日本のAIDS患者・HIV感染者の状況

(平成17年10月3日〜平成18年1月1日)

厚生労働省健康局疾病対策課
平成18年1月27日

(Vol.27 p 50-51:2006年2月号)

エイズ動向委員会委員長コメント(要旨)

平成17年第4四半期

1.今回の報告期間は2005(平成17)年10月3日〜2006(平成18)年1月1日までの約3カ月である。法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は195件(うち男性180件、女性15件。前回報告205件)で、前年同時期の新規HIV感染者報告数は190件である。

一方、新規AIDS患者報告数は89件(うち男性77件、女性12件。前回報告89件)で、前年同時期の新規AIDS患者報告数は93件である。

2.感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが126件(全HIV感染者報告数の約65%)と最も多く、そのうち121件が日本国籍男性であった。また、異性間性的接触による新規感染者報告数は51件(全HIV感染者報告数の約26%、うち男性37件、女性14件)である。

一方、新規AIDS患者では同性間性的接触によるものが31件(全AIDS患者報告数の約35%)、異性間性的接触によるものが40件(全AIDS患者報告数の約45%、うち男性31件、女性9件)となっている。

年齢別では、新規HIV感染者は20〜30代が多数(約76%)を占め、新規AIDS患者は30〜50代と広く分布している。

要約すると、感染者・患者とも85%以上を男性が占め、その中でも同性間性的接触による感染が半数以上(約61%)を占めている状態である。

3.2005(平成17)年10月〜12月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は23,705件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は6,082件、保健所における相談件数は43,850件となっており、いずれも前回報告より増加した。

平成17年・年間報告(速報値)

◇第101回〜第104回動向委員会のデータ(平成17年1月3日〜平成18年1月1日)を集計して、2005(平成17)年1年間を通しての数値を速報値として報告する。

4.2005(平成17)年1年間の新規HIV感染者報告数(速報値)は、778件で前年(※)より増加した。一方、新規AIDS患者報告数は346件と、前年より減少した。合計は1,124件であった。

※これまで速報値の最高は2004(平成16)年で、HIV感染者748件、AIDS患者366件(計1,114件)。

5.2005(平成17)年1年間の「保健所等におけるHIV抗体検査件数」(速報値)は、100,287件(前年同時期89,004件)で、10万件を超え、過去10年間において最多件数となった。相談件数は161,474件(前年同時期146,585件)であった。

6.2005(平成17)年1年間の献血件数(速報値)は5,312,830件(昨年5,473,140件)で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は78件(昨年92件)であった。10万件当たりの陽性件数は1.468件(昨年1.681件)で、前年より減少した。

7.2005(平成17)年1年間の新規報告数(速報値)は、昨年の速報値と比べAIDS患者は減少、HIV感染者は増加し、検査件数についても増加している。これは、検査機会の増加によりHIV感染者の早期発見の機会が増加したことによるとも考えられる。

このため、国民は感染の機会が増えつつあることに留意して、HIV・AIDSについての理解を深め、積極的に予防やHIV抗体検査の早期受診に努めていただきたい。

都道府県等においては、検査受診体制の整備を進めていただいているところであるが、現時点では一部にとどまっていることから、利便性に配慮した検査・相談事業を一層推進するとともに、地域の実情に応じて対象者を明確化して重点的な普及啓発等を推進し、HIV感染の早期発見による早期治療と感染拡大の抑制に努める必要がある。

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)



ホームへ戻る