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CDCのエンテロウイルス・サーベイランス・プログラムによると,1979年はエンテロ感染中1171例(40%)が無菌性髄膜炎であった。1970〜79年の10年間に,届出例の64%が10才以下,29%が1才以下であった。本報告第5号で述べた様にカナダ・オーストラリアと同様,米国でも1979年にはエコー11によるものが最も多く全エンテロの44%を占めた。1980年もこの形勢が続き,4月までに26%に達している。エコー11感染症の内訳は,無菌性髄膜炎46%,脳炎15%,呼吸器症状10%,発熱のみ8%,発疹2%,心炎0.6%,麻痺0.4%,その他17%であった。届出症例の3/4は消化管からのウイルス分離(便32%,咽頭30%,直腸スワブ8%)によってなされており,その他は髄液(22%),鼻咽腔(2%),尿(2%),組織(1%),その他(3%)となっている。
エコー7は第2位で全エンテロの15%を占めた。52%が無菌性髄膜炎であった。ウイルス分離は,便41%,咽頭27%,直腸スワブ11%,髄液15%,鼻咽腔1%,尿0.5%,組織0.3%,その他となっている。
(CDC:MMWR,29(28),7月18日)
(註)わが国では,予研腸内ウイルス部の集計によると,1976,77年度にエコー11が少数分離されているが,1978年にはほとんどなく,現在の微生物検査情報でも1979年5月に1株のみである。カナダ,米国,オーストラリアの流行がわが国に及んでくる可能性も考えられるので,現在のエコー11に対するわが国の集団免疫がどんな状態か調査しておく必要があると思われる。
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