英国スコットランド地方における麻疹、ムンプス、風疹、百日咳の発生動向、ワクチン接種状況

(Vol.28 p 265-265:2007年9月号)

麻疹:2007年第24週までにスコットランドでは3人の麻疹確定例が発生したが、前年同期の27人と比較して減少した。1人はDumfries and Galloway州に在住の成人であり、第2週に発生したが、最近の旅行歴はなかった。他の2人は3歳と6歳の小児であり、第19・20週に発生した。少女らは移動人口集団(訳者中:宗教や文化的な背景により一定の定住場所を持たない集団を指すと思われる)に属しており、ルーマニアからスコットランドに到着したばかりであったため、潜伏期間中の輸入例と考えられた。ウイルス学的検査では、遺伝子型はイングランドの移動人口集団で見られている型(IASR 28: 229, 2007参照)とは異なる新しいD4(MVs/Glasgow.GBR/20/07/[D4]-EF653361)であり、現在ルーマニアで検出されている遺伝子配列のそれと類似していた。この2人が発症した地域では、すべての感受性者へのMMRワクチン接種をはじめとした、様々な対策が実施された。

ムンプス:2007年第24週までに、1,852人の届出患者と、819人の検査機関からの報告があり、前年より13〜16%増加した。第5〜8週がピークであった。症例の年齢中央値は20歳であったが、この年齢コホートは1983〜1991年までの、MMR ワクチン1回接種世代とほぼ一致する。流行がいつまで続くかは不明であり、MMRワクチン2回接種を受けていない者への勧奨が行われている。

風疹:2006年と同様、2007年も患者発生はこれまでのところ報告されていない。

百日咳:2007年第24週までに、39人の届出患者と、19人の検査施設からの報告があり、前年同期と比較して、有意な増加がみられた。届出例の13%(5人)、検査機関報告例の32%(6人)が1歳未満の症例であった。

ワクチン接種状況:2006年第4四半期(10〜12月)において、生後12カ月までの児における、ジフテリア、破傷風、百日咳、b型インフルエンザ菌(Hib)、ポリオ、C群髄膜炎菌ワクチンの接種率は96%以上であった。MMR1回接種については、24カ月までの児における接種率は92.3%であった。また、2007年第1四半期(1〜3月)における5歳児の接種率は、MMRワクチン1回接種が94.4%、2回接種が82.8%であった。

(HPS Weekly Report, 41, No. 2007/26, 212-215, 2007)

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