臓器移植によるBalamuthia mandrillaris 感染、 2010年―米国・アリゾナ州
(Vol. 31 p. 335-336: 2010年11月号)

米国CDCは2010年8月23日に、56歳と24歳の男性2名の臓器移植患者がMRIで環状の輝度の高い病変が複数認められる脳炎を発症したという報告を受けた。両症例はともに、27歳のヒスパニック系の造園業者から臓器提供を受けていた。提供者はアリゾナ州で7月に死亡しており、脳梗塞によると考えられていた。背部に大きな皮膚創傷を6カ月間負っていたが、本人は虫刺されと言っていた。他2例(心臓移植1人、片腎移植1人)の移植患者は、8月26日から予防的投薬治療を受け、現時点で無症候である。

本報告は、移植を介したB. mandrillaris による肉芽腫性アメーバ性脳炎(GAE)の2つ目の集団である。最初の事例は2009年に同一臓器提供者から腎臓移植を受けた2名のGAE報告である(前出ミシシッピ州の事例)。原因菌は土壌中の自由生活性アメーバで、これによるGAEは稀な疾患であるが、高頻度に死亡転帰をとる。人種的にヒスパニックの人に感染報告がみられる。患者は、脳炎症状を呈する前に数カ月〜数年間も皮膚創傷がみられることがある。本感染には、特定の効果的な治療方法は見つかっておらず、抗菌薬の組み合わせで治療を受けた患者の生存率は悪い。アメーバ性脳炎は、原因不明あるいは他の神経学的な要因とされて脳炎の診断を受けた臓器提供者において、考えられているよりも多く存在している可能性がある。

(CDC, MMWR, 59, No.36, 1182, 2010)

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