児や思春期層を対象とするC群結合型髄膜炎菌ワクチンの接種が開始され、2004年に本格稼働し始めた。

(Australia CDI 29: 149-158, 2005)

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