1.今回の報告期間は2005(平成17)年7月4日〜2005(平成17)年10月2日までの約3カ月である。法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は205件(うち男性190件、女性15件。前回報告171件)で、前年同時期の新規HIV感染者報告数は209件である。一方、新規AIDS患者報告数は89件(うち男性85件、女性4件。前回報告89件)で、前年同時期の新規AIDS患者報告数は126件である。
2.感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが118件(全HIV感染者報告数の約58%)と最も多く、そのうち116件が日本国籍男性であった。また、異性間性的接触による新規感染者報告数は55件(全HIV感染者報告数の約27%、うち男性47件、女性8件)である。
一方、新規AIDS患者では同性間性的接触によるものが34件(全AIDS患者報告数の約38%)、異性間性的接触によるものが35件(全AIDS患者報告数の約39%、うち男性31件、女性4件)となっている。年齢別では、新規HIV感染者は20〜30代が多数(約64%)を占め、新規AIDS患者は30〜50代と広く分布している。
要約すると、感染者・患者とも90%以上を男性が占め、その中でも同性間性的接触による感染が半数以上(約55%)を占めている状態である。
3.2005(平成17)年1月〜9月末までの保健所等におけるHIV抗体検査件数は70,504件(前年同時期60,452件)、相談件数が95,065件(前年同時期100,761件)であった。
4.2005(平成17)年1月〜9月の献血件数(速報値)は4,048,589件(前年同時期4,097,758件)で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は53件、10万人当たりの陽性件数は1.309件(前年同時期1.781件)であった。
5.新規HIV感染者報告数、エイズ患者報告数は今回の報告においても、依然として高い水準で推移していると言える。このため、国民は感染の機会が増えつつあることに留意して、HIV・AIDSについての理解を深め、積極的に予防やHIV抗体検査の早期受診に努めていただきたい。都道府県等においては、必ずしも利便性に配慮した検査体制を確保していないところもあることから、12月1日の世界エイズデーの機会も活用しながら、早期の検査受診体制の整備を含め、利便性に配慮した検査・相談事業を一層推進するとともに、地域の実情に応じて対象者を明確化して重点的な普及啓発等を推進し、HIV感染の早期発見による早期治療と感染拡大の抑制に努める必要がある。