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Vol.2 (1981/5[015])

<外国情報>
髄膜炎菌感染症−1981年米国


1981年のはじめの9週ですでに893例の侵入性髄膜炎菌症(髄膜炎,菌血症,敗血症性関節炎,肺炎,骨髄炎)がCDCに報告されている。これは昨年同期間における528例を大きく上まわり,とくにTexas,Florida,Connecticutの3州の増加率が高く,TexasのHarris群,FloridaのDade群から集団発生例が報告されている。

Harris群の集団事例は,インフルエンザ流行と関連して発生し,流行優勢株がB群からC群に変化し,また,ある小学校の特定のクラスにおける5名(すべて女子)の連鎖を含む,Dade群の場合は9名の死亡例を含む34症例であるが,うち4例は家族内感染によるものである。分離株はサルファダイアジン耐性B群であった。

編集部註:今世紀前半には,8〜12年の周期で髄膜炎菌症の広範な流行があったが,理由は不明であるが,過去34年間には大流行はなく,1946年以降は1〜3/100,000/年の発症率に安定している。毎年の発症ピークは晩冬から初春にかけてである。

患者との直接接触者における感染リスクは,一般周辺住民の1,000倍にもなる。二次感染者の2/3は感染源患者の入院した4日以内に発症している。家庭や託児所における感染リスクが最も高い。患者の分泌物に直接暴露される危険をもった医師,看護婦,あるいは生活中患者と身近に接し,食事を共にした家族に対してはサルファダイアジンやリファンピシンの予防内服がすすめられる。前者は大人には1gを1日2回,1〜12才の小児には500mgを1日2回,1才以下には500mgを1日1回である。後者は大人に600mgを1日2回,1ヶ月〜12年の小児には10mg/kgを1日2回である。

(MMWR,Vol.30,No.10,1981)






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