HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.2 (1981/1[011])

<外国情報>
水とウイルス


前号では下水中のウイルス検索の報告があったが,水資源の再利用などに関して最近水や土壌中のウイルスが問題になっている。以下はWHOの報告の一部の紹介である。

水や土壌中のウイルスが人に感染する危険性を評価するには,これらのウイルスが経口的に人体に入った時の最少感染量を考えることが重要である。人由来のエンテロウイルスなどは細胞や動物に対する1感染量で人に感染を起すことがわかっている。

水処理の不完全な100万都市を考え,仮に飲料水20l中に1感染量のウイルスが残留していたとし,市民1人が平均1l/日の水を飲むとすると,毎日5万人の口に少なくとも1感染量のウイルスが入ることになる。免疫やその他の抵抗力により1%しか感染しないとしても毎日500人の人が感染することになるから1年ではその数は182,500人となる。そのうち50人に1人が発病するとして3,650人の患者が毎年出る計算になる。これに加えて,182,500人の人が感染源となっている可能性があるから感染者数は更に増加するはずである。したがって,WHOのScientific Groupは微量のエンテロウイルスといえども飲料水に存在してはならないとしている。そしてそのゴールを達成するための水処理法と微量ウイルスをモニターする検出方法が現にあるのだから活用すべきであると結論している。

(WHO Technical Rep. Series No.639.1979より)






前へ 次へ
copyright
IASR