(平成18年10月2日〜12月31日)
【2006(平成18)年第4四半期】
1.今回の報告期間は平成18年10月2日〜平成18年12月31日までの約3カ月である。法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は235件(うち男性212件、女性23件。前回報告233件、前年同時期195件)で、平成18年第2四半期の248件に次いで過去2位となった。
一方、新規AIDS患者報告数は85件(うち男性78件、女性7件。前回報告 107件)で、前年同時期の新規AIDS患者報告数は89件である。
2.感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが154件(全HIV感染者報告数の約66%)と最も多く、そのうち147件が日本国籍男性であった。
また、異性間性的接触による新規感染者報告数は56件(全HIV感染者報告数の約24%、うち男性38件、女性18件)である。
一方、新規AIDS患者では同性間性的接触によるものが44件(全AIDS患者報告数の約52%)、異性間性的接触によるものが26件(全AIDS患者報告数の約31%、うち男性21件、女性5件)となっている。
年齢別では、新規HIV感染者は20〜30代が多数(約65%)を占め、新規AIDS患者は30〜50代と広く分布している。
要約すると、感染者・患者とも90%以上を男性が占め、その中でも同性間性的接触による感染が半数以上(約68%)を占めている状態である。
3.平成18年10月〜12月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は31,141件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は6,308件、保健所における相談件数は53,043件となっており、いずれも前回および前年同時期よりも大幅に増加した。
【2006(平成18)年年間報告(速報値)】
◇第105回〜第108回動向委員会への報告数(平成18年1月2日〜平成18年12月31日)を集計して、平成18年1年間を通しての数値を速報値として報告する。
4.平成18年1年間の新規HIV感染者報告数(速報値)は914件、新規AIDS患者報告数は390件、合わせて1,304件(一日あたり3.6件)で、いずれも昨年までの速報値および確定値と比較して過去最高を記録した。
※速報値の最高は、2005(平成17)年のHIV感染者778件、2004(平成16)年のエイズ患者366件。合計は平成17年の1,124件。
※確定値の最高は、平成17年のHIV感染者832件、平成16年のAIDS患者385件。合計は平成17年の1,199件。
5.平成18年1年間の保健所等におけるHIV抗体検査件数(確定値)は、116,550件(前年100,287件)で、昨年に引き続き10万件を超え過去10年間において最多件数となった。相談件数は173,651件(前年同時期161,474件)であった。
6.平成18年1年間の献血件数(速報値)は4,987,857件(昨年5,312,830件)で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は87件(昨年78件)であった。10万件当たりの陽性件数は1.744件(昨年1.468件)で、前年より増加した。
7.新規HIV感染者報告数を感染経路別に見ると、男性同性間性的接触は依然半数を超えている。また年齢別では、20〜40代にHIV感染が広がっているものの、前年と比べて30代以上の増加傾向を認めた。このような傾向と、検査・相談件数の増加が、6月に実施したHIV検査普及週間以降も持続し、さらに世界エイズデー期間前後にかけて増加していることを合わせて考えると、利用者の利便性に配慮した検査・相談事業による検査体制の整備について一定の成果が認められる。一方で、検査・相談件数が減少に転じている自治体もあり、今後も全国的に検査・相談件数の増加傾向が持続するのか注視していく必要がある。
8.各自治体においては保健所等を中心に、さらに利用者の利便性(夜間・休日等)に配慮した検査・相談事業を推進することが重要であり、HIV感染の早期発見による適切な治療の促進と感染拡大の抑制に努める必要がある。
各自治体(特に重点都道府県等)においては、今回の発生動向を考慮しつつ、エイズ対策推進協議会を開催し、予防も含めたエイズ対策計画を早急に策定の上、より一層のエイズ対策を推進されたい。
また、国民はHIV・AIDSについての理解を深め、積極的に予防に努め、HIV抗体検査の早期受診に努めるべきである。