風疹はEPIに含まれているのものではないが、予算・プログラムの負荷に配慮しつつもWHOはその対策に力を入れている。PAHO(南北アメリカ地域)が2010年、EURO(ヨーロッパ地域)が2015年を風疹排除(elimination)の目標年にしているが、その他の地域ではまだ目標年が設定されていない。またWHOは、風疹ワクチンに関する声明書(position paper)を更新した(本号22ページ参照)。
WPRにおける風疹については、サーベイランスシステムが確立していないところも少なくないが、麻疹ワクチンとともに風疹(MR混合ワクチン)あるいは風疹・ムンプス(MMR混合ワクチン)を導入しているところでは、コントロール良好となっている。しかし、先天性風疹症候群(CRS)の発生状況については、不明の国が多い。カンボジア・ラオス・パプアニューギニア(PNG )・ソロモン・バヌアツ・ベトナムではまだ、風疹ワクチンが導入されておらず、最近ベトナムでは風疹の流行とCRSの多発が報告されている。ただし、カンボジア・ラオス・PNG・ベトナムでは、風疹ワクチンの導入を図ろうとしている。
風疹に関しては以下のような提言が行われた(要旨)。
・風疹ワクチンを導入していない6カ国においては、導入に向けたステップを進めるべきである。
・麻疹ワクチンについては2回接種法が勧められているが、これに風疹ワクチンを加え、生後9カ月(中国は8カ月)または12カ月に初回接種を行うべきである。
・風疹ワクチンの実施にあたっては、80%以上の接種率を確保し維持すべきである。
・医療従事者に対して、麻疹ワクチンとともに風疹ワクチンの接種を実施すべきである。
・CRSサーベイランスのない国においては可能な限りこれを導入すべきである
・WPRにおいては、2015年が風疹コントロール(人口100万人当たり10件以下)およびCRSの予防(100万出生当たり10件以下)の目標年であるとした2009年のTAGの声明を、再度主張する。
(注・日本は2010年の風疹は90人、CRSは0人と報告されており、上記目標はクリアしているが、2011年は報告数の増加傾向、輸入例の発生などがあり、麻疹とともに注意を続けることが必要である。)
国立感染症研究所感染症情報センター 岡部信彦